短編
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「あァ!?んだその猫!」
『さっき買い物行ったらついてきちゃってさ。でも人懐っこくて可愛いんだよこの猫』
そう言って頭を撫でると気持ち良さそうに手に擦り寄ってきた猫を見て勝己くんの眉間の皺が深くなる。
「今すぐ捨ててこい!」
『こんな寒い夜に放り出したら可哀想だよ!服着てるから飼い猫だろうし明日警察に連れてくからそれまで!ね?お願い!』
「…チッ!明日までだぞ!」
「ありがとう!」
なんやかんや私に甘いんだよなぁとニヤけそうになるのを必死に我慢し台所に向かう。
『勝己くん、猫って何ならあげてもいいの?』
「水と魚とかならいいんじゃねーの。くっついてくんじゃねえクソ猫!」
大声出されても全く動じないなこの子...
まあ懐かれてるみたいでよかったと安心しながら冷蔵庫にあった魚と水を与えてみる。
「なんかこいつ半分ヤローに似てねえか?」
『言われてみれば轟くんに似てるかも』
赤白の毛並みにこの動じないマイペースそうな感じ確かになあ...
クールと思いきや天然で可愛いかつての同級生を思い浮かべ1人納得する。
『服も轟くんのコスに似てるし、めちゃくちゃショート推しの人の飼い猫だったりして!記念に写真撮って轟くんに送ろーっと』
写真を取り轟くんのラインに送信する。
「彼氏様の前で堂々と浮気か?ユウチャンよォ...」
『写真送っただけだよ!きゃっ!』
体を持ち上げられ、寝室へと運びこまれる。このパターンは絶対明日動けなくされるやつだ。でもこのまま猫ちゃんを放置するわけにもいかないし、猫とはいえ、声を聞かれるのはなんだか恥ずかしい。
『猫ちゃんいるから今日はダメだって勝己くん!』
「そんなに猫が大事かよ!明日久しぶりに休み取れたから今夜から2人で心置き無く過ごせるってずっと楽しみにしてたオレが馬鹿みてえじゃねーか!」
『ごめん...そんなつもりじゃ...』
「もういい」
寝室から出て行く勝己くんになんて声を掛ければいいか分からず1人では広すぎるベッドの上で体を丸める。
私も久しぶりにゆっくり2人で過ごせるって休みが決まった時からずっと楽しみにしてた。出掛けたのだって、勝己くんが気にしていた激辛商品を買ったり、映画を借りたり、喜んでくれるかななんて恥ずかしいのを我慢して普段絶対買わないような下着を買いに行ったからだ。
なのに喧嘩して全部台無しにしてしまった。
きっと勝己くんに嫌われた。
明日別れようって言われたらどうしよう...
ポロッと涙が零れ落ちるとにゃあと鳴き声が聞こえ目の前に猫が現れた。猫はにゃぁ...とどこか申し訳なさそうにもう一度鳴くと、私の涙を舐め、寄り添うようにして眠りの体制に入った。
『ごめんね...慰めてくれてありがとう』
その体がとても温かくてまた泣きそうになりながらいつの間にか私は眠ってしまった。
『ん...』
鳥の囀る声が聞こえ、まだいいかと再び寝ようとするがなんだか寝苦しくて重たい瞼を開ける。
『!?』
目の前に見えたのは、気持ち良さそうに眠る赤白髪の端正な顔立ちの少年。そして私は彼に結構な強さで抱きしめられているらしく、それが寝苦しいと感じた原因のようだ。あまりの衝撃に反射といえる速度で飛び起きる。
なんで轟くんと寝てるの私!?
一瞬にして眠気は消え去ったが、頭は大パニックでまともに思考が回らない。
「ん...朝か...戻れたのかオレ...昨日は泣かせて悪かった」
眠そうに体を起こしながら発せられる突然の爆弾発言に青くなりながら体を見るがちゃんと私も轟くんも服は着たままというか轟くんに至っては何故かヒロコスだ。
「昨日の猫あれがオレだ。1日猫になる個性掛かっちまって、さ迷ってたらお前を見つけて...正直猫の時の記憶は朧げだがオレのせいで爆豪と喧嘩になっちまったんだよな...本当に悪かった」
『ううん。私がいけないの。勝己くんの気持ちを踏みにじっちゃったから...』
「...爆豪とちょっと話してくる。お前はちょっと待ってろ」
嫌な予感しかしないなと思いながら座っていると案の定、なんでてめェがいやがる!という叫びから始まり喧嘩が始まりそうな勢いで怒鳴る勝己くんの声が聞こえる。
少しして突然静かになり逆に不安になっていると寝室の扉が開きバツの悪そうな顔をした勝己くんが入ってきた。
「...昨日は悪かった」
『私こそごめん...かつきくんの気持ちを踏みにじった。せっかくのお休みを台無しにしちゃった』
忙しい中頑張って休みを取ったであろう彼に申し訳なくて泣きそうになっていると、勝己くんは呆れたように笑い、私の頭を撫でた。
「まだ今日は始まったばっかじゃねーか。仕切り直しにすっぞ」
ギュッと抱きしめられ嬉しくて抱きしめ返すとスンスンとかつきくんが鼻を鳴らし私ごとベッドに倒れ込んだ。
「朝食って思ったが、その匂い上書きしとかねえと気がすまねえ」
『気がすまねえって何するつもり!?明日は』
「あいつが詫びとしてオレの管轄2日受け持つってよ。3日もずっと一緒にいられるなんて夢みてェだよなァ?」
確かに夢みたいだしとても嬉しいが、ヴィラン顔で笑い私の服に手をかける勝己くんを見て顔がひきつる。
「変な猫が寄ってこねえようにお前はオレのもんだってしっかりマーキングしとかねえとな」
ふわっと鼻腔をくすぐる彼の甘い香りに、こんな朝もいいかと微笑み、逞しい背に手を伸ばした。
爆豪もあんな顔すんだな。
帰り道、ユウが泣いていたと伝えた時の表情を思い出す。
何も聞く耳を持たず殴りかかってきそうな勢いで怒っていたのに急にしおらしくなった爆豪に驚くと同時に安心した。
きっと爆豪にとってユウを泣かせてしまうことはあってはならない事なのだろう。
高校時代いつも笑っていたユウといつも不機嫌そうだった爆豪。
対象的な2人が上手くいっているのか少し心配だったりもしたが、余計な心配だったようだ。
ほんの少しだけチクリと痛む胸に手を置き目を閉じる。
幸せになってくれ。
面と向かって言えるのはまだ少し先になりそうだ。
『さっき買い物行ったらついてきちゃってさ。でも人懐っこくて可愛いんだよこの猫』
そう言って頭を撫でると気持ち良さそうに手に擦り寄ってきた猫を見て勝己くんの眉間の皺が深くなる。
「今すぐ捨ててこい!」
『こんな寒い夜に放り出したら可哀想だよ!服着てるから飼い猫だろうし明日警察に連れてくからそれまで!ね?お願い!』
「…チッ!明日までだぞ!」
「ありがとう!」
なんやかんや私に甘いんだよなぁとニヤけそうになるのを必死に我慢し台所に向かう。
『勝己くん、猫って何ならあげてもいいの?』
「水と魚とかならいいんじゃねーの。くっついてくんじゃねえクソ猫!」
大声出されても全く動じないなこの子...
まあ懐かれてるみたいでよかったと安心しながら冷蔵庫にあった魚と水を与えてみる。
「なんかこいつ半分ヤローに似てねえか?」
『言われてみれば轟くんに似てるかも』
赤白の毛並みにこの動じないマイペースそうな感じ確かになあ...
クールと思いきや天然で可愛いかつての同級生を思い浮かべ1人納得する。
『服も轟くんのコスに似てるし、めちゃくちゃショート推しの人の飼い猫だったりして!記念に写真撮って轟くんに送ろーっと』
写真を取り轟くんのラインに送信する。
「彼氏様の前で堂々と浮気か?ユウチャンよォ...」
『写真送っただけだよ!きゃっ!』
体を持ち上げられ、寝室へと運びこまれる。このパターンは絶対明日動けなくされるやつだ。でもこのまま猫ちゃんを放置するわけにもいかないし、猫とはいえ、声を聞かれるのはなんだか恥ずかしい。
『猫ちゃんいるから今日はダメだって勝己くん!』
「そんなに猫が大事かよ!明日久しぶりに休み取れたから今夜から2人で心置き無く過ごせるってずっと楽しみにしてたオレが馬鹿みてえじゃねーか!」
『ごめん...そんなつもりじゃ...』
「もういい」
寝室から出て行く勝己くんになんて声を掛ければいいか分からず1人では広すぎるベッドの上で体を丸める。
私も久しぶりにゆっくり2人で過ごせるって休みが決まった時からずっと楽しみにしてた。出掛けたのだって、勝己くんが気にしていた激辛商品を買ったり、映画を借りたり、喜んでくれるかななんて恥ずかしいのを我慢して普段絶対買わないような下着を買いに行ったからだ。
なのに喧嘩して全部台無しにしてしまった。
きっと勝己くんに嫌われた。
明日別れようって言われたらどうしよう...
ポロッと涙が零れ落ちるとにゃあと鳴き声が聞こえ目の前に猫が現れた。猫はにゃぁ...とどこか申し訳なさそうにもう一度鳴くと、私の涙を舐め、寄り添うようにして眠りの体制に入った。
『ごめんね...慰めてくれてありがとう』
その体がとても温かくてまた泣きそうになりながらいつの間にか私は眠ってしまった。
『ん...』
鳥の囀る声が聞こえ、まだいいかと再び寝ようとするがなんだか寝苦しくて重たい瞼を開ける。
『!?』
目の前に見えたのは、気持ち良さそうに眠る赤白髪の端正な顔立ちの少年。そして私は彼に結構な強さで抱きしめられているらしく、それが寝苦しいと感じた原因のようだ。あまりの衝撃に反射といえる速度で飛び起きる。
なんで轟くんと寝てるの私!?
一瞬にして眠気は消え去ったが、頭は大パニックでまともに思考が回らない。
「ん...朝か...戻れたのかオレ...昨日は泣かせて悪かった」
眠そうに体を起こしながら発せられる突然の爆弾発言に青くなりながら体を見るがちゃんと私も轟くんも服は着たままというか轟くんに至っては何故かヒロコスだ。
「昨日の猫あれがオレだ。1日猫になる個性掛かっちまって、さ迷ってたらお前を見つけて...正直猫の時の記憶は朧げだがオレのせいで爆豪と喧嘩になっちまったんだよな...本当に悪かった」
『ううん。私がいけないの。勝己くんの気持ちを踏みにじっちゃったから...』
「...爆豪とちょっと話してくる。お前はちょっと待ってろ」
嫌な予感しかしないなと思いながら座っていると案の定、なんでてめェがいやがる!という叫びから始まり喧嘩が始まりそうな勢いで怒鳴る勝己くんの声が聞こえる。
少しして突然静かになり逆に不安になっていると寝室の扉が開きバツの悪そうな顔をした勝己くんが入ってきた。
「...昨日は悪かった」
『私こそごめん...かつきくんの気持ちを踏みにじった。せっかくのお休みを台無しにしちゃった』
忙しい中頑張って休みを取ったであろう彼に申し訳なくて泣きそうになっていると、勝己くんは呆れたように笑い、私の頭を撫でた。
「まだ今日は始まったばっかじゃねーか。仕切り直しにすっぞ」
ギュッと抱きしめられ嬉しくて抱きしめ返すとスンスンとかつきくんが鼻を鳴らし私ごとベッドに倒れ込んだ。
「朝食って思ったが、その匂い上書きしとかねえと気がすまねえ」
『気がすまねえって何するつもり!?明日は』
「あいつが詫びとしてオレの管轄2日受け持つってよ。3日もずっと一緒にいられるなんて夢みてェだよなァ?」
確かに夢みたいだしとても嬉しいが、ヴィラン顔で笑い私の服に手をかける勝己くんを見て顔がひきつる。
「変な猫が寄ってこねえようにお前はオレのもんだってしっかりマーキングしとかねえとな」
ふわっと鼻腔をくすぐる彼の甘い香りに、こんな朝もいいかと微笑み、逞しい背に手を伸ばした。
爆豪もあんな顔すんだな。
帰り道、ユウが泣いていたと伝えた時の表情を思い出す。
何も聞く耳を持たず殴りかかってきそうな勢いで怒っていたのに急にしおらしくなった爆豪に驚くと同時に安心した。
きっと爆豪にとってユウを泣かせてしまうことはあってはならない事なのだろう。
高校時代いつも笑っていたユウといつも不機嫌そうだった爆豪。
対象的な2人が上手くいっているのか少し心配だったりもしたが、余計な心配だったようだ。
ほんの少しだけチクリと痛む胸に手を置き目を閉じる。
幸せになってくれ。
面と向かって言えるのはまだ少し先になりそうだ。