冬休みインターン編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「俺がおまえたちを育ててやる。だがその前に貴様ら二人のことを教えろ。今貴様らが抱えている課題、できるようになりたいことを言え」
いずっくんが話しはじめたと思ったら、だんだんいつものブツブツモードの如く、すごい速さでものすごく長く語り始めたので私は途中で理解することを諦めたが、なんとエンデヴァーさんには分かったらしい。
流石ナンバーワン...!
「次、貴様は?」
「逆に何が出来ねーのかオレは知りに来た」
「ナマ言ってらー!!」
「うるせーな さっきからてめー何でいンだよ」
「私今待機」
ナンバーワンヒーローのサイドキックの人に対しててめー呼ばわりとは...ほんとどういう神経してんだ...
「本心だクソが。“爆破”はやりてェと思ったこと何でもできる!一つしか持ってなくても一番強くなれる。それにもうただ強ェだけじゃ強ェ奴にはなれねーってことも知った。ナンバーワンを超える為に足りねーもん見つけに来た」
自信に満ち溢れ真っ直ぐで前だけ見据えた、かっちゃんらしい言葉。
やっぱり私のヒーローはかっこいいや
「いいだろう。では早速...」
「オレもいいか」
「ショートは赫灼の習得だろう」
「ガキの頃、お前に叩き込まれた個性の使い方を右側で実践してきた。振り返ってみればしょうもねェ...
おまえへの嫌がらせで頭がいっぱいだった。
雄英に入ってこいつらと...みんなと過ごして競う中で...目が覚めた。
エンデヴァー結局オレはお前の思い通りに動いてる。けど覚えとけ。オレが憧れたのは...お母さんと二人で観たテレビの中のあの人だ。
オレはヒーローのヒヨっ子としてヒーローに足る人間になる為にオレの意思でここに来た。オレがお前を利用しに来たんだ。
都合よくてわりィなナンバーワン。友だちの前でああいう親子面はやめてくれ」
「ああ。ヒーローとしておまえたちを見る。お前は?お前はどうなりたい?何を求めてここに来た」
『私は...』
じっと見据えられ、緊張で体が強ばる。私は...私はどうなりたい?何を求めて...
『私はナンバーワンヒーローを支えられるサイドキックになりたくて此処に来ました。ナンバーワンヒーローが欲する理想のサイドキック、そうなるために必要なもの。それを知りたいです』
「サイドキックか...いいだろう。よく見て、学び、吸収しろ」
エンデヴァーさんがサイドキックの人達に指令を出しに行くのを見送った後、顔を手で覆いその場にしゃがみこむ。
『ああーーかっちゃんに負けず劣らず、でかい口を叩いてしまった...全然そんなレベルじゃないのに恥ずかしい...』
「ユウちゃんにそんな夢があったんだね!知らなかったよ」
「三条、親父のサイドキックになりたかったのか...」
「へー!じゃあ私の後輩希望ってことか!」
『ち、違います!私がなりたいのは...未来のナンバーワンヒーローのサイドキックです』
「?」
「いいなあ...かっちゃん...」
「チーム組むっつったのに爆豪ばっかりずりぃ...」
「え、何それどういうこと轟くん!?」
「アッハハ!あんだけ怒ってたのに、まさかバクゴーとはな!実は付き合ってますとかそういうオチか?」
『へ!?付き合ってないし、全然そういうのじゃないです!』
「ふ〜ん。つまんねーの。でもま、チャンスはあるってことだ。ってことで頑張れお前ら!」
チャンス?頑張るって何をだろ?
「救助、避難、そして撃退。ヒーローに求められる基本三項」
ヒーローは1人で全部できなくてはいけない...か。
私は突出してできるものもなく、どれも未熟だ。
ここでしっかり学ばないと...!
「何を積み重ねるかだ。雄英で“努力”をそしてここでは“経験”を。山の如く積み上げろ。貴様ら四人の課題は経験で克服できる。この冬の間に一回でもオレより速くヴィランを退治してみせろ」
速い...全然追いつけない...
あれからずっとエンデヴァーさんを追いかける日々を送っているが未だに誰も追いつけていない。
捕まえたと思ったらもう次!?
「行くぞ三条!」
『うわっ!』
そして毎度轟くんに抱っこしてもらうというこの恥ずかしすぎる移動に私の精神は死にそうである。
町の人も見てるしほんと恥ずかしい!キャー!とか言われてるのに、なんで轟くんはそんな普通でいられるんだ...羨ましい...
「フォックス、足手まといじゃないんじゃなかったのか?いつまでショートに甘えているつもりだ」
『すいません...』
「親父!無闇に通行人や物と入れ替わるワケにもいかねえし、三条の個性は速さに変換できるものじゃねえんだから仕方ねえだろ!」
「甘やかすなショート!自分でそれもカバー出来ないようじゃ、ナンバーワンヒーローのサイドキックになどなれるわけが無いだろう。それが出来ないなら諦めろ。思いや夢だけでどうにかできるほど、この世界は甘くない!」
『...』
「黙って聞いてりゃグチグチと。じゃあアンタのご自慢のサイドキックは全員アンタに追いつけんのか?ユウはアンタのサイドキックになるんじゃねえ。こいつの能力を生かすも殺すも、リーダー次第だ」
『やめてかっちゃん!ほんとのことだから、ね?』
「バクゴー、何が出来ないかを知りたいと言ったな。確かに良い移動速度申し分ない。ルーキーとしてはな。しかし今まさに俺を追い越すことが出来ないと知ったワケだ」
「冬は準備が」
「間に合わなくても同じ言い訳をするのか?ここは授業の場ではない。間に合わなければ落ちるのは成績ではない。
人の命だ」
そうだ...落ちるのは人の命。ほんの少しの時間でも惜しい。轟くんだって、他の二人より移動速度にあまり支障が出ないってだけで、1人の方が速く動けるに決まってる。そんな貴重な時間を私は今轟くんから奪ってるんだ。
1人でどうにかしなきゃ。
「おい、時間あるうちにしっかり食っとけ。お前の個性はエネルギー消費が激しいんだからよ」
「三条、もしかして食欲ねえのか...?お前に食欲がねえなんてよっぽど」
「轟くん女の子にその言い方は...」
『ごめん、ちょっとぼーっとしてた』
建物の上から街を見下ろしながら、肉まんにかぶりつく。
かっちゃんの機動力はとても高い。きっとこれからもどんどん成長していく。だとしたらやはり、私にも追いつけるだけの速度がなければいけない。肝心な時にサポートが出来ないようじゃサイドキック失格だ。
どうすればいいんだろう...
人いっぱいいるなあ...
あ。犬に引っ張られまくってるけどあの人大丈夫かな?人よりあんなに小さいのに、犬って足速いんだなあ。
あれ...?
『もしかしたら...』
でも上手くいく保証はない。もしかしたら全然ダメかもしれない。
「同じ反復でも学校と現場とでは経験値が全く違ったものになる。学校で培ったものを現ナンバーワンヒーロー事務所で体になじませろ。なに安心して失敗しろ。貴様ら四人如きの成否、このエンデヴァーの仕事に何ら影響することはない!」
そうだ。失敗したってなんだって出来そうなこと全部試さなきゃ。これが失敗でも次の方法を探すまでだ。ナンバーワンヒーローのサイドキック、絶対私は諦めない!
頑張れ私!