対抗戦 編
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〈メリークリスマス!〉
机の上に置かれた豪華な料理達に私の心はルンルンだ。
「インターン行けってよー雄英史上最も忙しねェ1年生だろコレ」
『まはか課題とはねえ』
「早速チキン食ってるな」
『美味しいよ!轟くんも食べなよ』
「ああ」
「インターンどこに行く?」
「爆豪はジーニストか!?」
「...決めてねえ」
そうだよね...ジーニストさんは今...
かっちゃんは一体どこに行くんだろう。指名はたくさんあったし上鳴くん達の言う通り、確かに選びたい放題だろう。かっちゃんと同じとこに行きたいけど、エンデヴァーさんはかっちゃんに指名を出してないし、そもそも私も行かせて貰えるか分からない。
なんとかして一緒のとこに行けないかなあ...
「.....」
「ご馳走を楽しもうや!」
「『料理もできるシュガーマン!!』」
『轟くん!!巨大な七面鳥だよ七面鳥!!』
「テンションすごいな三条」
早速七面鳥を食べていると相澤先生とエリちゃんがやって来た。
「あっ...妖精のお姉さん...!文化祭すごかった...!」
『んっ!...あ、ありがとうエリちゃん』
「フッ」「ブハッ」「タイミングよw」
こんな盛大に七面鳥にかぶりついてる時に...!恥ずかしすぎるんですけど!
その後歌を歌ったり、料理を食べながらみんなと話しプレゼント交換の時間になった。
私は、実用性重視に部屋にあるぬいぐるみと同じ、ひよこのハンカチと無難なシャーペンとボールペンのセットを準備したが、ものすごく個性の尖ったものが集められたプレゼント達の中に見える。
あれ当たったらどうしよう...ドキドキしながら紐を引くと普通のプレゼント袋のものが当たった。
ふう...とりあえず袋は普通だ。でも問題は中身...
『すごい!私の好きなお菓子ばっかり入ってる!
あー!?しかもひよこのタオル入ってる!誰が選んだんだろ?めっちゃ友達になれそう!』
「何言ってんだ、もう友達だろ?」
『んん?もしかしてこれ轟くんのやつ?』
「そうだ。喜んで貰えたなら良かった。これって三条が選んだやつじゃねえか?」
『ほんとだ!私の選んだやつだ!轟くんもひよこ好きなら良かった〜』
「別に好きじゃねえ」
『え?』
「でも大切にする」
『お、おう』
え?好きじゃない?じゃあ何故選んだ?
テキトーに目に付いたから?ダメだ轟くんの考えてる事は全くわからん...
(轟、完全に三条用に選んでんじゃん!)
(誰に行くかも分かんねえのにな)
(でもちゃんと三条のトコ行くとか流石としか言いようがねえ...)
(しかも引いたの三条の選んだやつだろ?)
(神様に愛されてんね〜)
(クソ!これがイケメンパワーか...!)
(爆豪めっちゃ睨んでんじゃん怖!)
(あの二人は全く気付いてないけど...)
楽しいパーティも終わり、みんなで片付けを始める。
「おいおい三条、そんなに皿持って大丈夫かよ?」
『大丈夫!多分!』
「多分て」
「なんか嫌な予感がするんだけど...」
「寄越せバカ」
『ちょっとかっちゃん!皿3枚しか残ってないんだけど!?』
「3枚くらいがてめえには限界だ」
『そこまで貧弱じゃないもん!』
「三条には悪いけど、あれくらいじゃないと落ち着いて見てらんねえよな...」
「うんうん」
3枚ってエリちゃんでも運べるよ!ほんとかっちゃん私のこと舐めすぎ!
増やそうとすると今度は轟くんに持っていかれた。
新手のいじめか?むう...解せぬ...
「緑谷、爆豪。もし行く宛てがねェなら来るか?エンデヴァーのインターン」
「行く!」「...行く」
『轟くん!私、私も!』
「何言ってんだ?お前はもう来るの確定だろ」
『確定なんだ...』
3人とインターンなんて楽しみだな〜!
片付けも終わり、部屋のベッドでゴロゴロしているとノックが聞こえた。誰だろ?
扉を開けると立っていたのはかっちゃんだった。
『どうしたの?』
「これ、お前にやる」
『わあー!シフォンケーキだ!かっちゃんが作ったやつ?』
「ああ」
『やった!かっちゃんのシフォンケーキだ〜!ありがとう!ちょー嬉しい!そうだ!一緒に食べようよ』
「はあ!?もう腹一杯だわ!まだ食えんのかお前」
『だってすぐ食べた方が美味しいし、せっかく作ってくれたんだから今食べたい!』
「食えんなら食えばいいだろ」
『うん!そうする〜!かっちゃん緑茶と牛乳とオレンジジュース何がいい?』
「んだよそのレパートリー...じゃあオレンジ」
『分かった!』
飲み物とケーキを机に並べ、早速ケーキを頬張る。
『ん〜!美味しい!幸せだ〜』
「随分手軽な幸せだな」
『だって美味しいんだもん!ケーキ屋さんにならないのもったいない』
「なるわけねーだろ」
『知ってる知ってる〜ねえ、それは誰かにあげるプレゼント?切島くん?もしかして本命の誰かとか!』
かっちゃんの横に置いてある少し大きめのオシャレな袋を指差しながら好奇心で聞いてみる。
「これもお前にだ。オマケにばっか食いつきやがってバカ」
いきなり飛んできた袋を慌ててキャッチする。
『ちょっと投げないでよ!危ないなあ!』
「お前と違ってノーコンじゃねえから食器倒すなんてヘマしねえよ」
『私がキャッチミスするかもしれないじゃん!これ開けていいの?』
「お前のなんだから好きにしろ」
リボンをほどき、中を見るとオレンジ色の布が見えた。
なんだろう?
袋から引っ張り出してみるとオレンジ色のダッフルコートだった。
『コート!?え、何!?持ってないし、めちゃくちゃありがたいけどどういうこと!?』
「どういうことってプレゼントだわ」
『え!?な、なんで!?』
「なんでってクリスマスだろ」
『だ、だってコートなんて...タグ付いてて新品っぽいし...あ、かっちゃんがサイズ合わなかったやつ的な?』
「喧嘩売ってんのかてめぇ...オレがそんなお前みたいな凡ミスするわけねえだろ!誰が間違えてレディースのそんなサイズの服買うかよ」
『えっじゃあ私に買ってくれたの?』
「当たり前だろ!お前にプレゼントすんのに誰の買うってんだよ」
『そ、そっか、そうだよね、ごめん...でも私こんな高そうなもの貰えるようなことしてないし、というかいつも私がお世話になってるからあげるべきなのに、かっちゃんに何にも用意してない...』
「ごちゃごちゃうるせえヤツだな。クリスマスは別に世話になったやつにプレゼント渡す日でも、見返りを求めるような日でもねえだろ。黙って貰っとけバカ」
『あ、ありがとう。嬉しい...大事にする...』
「フン。それでちょっとはあったかくなんだろ。いつも寒い寒いうるせえんだよ」
『ごめん、そんなにうるさかったんだ...』
「寒がりなくせにコートもマフラーもねえとか馬鹿だろ。中いくら着込んでもムリあるっつーの」
『ありがとう...来年はちゃんとプレゼント準備しとくから来年も一緒にいてね』
「〜ッ当たり前だろ!来年だけじゃなくて毎年準備しとけバカ!」
『え、あっちょっと!?』
行っちゃった...
なんか顔赤かったし、かっちゃんには私の部屋暑すぎたかな?そんなに暑かったなら言ってくれれば暖房の温度下げたのに。
試しにコートを着てみると、私にはやや大きめで丈が長めな可愛いデザインのものだった。
何よりあったかい!私だったらピッタリじゃなくてこれくらいなサイズの選ぶし、オシャレだしスゲえな、かっちゃん。ちょっと私には可愛いすぎる気もするが、私のために選んでくれたんだと、嬉しくなってついつい顔がニヤけてしまう。
明日から早速使わせてもらお!
来年かっちゃんに何あげようかな。ワクワクしながら布団に入り私は眠りについた。
恋人でもないのに、コートなんてひくよなと思いつつ、寒い寒い言いながら、時折鼻をすするアイツのことを考えたらやっぱりコートしか浮かばなかった。
本当は手袋かマフラー辺りが妥当だということくらい分かってる。でも指が冷たいとオレで暖をとろうとしてくることやマフラーを貸すことがなくなるのが嫌だからそれらを選ぶ事をしなかった。だから高かろうが重かろうが結局自分のためだ。
インターンが始まれば給料が貰えるし、いずれは高額納税者になるのだからとデザイン重視で選んだ結果、ブランド物のそこそこな物になってしまったが、どうせアイツはブランドなんて知らないし、値段も分からないだろうと色々吹っ切れて買ってしまった。
プレゼントを渡すのにタイミングや言葉、本当にこんな物渡して大丈夫かと不安と恥ずかしさと謎の緊張でクリスマスパーティは、いっぱいいっぱいでよく覚えていない。覚えているのは美味そうに料理を食うユウと、轟とユウが互いのプレゼントを当てた事と、ナンバーワンのインターンへ行くチャンスを掴めたということぐらいだ。
パーティーが終わった後、誰かに見られないように警戒しながらユウの部屋を訪ねる。コートだけ渡すのが気恥ずかしくて、シフォンケーキも作ったが早速食べる!と嬉しそうにケーキを持っていき、皿と飲み物を準備し始めたユウに盛大にため息をつく。
完全に渡すタイミング失った...つーか食い物にしか目いかねえのかこいつ!
なんでこんなヤツにコートなんて買ってしまったのだろうとイライラしていたが、美味しそうにケーキを食べるユウを見ていたら、どうでもよくなってきた。
渡せなくても別にいいかと思った瞬間、横に置いておいたプレゼントを指摘されドキッとする。
他の奴にやるプレゼントだと思ってるとかバカすぎんだろこいつ。他人に渡すプレゼントを持って部屋に来るほど、デリカシーは死んでいないし、第一オレは誰彼プレゼントを渡すほどお人好しじゃない。
プレゼントを開けてテンパってるユウをまあそうなるよなとどこか他人事のように見つめる。
彼氏でもないやつからこんなもの貰っても困るだろうなと思いつつ、困った顔をするユウにプレゼントを押し付ける。
『あ、ありがとう。嬉しい...大事にする...』
恥ずかしそうに、でも嬉しそうにコートを抱きしめるユウに胸がキュンとする。それに続けて“来年はちゃんとプレゼント準備しとくから来年も一緒にいてね”だなんてまるで恋人に言うような事を言うユウに耐えきれず、部屋を飛び出してしまった。
意識もしてない癖にサラッと人をその気にさせるような言葉を吐くユウは本当にタチが悪い。
「約束だぞバカ...」
来年もその次も