対抗戦 編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日は轟くんとかっちゃんの仮免補講最終日だ。
2人が帰ってきたらお祝いしようとみんなで準備をし、どうせなら驚かせようということで暗闇の中絶賛待機中である。
『完全に2人とも受かる前提のノリだけど、かっちゃん落ちてたらどうしよう』
「そこは信じてあげようよユウちゃん...」
『だって士傑の人と和解できたっぽいし轟くんはもう絶対大丈夫だけど、かっちゃんの口と態度の悪さは何一つ変わってないんだよ!?また同じような試験だったら落ちるじゃん!』
「た、たしかに...僕もちょっと心配になってきたかも...」
いずっくんと話していると入口の扉が開き2人が帰ってきた。
〈仮免取得おめでとう!〉
みんなでクラッカーを鳴らし、佐藤くんが特大のケーキを2人の元へ持っていく。
デケエ...4段もある...
こんなに食えるか!とキレるかっちゃんに苦笑いしながら轟くんの元へと向かう。
『轟くん、仮免取得おめでとう!やっぱり一瞬で追いつかれちゃった』
「追いつけなきゃ困る。そうじゃなきゃとお前と一緒に戦えねえ」
『私!?足引っ張んないよう頑張るね...』
「お前のおかげで合格できた。あの言葉がなければ、オレは何も出来なかったし、夜嵐と仲良くなることもできなかった」
『私のおかげなんかじゃないよ。合格も仲良くなれたのも轟くんが強くて優しい人だからだよ。...それはそうとあれはほんと忘れて欲しいんだけど...』
「ぜってえ忘れねえ」
『そ、そうですか...』
「お前、爆豪におめでとうって言ったか?」
『言ってない。というか言っていいのか分からなくて...かっちゃんってちゃんと合格できたの...?』
「ああ。爆豪もちゃんと合格してる。だから言ってやれ。さっきからお前すげえ睨まれてるぞ」
『嘘!?怖!轟くん、私が殺されそうになったら助けてね...』
「?別に殺されねえだろ」
『そ、そうだね。そうだといいなあ...』
意を決してかっちゃんの方を向くと不機嫌な顔をしたかっちゃんとバッチリ目が合った。
受かったのになんで不機嫌なの!?
『か、かっちゃん仮免取得おめでとう。無事受かってて良かった』
「てめぇ...オレが落ちると思ってたのか」
『えっと...あの...ハイ』
「お前みたいな馬鹿でも受かる試験に、二度も落ちるわけねえだろうが!」
『頭関係ないもん!落ちた原因の態度と口の悪さが全然治ってないから、また落ちちゃうんじゃないかって心配してたの!』
「まあまあ、2人ともケーキでも食べて落ち着けって」
どうしよう。佐藤くんには申し訳ないけど私生クリーム苦手なんだよな...でもこの流れで食べないわけにもいかないし...
「てめえに食わせる分なんてねえ!これはオレのだ!」
『オレのというか轟くんのでもあるからねそれ』
「うっせえ!」
ケーキをまさかの手掴みとかワイルドだなおい...
「やったな爆豪!」
「かっちゃん、これで一緒にヒーロー活動出来るね!」
「何上から目線で言ってんだ!このクソナードが!」
『上からじゃないでしょ!もう!』
あれが上から目線ってどういう頭の作りしてんのよ...
あ、ケーキドカ食いしすぎて口にクリームついてる。なんか子どもみたいで可愛い。
『かっちゃん、口にクリームついてる』
「んっ!?な、何しやがる!」
『拭いた...?服の袖じゃまずかった?』
「言えば分かんだろーが!袖汚れちまうだろ!」
『一応拭く前に言ったよ?服はどうせ洗濯するし、後で適当に拭くから大丈夫』
「そういう問題じゃねえんだよ!」
「ユウって時折サラッとすごいことするよな」
『なにが?』
よく分からないが、なにかやらかしてしまったらしい。
その後みんなでだべったあと解散となり部屋へ帰ろうとすると轟くんに呼び止められた。
「三条、卒業したらお前、親父の事務所に入るのか?」
『エンデヴァーさんの!?無理無理無理!職場体験の惨劇を見たでしょ?そもそも私は戦力外だし雇って貰えないよ!』
「今は違うだろ?三条のサポート能力はきっとどこも欲しがる。オレだって欲しい」
『そんな!私なんて全然使えないよ』
「三条は自分を過小評価しすぎだ。仮免の時言っただろ?お前は強いって。だから下積みは必要だろうし卒業してすぐってのは難しいが、独立したらオレとチーム組まねえか?」
『ええっ!?チーム!?私と轟くんで!!??』
「そんな驚くことか?最近プロヒーローでもあんだろ。オレとお前は個性の相性も良いし悪くねえ考えだと思うんだが」
『え、ええ!?でも私...』
かっちゃんのサイドキックに...
だけどきっと、かっちゃんにとって私は守る対象であって決して頼れる仲間ではない。だから自分の身が守れる程度まで強くなればそれで終わり。期待もそれ以上強くなることも望まれない。
私は、かっちゃんの役に立ちたいのに...
私がお願いしたから断れなかっただけで私と一緒にいるだけかっちゃんにとっては負担なのかもしれない。
それに反して轟くんは私の力を必要としてくれているし、頼れる仲間として一緒に戦おうと思ってくれている。
人に迷惑かけたくない。人の役に立ちたい。だったら轟くんとチームを組む方がいいのでは?そうすれば轟くんの役に立てて、かっちゃんの負担になることもない。
「そいつはオレのサイドキックになる。だからてめえとは組まねえよ」
「それはお前が決めることじゃねえだろ爆豪」
「オレが決めたわけじゃねえ。そいつがオレにそう言ったんだ。残念だったな半分野郎」
『ちょっとかっちゃん!なんでそんな喧嘩腰なの!』
「お前こそなんですぐ答えねえ。あの時言ったことは嘘だったのかよ」
『嘘じゃない。嘘じゃないけど...
かっちゃんは別に私のこと必要ないでしょ。
私がお願いしたから断れなかっただけで本当は負担なんでしょう?私がヘマばっかりしてまた迷惑かけるから新しい技も使うなっていうんでしょう?役に立たないし何も私には期待してないから...だから』
「そんなこと思ってるわけねえだろうが!
必要ねえなんて、お前がいなくなった後オレがどんな思いで過ごして来たと思ってんだ!
期待してねえとか迷惑とかじゃねえ、あの技でお前が無茶して許容量超えるのが目に見えてるからあまり使うなって言ってんだよ。
オレはお前に傷付いて欲しくねえだけだ。もう手の届かねえとこに行って欲しくねえだけだ!
そんくらい分かれバカ...」
『ごめんなさい...』
酷い思い違いをしていた。
私が思ってるよりも、かっちゃんは私のことを思ってくれていて、十分だって言ったのも技を使うな言ったのも全部全部私のためだった。
離れていた間や無茶をした時、怪我をした時ずっと私は彼に心配をかけ続けてきたのだ。
迷惑ではなく心配を。
迷惑じゃないって言ってくれるのは気を使ってくれてるのだと思っていた。だけどきっと本当にかっちゃんは迷惑だなんて一度も思ってなくて、ずっと心配をしてくれていたのだ。
役に立てなきゃ足でまといで迷惑だってずっと思っていた。
本当にバカだな私...
「三条、お前は強い。でもオレがお前とチームを組みたいのはそれだけが理由じゃない。
お前といると楽しいし、元気になれる。
気付いてねえだろうがお前の言葉でオレは何度も助けられてる。爆豪もきっとそうなんだと思う。
強さが全てじゃねえし、強いだけじゃダメなこともたくさんある。
お前が怪我とかせずに元気でいてくれなきゃ、オレも元気出ねえし、楽しく過ごせねえ。だからオレらのためにも無茶なことするのはやめて欲しい」
「チッ しっかり頭に叩き込んどけバカ」
『分かった。心配かけてごめん...2人ともありがとう』
強くなることより、怪我や無茶をしないことを望まれるのならそうしよう。ただ身代わりの道具として生かされてきた時と今は違う。
私のことを心配してくれる人達がいる。役に立つことより、私が生きる事を望んでくれる人達がいる。
早く死ぬ運命だとしても、この2人やクラスのみんなと一緒にいたいから少しでも長く生きていたい。
良い友達をもったなあ私
「じゃあ将来は3人チームってことだな。よろしくな爆豪」
「なんでそうなんだ!よろしくするつもりはねえわ舐めプ野郎!」
『轟くんとかっちゃんがチームとか激強じゃん...それこそ私要らなくない?』
「「お前がいなきゃ意味ねえだろ!」」
『わあ、息ピッタリ』
3人でチームか〜強いし楽しそうかも!
きっと未来は明るい