短編
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『かっちゃん!これ欲しい!行きたい!連れてって!』
「ンだよ。うるせえな。あの可愛くねえひよことショッピングモールのコラボだァ?信じらんねえ...」
あんな可愛くねえキャラの何処に需要が?と疑問しかないが、ユウが見せてきたネット画像にはコラボグッズやスタンプラリーなどの企画等しっかりコラボの詳細まで書かれている。
「まあ、オレも買いてエものあるし、行ってもいい」
『やったー!約束ね!』
「で、どっから行くんだ?」
『まずはグッズ!何店舗かでコラボグッズ売ってるから全部周る!』
「あんま余計なモンまで買うんじゃねえぞ」
『はーい。かっちゃん、このお店ってあっち行けばいいの?』
「逆だわ!ったく...」
いつもの事だが、目を離さないようにしないとすぐ迷子になるのが目に見えている。またも変な方向に歩いて行こうとするユウを軌道修正させなんとか1店舗に到着する。
「この列もしかして、嘘だろ!?」
看板には30分待ちとかかれ、大勢のヤツらが並んでいる。世の中には思った以上にユウのような変わり者がたくさんいるらしい。
『どうしようかっちゃん!ちゃんと買えるかなあ...これじゃ他のお店のもなくなっちゃう』
こんな事になっているとは思っていなかったらしく、心配した面持ちでショップの様子を見ながら、しょんぼりするユウになんとかしてあげなければと急いでスマホで公式サイトを開く。
「ユウ、欲しいモンと優先順位教えろ。お前がここ並んでるうちに周れるだけ周ってくる。とりあえず1番教えろ。以降はラインに送っとけ」
『いいの!?ありがとう!かっちゃん!』
ぱあっと表情を明るくするユウにひとまず安心しながら、言われたショップへ向かう。
どうやら他はそこまで混んでいないらしく、売り切れもなく割とスムーズに買えた。
待ち合わせの場所へ行くと、ユウがリボンのあしらわれた白いワンピースを見つめているのが見えた。
「欲しいのか?」
『ち、違うよ!私じゃこんな可愛い服似合わないし!グッズ買ってきてくれてありがとう!本当に助かった!お金これで足りるかな?』
「ん」
お金を受け取り、ユウの見ていたワンピースを手に取る。なかなか凝ったデザインをしていて、見るからに安くはなさそうだが、出せない額じゃないだろう。
『誰かにプレゼントするの?』
「ああ」
会計を済ませ、ワンピースの入った紙袋をユウに差し出すと首を傾げながら紙袋を受け取った。
『これ持てばいいの?』
「ちっげえわ!お前、試着室借りてそれに着替えてこい」
『えっでもプレゼントなんでしょ?』
「お前へに決まってんだろ!」
『私に!?なんで!?』
「なんでって、お前もうすぐ誕生日だろ」
『へ?...あ、そっか』
「そっかって忘れてたのか?ガキの時はうるせえくらいアピールしてきたくせに」
『はは、そうだったね。かっちゃんが忘れてないか不安になって何回も言ってた気がする。誕生日なんて引越してから誰にも祝われてなかったし、私自身も全然喜べないっていうか色々考えちゃって意識しないようにしてきたんだよね』
「まだ誕生日じゃねえし、今言うのもなんか変な感じするけどよ。オレはお前が生まれてきてくれてよかったって思ってるぜ」
『!...ありがとうかっちゃん。...じゃ、じゃあ着替えてくるね!』
小走りで店に入っていくユウの背を見つめる。誕生日が近くなると決まってオレにアピールしてくるユウをうるさく思うこともあったが、オレにしかしていないと気付いた時、嬉しく思ったのを覚えている。なにより、おめでとうと伝えると、ありがとうととても嬉しそうに笑うユウの顔がとても好きだった。もちろん誕生日を忘れるなんて事は1回もなかったし、プレゼントは1ヶ月前から親と相談して決めていた。ユウの父親が死んでからは、一緒に誕生日を祝う事が決まりのようになっていた。
忘れるはずもないユウの誕生日。アイツがいなくなってからも、もうすぐだなんてカレンダーを見て、カウントダウンをしては当日、誰にも届かないおめでとうを一人呟く。それが癖になっていた。今年はまたあの笑顔が見れるのかと楽しみにしていたが、どうやら無理みたいだ。
生まれてこなければよかった。きっとそう思っているうちにユウは誕生日を忘れてしまった。そんな環境でずっと生きていたのかと思うとやるせない気持ちでいっぱいになる。
『かっちゃん、どうしたの?もしかして具合悪い?』
「なんでもね.....え...」
ワンピースを着たユウを見て思わず固まる。
可愛い。似合いそうだなと思ってはいたが予想以上だ。
『あっ...やっぱり似合わないよね!ごめん、せっかく買ってくれたのにっもう1回着替えてく』
「似合ってる。から、着替えんじゃねェ...」
『なんか言葉ガタついてるし、無理して褒めようとしなくていいよ!』
「無理なんかしてねえわバカ!いいから次行くぞ!」
何かまだ言いたげなユウを無視し、否応なしに腕を引っぱっていく。
素直に褒め言葉を受け取れないユウも、素直に褒め言葉を言えない自分も問題だよなと心の中でため息をつき、次の目的地に向かう。
『着ぐるみだ!着ぐるみ!可愛い!』
「丁度今から撮影タイムらしいからな。撮りたきゃ撮ってこいよ」
『撮りたいは撮りたいけど、1人じゃ恥ずかしい...』
キャーキャー群がるヤツらの方を見ながら、眉を下げるユウを見てため息をつく。
「仕方ねえから一緒に行ってやるよ。ほんとお前グイグイ行きそうなのに、昔からこういうのダメだよな」
『だって恥ずかしいんだもん』
「これでオレ置いて逃げたらぶっ飛ばすからな。せっかくなんだから抱きつくくらいしとけ」
『かっちゃん一緒に撮ってくれるの...!やったー!ありがとう!』
オレらの番になり、ひよこの横にユウを誘導するが、やはり恥ずかしいらしく謎の距離が生まれている。
「恥ずかしがってねエで、もっとひよこの方いけや!並んだ意味ねえだろ!」
『う、うん』
オレの横にピッタリくっついていたユウを見兼ねてか、ひよこがユウに抱き着き、嬉しそうにユウが抱きしめ返したところを写真に収め、列を抜けようとすると後ろにいた奴に呼び止められた。
「せっかくなので彼氏さんも一緒に撮ったらどうですか?スマホ貸して頂ければ私撮りますよ!」
「いやオレは!」
彼氏じゃねえし撮んねえと言おうとしたとこで口を噤む。普段オレもユウも写真なんて滅多撮らないため、オレはユウの写真をほとんど持ってない。その中でも2人一緒に写ってるものなんて、ないに等しい。だからこれはチャンスだ。一時の恥を忍んで、お願いしますと声を絞り出し、スマホを渡しユウの横に並ぶ。
「ほら、彼氏さんも抱きついて!」
「は!?」
『かっちゃん、注目されるの恥ずかしいから早くっ』
「は!?」
いや意味が分からない。注目されるのはダメなのに抱きつくのはいいのか?
『かっちゃん早く!』
「〜っ!」
ひよこと手を繋いで、頬を真っ赤にして見てくるユウに、もうヤケクソだとユウの肩を抱き寄せる。
撮影が終わりスマホを受け取った後、盛大にため息をつく。
「疲れた...」
ひよこがいる横でユウの肩を抱く姿はひよこに対抗心を燃やしているように見えて、めちゃくちゃ恥ずかしい。いや、羨ましいとは少しだけ思ってはいたが...
『恥ずかしかったあ...絶対かっちゃん彼氏だって勘違いされてたよね、ごめん』
「押し強すぎだろあのモブ。写真送るぞ。上手く撮れてなくてももう1回はなしな」
『言わないよ...もう無理...あれ?かっちゃんと撮ったやつは?』
「...いるか?」
『うん!かっちゃんと写真撮るの貴重だし!』
恥ずかしいからあまり見られたくないが、ここで送らないわけにはいかないだろう。
『おお...なんか、かっちゃん本当に彼氏みたい』
「バカなこと言ってねえで帰んぞ」
『うん!』
告白したらこいつはどんな反応をするのだろう。オレが本当に彼氏になったらカップルらしいことをしたり、普段と違う一面も見せてくれたりするのだろうか?
けれどそれを知るにはこの距離感や関係を壊さなければいけない。
振られるのが、ユウに拒絶されるのが怖くて踏み出せない。
でも好きで絶対誰にも取られたくない。
お前もオレのこと好きになっちまえよ
楽しそうにクラスのヤツらの話をするユウを見ながらポケットに入っている袋を握りしめた。
あれから数日経ち今日はユウの誕生日だ。
『ねえ!かっちゃん見て!みんなからお祝いのメッセージカード貰った!』
「よかったな」
『うん!あ、これ名前ないけどかっちゃんが書いたでしょ?』
「さあな」
『えーこの字は絶対かっちゃんだよー』
自信満々に見せてきたカードは確かにオレが書いたものだ。なんとなく気恥しくて名前を書かなかったが、こんな即バレするなら書いても同じだったなと嬉しそうにカードを眺めるユウを見つめる。
「これやる」
『そんな!あんな高そうな服買ってもらったのに!』
「やっぱ当日貰わねえと誕生日プレゼントって感じしねえだろ。こっちは全然大したもんじゃねえし、オレはぜってえ使わねえから黙って受け取れ」
『開けていい?』
「ああ」
『!髪留め!可愛い...!』
「それなら普段使えるし実用的だろ?どうせお前は恥ずかしがって、あのワンピースなかなか着ねえだろうしな」
『き、着るよ!せっかく貰ったし!これも今日から使わせて貰う!』
早速髪を結び直したユウの髪には2つ連なったオレンジ色の星が輝いている。
『どう?似合う?』
「オレが選んだんだから似合うに決まってンだろ」
『ふふっそっか!』
ユウの黒髪にオレンジ色はよく映える。
オレンジはユウの好きな色。星のデザインもユウが好むものだ。だからきっと気付かない。そこに紛れたオレの気持ちに。
「お?ユウちゃんその髪留め爆豪から貰ったの?」
『うん!なんで分かったの?』
「いやだってオレンジ色だしトゲトゲしてるしめっちゃ爆豪感強い「ユウはオレンジ色と星が好きなんだよ!」
「ふーん?ま、そういうことにしといてやるよ!」(絶対牽制だよなあ〜取られんの嫌ならとっとと付き合っちまえばいいのに)
『言われてみれば星ってかっちゃんっぽいかも』
「お、お前まで何変なこと言って」
『いつも輝いてて、見守ってくれてるもんね!ナンバーワン=トップスターだし!ふふっ、髪留め大事にするね!』
カーッと頬が熱くなる。分かっててそんな嬉しそうな顔をするなんて反則だ。赤くなった顔を見られないようにそっぽを向く。
「ユウ、誕生日おめでとう。オレと...出会ってくれて、会いに来てくれてありがとな」
『ありがとうかっちゃん!』
お前の誕生に祝福を
「ンだよ。うるせえな。あの可愛くねえひよことショッピングモールのコラボだァ?信じらんねえ...」
あんな可愛くねえキャラの何処に需要が?と疑問しかないが、ユウが見せてきたネット画像にはコラボグッズやスタンプラリーなどの企画等しっかりコラボの詳細まで書かれている。
「まあ、オレも買いてエものあるし、行ってもいい」
『やったー!約束ね!』
「で、どっから行くんだ?」
『まずはグッズ!何店舗かでコラボグッズ売ってるから全部周る!』
「あんま余計なモンまで買うんじゃねえぞ」
『はーい。かっちゃん、このお店ってあっち行けばいいの?』
「逆だわ!ったく...」
いつもの事だが、目を離さないようにしないとすぐ迷子になるのが目に見えている。またも変な方向に歩いて行こうとするユウを軌道修正させなんとか1店舗に到着する。
「この列もしかして、嘘だろ!?」
看板には30分待ちとかかれ、大勢のヤツらが並んでいる。世の中には思った以上にユウのような変わり者がたくさんいるらしい。
『どうしようかっちゃん!ちゃんと買えるかなあ...これじゃ他のお店のもなくなっちゃう』
こんな事になっているとは思っていなかったらしく、心配した面持ちでショップの様子を見ながら、しょんぼりするユウになんとかしてあげなければと急いでスマホで公式サイトを開く。
「ユウ、欲しいモンと優先順位教えろ。お前がここ並んでるうちに周れるだけ周ってくる。とりあえず1番教えろ。以降はラインに送っとけ」
『いいの!?ありがとう!かっちゃん!』
ぱあっと表情を明るくするユウにひとまず安心しながら、言われたショップへ向かう。
どうやら他はそこまで混んでいないらしく、売り切れもなく割とスムーズに買えた。
待ち合わせの場所へ行くと、ユウがリボンのあしらわれた白いワンピースを見つめているのが見えた。
「欲しいのか?」
『ち、違うよ!私じゃこんな可愛い服似合わないし!グッズ買ってきてくれてありがとう!本当に助かった!お金これで足りるかな?』
「ん」
お金を受け取り、ユウの見ていたワンピースを手に取る。なかなか凝ったデザインをしていて、見るからに安くはなさそうだが、出せない額じゃないだろう。
『誰かにプレゼントするの?』
「ああ」
会計を済ませ、ワンピースの入った紙袋をユウに差し出すと首を傾げながら紙袋を受け取った。
『これ持てばいいの?』
「ちっげえわ!お前、試着室借りてそれに着替えてこい」
『えっでもプレゼントなんでしょ?』
「お前へに決まってんだろ!」
『私に!?なんで!?』
「なんでって、お前もうすぐ誕生日だろ」
『へ?...あ、そっか』
「そっかって忘れてたのか?ガキの時はうるせえくらいアピールしてきたくせに」
『はは、そうだったね。かっちゃんが忘れてないか不安になって何回も言ってた気がする。誕生日なんて引越してから誰にも祝われてなかったし、私自身も全然喜べないっていうか色々考えちゃって意識しないようにしてきたんだよね』
「まだ誕生日じゃねえし、今言うのもなんか変な感じするけどよ。オレはお前が生まれてきてくれてよかったって思ってるぜ」
『!...ありがとうかっちゃん。...じゃ、じゃあ着替えてくるね!』
小走りで店に入っていくユウの背を見つめる。誕生日が近くなると決まってオレにアピールしてくるユウをうるさく思うこともあったが、オレにしかしていないと気付いた時、嬉しく思ったのを覚えている。なにより、おめでとうと伝えると、ありがとうととても嬉しそうに笑うユウの顔がとても好きだった。もちろん誕生日を忘れるなんて事は1回もなかったし、プレゼントは1ヶ月前から親と相談して決めていた。ユウの父親が死んでからは、一緒に誕生日を祝う事が決まりのようになっていた。
忘れるはずもないユウの誕生日。アイツがいなくなってからも、もうすぐだなんてカレンダーを見て、カウントダウンをしては当日、誰にも届かないおめでとうを一人呟く。それが癖になっていた。今年はまたあの笑顔が見れるのかと楽しみにしていたが、どうやら無理みたいだ。
生まれてこなければよかった。きっとそう思っているうちにユウは誕生日を忘れてしまった。そんな環境でずっと生きていたのかと思うとやるせない気持ちでいっぱいになる。
『かっちゃん、どうしたの?もしかして具合悪い?』
「なんでもね.....え...」
ワンピースを着たユウを見て思わず固まる。
可愛い。似合いそうだなと思ってはいたが予想以上だ。
『あっ...やっぱり似合わないよね!ごめん、せっかく買ってくれたのにっもう1回着替えてく』
「似合ってる。から、着替えんじゃねェ...」
『なんか言葉ガタついてるし、無理して褒めようとしなくていいよ!』
「無理なんかしてねえわバカ!いいから次行くぞ!」
何かまだ言いたげなユウを無視し、否応なしに腕を引っぱっていく。
素直に褒め言葉を受け取れないユウも、素直に褒め言葉を言えない自分も問題だよなと心の中でため息をつき、次の目的地に向かう。
『着ぐるみだ!着ぐるみ!可愛い!』
「丁度今から撮影タイムらしいからな。撮りたきゃ撮ってこいよ」
『撮りたいは撮りたいけど、1人じゃ恥ずかしい...』
キャーキャー群がるヤツらの方を見ながら、眉を下げるユウを見てため息をつく。
「仕方ねえから一緒に行ってやるよ。ほんとお前グイグイ行きそうなのに、昔からこういうのダメだよな」
『だって恥ずかしいんだもん』
「これでオレ置いて逃げたらぶっ飛ばすからな。せっかくなんだから抱きつくくらいしとけ」
『かっちゃん一緒に撮ってくれるの...!やったー!ありがとう!』
オレらの番になり、ひよこの横にユウを誘導するが、やはり恥ずかしいらしく謎の距離が生まれている。
「恥ずかしがってねエで、もっとひよこの方いけや!並んだ意味ねえだろ!」
『う、うん』
オレの横にピッタリくっついていたユウを見兼ねてか、ひよこがユウに抱き着き、嬉しそうにユウが抱きしめ返したところを写真に収め、列を抜けようとすると後ろにいた奴に呼び止められた。
「せっかくなので彼氏さんも一緒に撮ったらどうですか?スマホ貸して頂ければ私撮りますよ!」
「いやオレは!」
彼氏じゃねえし撮んねえと言おうとしたとこで口を噤む。普段オレもユウも写真なんて滅多撮らないため、オレはユウの写真をほとんど持ってない。その中でも2人一緒に写ってるものなんて、ないに等しい。だからこれはチャンスだ。一時の恥を忍んで、お願いしますと声を絞り出し、スマホを渡しユウの横に並ぶ。
「ほら、彼氏さんも抱きついて!」
「は!?」
『かっちゃん、注目されるの恥ずかしいから早くっ』
「は!?」
いや意味が分からない。注目されるのはダメなのに抱きつくのはいいのか?
『かっちゃん早く!』
「〜っ!」
ひよこと手を繋いで、頬を真っ赤にして見てくるユウに、もうヤケクソだとユウの肩を抱き寄せる。
撮影が終わりスマホを受け取った後、盛大にため息をつく。
「疲れた...」
ひよこがいる横でユウの肩を抱く姿はひよこに対抗心を燃やしているように見えて、めちゃくちゃ恥ずかしい。いや、羨ましいとは少しだけ思ってはいたが...
『恥ずかしかったあ...絶対かっちゃん彼氏だって勘違いされてたよね、ごめん』
「押し強すぎだろあのモブ。写真送るぞ。上手く撮れてなくてももう1回はなしな」
『言わないよ...もう無理...あれ?かっちゃんと撮ったやつは?』
「...いるか?」
『うん!かっちゃんと写真撮るの貴重だし!』
恥ずかしいからあまり見られたくないが、ここで送らないわけにはいかないだろう。
『おお...なんか、かっちゃん本当に彼氏みたい』
「バカなこと言ってねえで帰んぞ」
『うん!』
告白したらこいつはどんな反応をするのだろう。オレが本当に彼氏になったらカップルらしいことをしたり、普段と違う一面も見せてくれたりするのだろうか?
けれどそれを知るにはこの距離感や関係を壊さなければいけない。
振られるのが、ユウに拒絶されるのが怖くて踏み出せない。
でも好きで絶対誰にも取られたくない。
お前もオレのこと好きになっちまえよ
楽しそうにクラスのヤツらの話をするユウを見ながらポケットに入っている袋を握りしめた。
あれから数日経ち今日はユウの誕生日だ。
『ねえ!かっちゃん見て!みんなからお祝いのメッセージカード貰った!』
「よかったな」
『うん!あ、これ名前ないけどかっちゃんが書いたでしょ?』
「さあな」
『えーこの字は絶対かっちゃんだよー』
自信満々に見せてきたカードは確かにオレが書いたものだ。なんとなく気恥しくて名前を書かなかったが、こんな即バレするなら書いても同じだったなと嬉しそうにカードを眺めるユウを見つめる。
「これやる」
『そんな!あんな高そうな服買ってもらったのに!』
「やっぱ当日貰わねえと誕生日プレゼントって感じしねえだろ。こっちは全然大したもんじゃねえし、オレはぜってえ使わねえから黙って受け取れ」
『開けていい?』
「ああ」
『!髪留め!可愛い...!』
「それなら普段使えるし実用的だろ?どうせお前は恥ずかしがって、あのワンピースなかなか着ねえだろうしな」
『き、着るよ!せっかく貰ったし!これも今日から使わせて貰う!』
早速髪を結び直したユウの髪には2つ連なったオレンジ色の星が輝いている。
『どう?似合う?』
「オレが選んだんだから似合うに決まってンだろ」
『ふふっそっか!』
ユウの黒髪にオレンジ色はよく映える。
オレンジはユウの好きな色。星のデザインもユウが好むものだ。だからきっと気付かない。そこに紛れたオレの気持ちに。
「お?ユウちゃんその髪留め爆豪から貰ったの?」
『うん!なんで分かったの?』
「いやだってオレンジ色だしトゲトゲしてるしめっちゃ爆豪感強い「ユウはオレンジ色と星が好きなんだよ!」
「ふーん?ま、そういうことにしといてやるよ!」(絶対牽制だよなあ〜取られんの嫌ならとっとと付き合っちまえばいいのに)
『言われてみれば星ってかっちゃんっぽいかも』
「お、お前まで何変なこと言って」
『いつも輝いてて、見守ってくれてるもんね!ナンバーワン=トップスターだし!ふふっ、髪留め大事にするね!』
カーッと頬が熱くなる。分かっててそんな嬉しそうな顔をするなんて反則だ。赤くなった顔を見られないようにそっぽを向く。
「ユウ、誕生日おめでとう。オレと...出会ってくれて、会いに来てくれてありがとな」
『ありがとうかっちゃん!』
お前の誕生に祝福を
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