短編
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今年は学校を卒業して初めて迎えるクリスマス。
邪魔なく2人だけで過ごせると柄にもなくオレも浮かれている。
『明日はクリスマスだよーかっちゃん!』
キラキラした目で見てくるこいつも同じ気持ちなんてことは絶対ないと断言できる。何故こんなに嬉しそうなのかといえば答えは一つ。
「ちゃんとご馳走作ってやるから安心しろ」
『わーい!ご馳走がいっぱい食べれるクリスマスって最高!私はツリーの飾りつけやるね〜』
プレゼントよりも食い物。花よりではなく、団子にしか興味が無い。それがユウという女だ。飾り付けを始めたユウを見ながら、調理を開始する。
「なんかツリー傾いてねえか?」
『え!?かっちゃんはいいから料理に集中して!』
直しに行こうとしたが止められ、調理を続けるが正直ユウが気になって仕方ない。
少し離れてツリーを見ながら首を傾げ、調整を始めたユウは少しして満足げに飾りを付け始めた。まだ少し傾いているが、それはまあご愛嬌というやつだ。 それからは楽しそうに飾り付けをしていたが、視線が気になったのか振り向いたユウにツリーは全部やるから、かっちゃんは料理に集中!と二度目の注意を食らう。
材料を切り終わり、鍋を出そうと収納場所を覗いているとギャー!と悲鳴が聞こえ、慌てて視線を戻すとツリーが倒れており、しょんぼりしたユウが床に落ちた飾りを拾っていた。
「おい……頑張れよ」
手伝いに行こうと手と足が1歩出たところで睨まれ、踏み止まる。元気に頷き、再び飾り付けを始めたユウを見て思わず、ため息をつく。
子どもがなにか初挑戦するのを見守る親はきっとこんな気持ちなのだろう。相手は初挑戦の子どもではなく彼女だが…
料理ができていれば注意されることもないだろうし、これは早く調理を終えて手伝うのが一番ベストだろう。高速で調理を終わらせ、手伝いに行こうと手を洗っているところで『できた!』とユウの嬉しそうな声が聞こえた。
『かっちゃん!できたよ!』
嬉しそうに報告してきたユウの背後に見えるツリーの天辺の星は付け方が違うのか既に落ちそうになっているが、ユウは満足そうだし、いいかと見なかったことにする。
「こっちもできたし飯にしようぜ」
『わ〜!美味しそう!』
「飲み物これでいいか?」
『うん!』
ユウが買い物でカゴに入れてきたアニメキャラクターが書かれたシャンメリーをグラスに注ぎテーブルに置く。
いただきますと手を合わせて乾杯するとすぐにユウはバクバクと料理を食べ始めた。
「あんま勢いよく食ってっと喉に詰まるからよく噛んでゆっくり食え」
『お腹空いてたし、美味しいからついがっついちゃうんだよね〜かっちゃんの料理が美味しすぎるのが悪い』
「なに人のせいにしとんだ」
そう言いつつも美味しいと喜んで食べてもらえるのは自分としても嬉しいし、頬いっぱいに料理を口に入れる姿はハムスターみたいで愛らしい。
ケーキも食べ終え、美味しかったーと余韻に浸っているユウの口をティッシュで拭い、片付けを始める。
『クリスマスっていいねえ〜かっちゃん』
「お前はご馳走食えりゃなんでもいいんだろ」
『そ、そんなこと…街とか賑やかになってテンション上がるし、サンタさんもう来ないけど、クリスマスプレゼントだってみんなにお菓子貰えたりするし!』
「あの菓子の山どうすんだよ」
自分はクリスマスプレゼントなんて渡されることはほぼないが、子どもみたいだからであろうユウはプレゼントだと菓子を渡されることが多々あり、家には現在とんでもない量のお菓子がある。
『嬉しいけどちょっと食べ切れる気しないよね…』
「やっぱ今からでも半分ヤローに突っ返してこい」
クリスマス、誕生日、ホワイトデー、ハロウィン。毎年とんでもない量のお菓子を渡してくるあいつは人の消費できる限界量を知るべきだと思う。
『そんなにいらないって毎回言ってるんだけどね…』
「お前の断り方がぬるすぎんだよ。今度オレがハッキリ言ってやる。つーか、お前があいつにプレゼントとか渡すのがいけねーんだろ!オレ以外の男にプレゼントとか渡すな!」
『友達にプレゼント渡してなにが悪いの!』
「それはっ」
自分の心の狭さが嫌になる。ユウを信用してないわけじゃない。普通に友達として接しているのは分かってる。それでもユウが他の男と仲良くしているとどうして嫌だと思ってしまう。特に轟に関しては学生の頃から過敏になりがちだ。学生時代ユウと轟は席が隣でインターン先も同じだったため仲が良く、恐らく轟がクラスメイトの中で一番仲がいいのはユウなのだと思う。直接聞いたことはないし、自覚があるか分からないが、明らかに特別扱いしている。プレゼントもそうだが、ご飯の誘いが来たり、どーでもいいラインがそこそこな頻度で来たり、雑誌やテレビのインタビューでユウの名前を出すせいで熱愛疑惑が浮上したり、とにかく彼氏であるオレからすると面白くないどころの話じゃない。
お互い苗字でなく、名前呼びってだけで気になってしまうようなたちだ。友達だからなと寛大になれるはずもない。
それに、顔も性格も良くてヒーローランキングはうなぎ登りな超人気ヒーローが相手となれば如何に寛大な奴でもきっと不安になるだろう。
「…なんでもねえ」
オレ自身はユウ以外の女と仲良くしようという気にもならないし、恋愛に疎いユウは恐らく嫉妬というものを知らない。
心の内を伝えなければ、ユウには理解してもらえないだろう。でもそれは轟に負けるかもしれないと怯えるとてつもなくダサい自分を認めるようで言えない。
『かっちゃん?突然暗くなってどうしたの?言ってくれなきゃわかんないよ』
「…お前はオレが麗日にプレゼント渡してたらどう思う?」
『どう思う…?仲良いんだなーって思う!…あ!かっちゃんのプレゼントもちゃんとあるよ!他の人にあげたやつよりもいいやつ!』
「は?」
『ん?プレゼントあるか不安だったんじゃないの?かっちゃんが誰かにプレゼント渡してたら私も欲しい!って思うし、私へのプレゼントより豪華だったら嫌...あとできれば一番最初に渡して欲しいかな?かっちゃんには明日渡すつもりだったから他の人の方が渡すの早くなっちゃったけど、かっちゃんのが本命だから!』
また見当違いな事を...と思いつつ、ユウでも特別扱いじゃなきゃ嫌とかは思うんだなと少し安心した。
「そりゃ楽しみだ。スゲえ期待してる」
『うっ...そ、そんなに期待できるようなものじゃ...』
実はこいつが用意してくれたプレゼントが、手編みのマフラーだということはオレが色々勘違いしてユウに詰め寄った時に後にジーパンから説明を受けたから知っている。職場も家も同じなのだから、不器用の極みなあいつがオレに内緒で作るなんていえば、上司から呼び出された、友達の家に遊びに行くが連発されるのも仕方ないだろう。結構キツく当たってしまったし本当に申し訳ないことをしてしまった。それでも変わらず一緒にいてくれるだからそれだけユウにとってオレは変わらず今も特別だと自信を持っていいのだろう。
「2人だけで過ごせるのが何よりのプレゼントだわ。ご馳走食ったことだし恋人らしいコト、いつもよりサービスしてやってくれるんだろ?」
『えっ、それは…』
視線を彷徨わせ、カーッと赤くなったユウがギュッとオレに抱きついてきた。
『かっちゃん…大好きだよ。私のこと変わらず好きでいてくれてありがとう』
顔を赤らめて恥ずかしそうに伝えてくるユウが見上げることで自然と上目遣いになるし可愛いすぎてヤバい。
「礼なんて…ユウ、お前のことが好きだからお前を理不尽に傷つけちまうことが多分この先もある。それでも、どうかオレのことを好きでいてくれ」
『かっちゃんのこと好きじゃなくなるなんてできるわけないじゃん。だから私のことずっと好きでいてね』
「たりめーだろ」
そっと口付けるとユウもちょんと可愛らしくキスをしてきた。
『メリークリスマス、かっちゃん』
「メリークリスマス、ユウ」
恋人らしい甘いクリスマスに少しの気恥しさと幸せを感じながら、再びユウにキスをした。
メリークリスマス
邪魔なく2人だけで過ごせると柄にもなくオレも浮かれている。
『明日はクリスマスだよーかっちゃん!』
キラキラした目で見てくるこいつも同じ気持ちなんてことは絶対ないと断言できる。何故こんなに嬉しそうなのかといえば答えは一つ。
「ちゃんとご馳走作ってやるから安心しろ」
『わーい!ご馳走がいっぱい食べれるクリスマスって最高!私はツリーの飾りつけやるね〜』
プレゼントよりも食い物。花よりではなく、団子にしか興味が無い。それがユウという女だ。飾り付けを始めたユウを見ながら、調理を開始する。
「なんかツリー傾いてねえか?」
『え!?かっちゃんはいいから料理に集中して!』
直しに行こうとしたが止められ、調理を続けるが正直ユウが気になって仕方ない。
少し離れてツリーを見ながら首を傾げ、調整を始めたユウは少しして満足げに飾りを付け始めた。まだ少し傾いているが、それはまあご愛嬌というやつだ。 それからは楽しそうに飾り付けをしていたが、視線が気になったのか振り向いたユウにツリーは全部やるから、かっちゃんは料理に集中!と二度目の注意を食らう。
材料を切り終わり、鍋を出そうと収納場所を覗いているとギャー!と悲鳴が聞こえ、慌てて視線を戻すとツリーが倒れており、しょんぼりしたユウが床に落ちた飾りを拾っていた。
「おい……頑張れよ」
手伝いに行こうと手と足が1歩出たところで睨まれ、踏み止まる。元気に頷き、再び飾り付けを始めたユウを見て思わず、ため息をつく。
子どもがなにか初挑戦するのを見守る親はきっとこんな気持ちなのだろう。相手は初挑戦の子どもではなく彼女だが…
料理ができていれば注意されることもないだろうし、これは早く調理を終えて手伝うのが一番ベストだろう。高速で調理を終わらせ、手伝いに行こうと手を洗っているところで『できた!』とユウの嬉しそうな声が聞こえた。
『かっちゃん!できたよ!』
嬉しそうに報告してきたユウの背後に見えるツリーの天辺の星は付け方が違うのか既に落ちそうになっているが、ユウは満足そうだし、いいかと見なかったことにする。
「こっちもできたし飯にしようぜ」
『わ〜!美味しそう!』
「飲み物これでいいか?」
『うん!』
ユウが買い物でカゴに入れてきたアニメキャラクターが書かれたシャンメリーをグラスに注ぎテーブルに置く。
いただきますと手を合わせて乾杯するとすぐにユウはバクバクと料理を食べ始めた。
「あんま勢いよく食ってっと喉に詰まるからよく噛んでゆっくり食え」
『お腹空いてたし、美味しいからついがっついちゃうんだよね〜かっちゃんの料理が美味しすぎるのが悪い』
「なに人のせいにしとんだ」
そう言いつつも美味しいと喜んで食べてもらえるのは自分としても嬉しいし、頬いっぱいに料理を口に入れる姿はハムスターみたいで愛らしい。
ケーキも食べ終え、美味しかったーと余韻に浸っているユウの口をティッシュで拭い、片付けを始める。
『クリスマスっていいねえ〜かっちゃん』
「お前はご馳走食えりゃなんでもいいんだろ」
『そ、そんなこと…街とか賑やかになってテンション上がるし、サンタさんもう来ないけど、クリスマスプレゼントだってみんなにお菓子貰えたりするし!』
「あの菓子の山どうすんだよ」
自分はクリスマスプレゼントなんて渡されることはほぼないが、子どもみたいだからであろうユウはプレゼントだと菓子を渡されることが多々あり、家には現在とんでもない量のお菓子がある。
『嬉しいけどちょっと食べ切れる気しないよね…』
「やっぱ今からでも半分ヤローに突っ返してこい」
クリスマス、誕生日、ホワイトデー、ハロウィン。毎年とんでもない量のお菓子を渡してくるあいつは人の消費できる限界量を知るべきだと思う。
『そんなにいらないって毎回言ってるんだけどね…』
「お前の断り方がぬるすぎんだよ。今度オレがハッキリ言ってやる。つーか、お前があいつにプレゼントとか渡すのがいけねーんだろ!オレ以外の男にプレゼントとか渡すな!」
『友達にプレゼント渡してなにが悪いの!』
「それはっ」
自分の心の狭さが嫌になる。ユウを信用してないわけじゃない。普通に友達として接しているのは分かってる。それでもユウが他の男と仲良くしているとどうして嫌だと思ってしまう。特に轟に関しては学生の頃から過敏になりがちだ。学生時代ユウと轟は席が隣でインターン先も同じだったため仲が良く、恐らく轟がクラスメイトの中で一番仲がいいのはユウなのだと思う。直接聞いたことはないし、自覚があるか分からないが、明らかに特別扱いしている。プレゼントもそうだが、ご飯の誘いが来たり、どーでもいいラインがそこそこな頻度で来たり、雑誌やテレビのインタビューでユウの名前を出すせいで熱愛疑惑が浮上したり、とにかく彼氏であるオレからすると面白くないどころの話じゃない。
お互い苗字でなく、名前呼びってだけで気になってしまうようなたちだ。友達だからなと寛大になれるはずもない。
それに、顔も性格も良くてヒーローランキングはうなぎ登りな超人気ヒーローが相手となれば如何に寛大な奴でもきっと不安になるだろう。
「…なんでもねえ」
オレ自身はユウ以外の女と仲良くしようという気にもならないし、恋愛に疎いユウは恐らく嫉妬というものを知らない。
心の内を伝えなければ、ユウには理解してもらえないだろう。でもそれは轟に負けるかもしれないと怯えるとてつもなくダサい自分を認めるようで言えない。
『かっちゃん?突然暗くなってどうしたの?言ってくれなきゃわかんないよ』
「…お前はオレが麗日にプレゼント渡してたらどう思う?」
『どう思う…?仲良いんだなーって思う!…あ!かっちゃんのプレゼントもちゃんとあるよ!他の人にあげたやつよりもいいやつ!』
「は?」
『ん?プレゼントあるか不安だったんじゃないの?かっちゃんが誰かにプレゼント渡してたら私も欲しい!って思うし、私へのプレゼントより豪華だったら嫌...あとできれば一番最初に渡して欲しいかな?かっちゃんには明日渡すつもりだったから他の人の方が渡すの早くなっちゃったけど、かっちゃんのが本命だから!』
また見当違いな事を...と思いつつ、ユウでも特別扱いじゃなきゃ嫌とかは思うんだなと少し安心した。
「そりゃ楽しみだ。スゲえ期待してる」
『うっ...そ、そんなに期待できるようなものじゃ...』
実はこいつが用意してくれたプレゼントが、手編みのマフラーだということはオレが色々勘違いしてユウに詰め寄った時に後にジーパンから説明を受けたから知っている。職場も家も同じなのだから、不器用の極みなあいつがオレに内緒で作るなんていえば、上司から呼び出された、友達の家に遊びに行くが連発されるのも仕方ないだろう。結構キツく当たってしまったし本当に申し訳ないことをしてしまった。それでも変わらず一緒にいてくれるだからそれだけユウにとってオレは変わらず今も特別だと自信を持っていいのだろう。
「2人だけで過ごせるのが何よりのプレゼントだわ。ご馳走食ったことだし恋人らしいコト、いつもよりサービスしてやってくれるんだろ?」
『えっ、それは…』
視線を彷徨わせ、カーッと赤くなったユウがギュッとオレに抱きついてきた。
『かっちゃん…大好きだよ。私のこと変わらず好きでいてくれてありがとう』
顔を赤らめて恥ずかしそうに伝えてくるユウが見上げることで自然と上目遣いになるし可愛いすぎてヤバい。
「礼なんて…ユウ、お前のことが好きだからお前を理不尽に傷つけちまうことが多分この先もある。それでも、どうかオレのことを好きでいてくれ」
『かっちゃんのこと好きじゃなくなるなんてできるわけないじゃん。だから私のことずっと好きでいてね』
「たりめーだろ」
そっと口付けるとユウもちょんと可愛らしくキスをしてきた。
『メリークリスマス、かっちゃん』
「メリークリスマス、ユウ」
恋人らしい甘いクリスマスに少しの気恥しさと幸せを感じながら、再びユウにキスをした。
メリークリスマス
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