対抗戦 編
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いずっくんが囮役として1人で行動し、残りのメンバーで連携して捕獲。今は周辺にトラップ、索敵として峰田くんのモギモギを設置中だ。
その間に狐火を増やしながら耳を澄ませ、音を探る。
個性を使えばじろちゃんや障子くんには全然劣るが、他の人よりは音を察知しやすい。敵の場所を探りつつ、いずっくんの音にも注意しておかないと...!
「なんかくっついた!」
『複数何か飛んでくる!』
部品や鉄くずに目がけて狐火を放つ。
!おっきくなった!?
すかさずお茶子ちゃんがゼログラビティで浮かせてくれたが突然部品や鉄くずから打撃が発生し、全員が弾き飛ばされる。
『いてて...すごい個性ばっかだね』
「うん...びっくりした!今ので場所バレたかも。デクくんは...」
お茶子ちゃんの言葉にすかさず、いずっくんの音を探る。大きな音。何か大きなものが壊れた?立て続けにまた...
『何か変!私、いずっくんの様子見に行ってくる!』
嫌な予感がする。いずっくんは建物の被害もちゃんと考えて動くはずだし、心操くんも物間くんもパワー系じゃない。
物が多いステージで助かった。入れ替えを使い、音のした方角へ進む。
!?何あの黒いの...
『危なっ!』
向かって来た黒い線のようなものを咄嗟に避ける。伸びてきた先を見ると、黒い線はいずっくんから出ているようだった。
「逃げて!!」
いずっくんの苦しげな声が響く。嫌な予感は的中し個性が暴走しているようだ。
早く助けなきゃ!
高い建物に移動し、銃でポイントを打ち始めると黒線が一斉に同じ建物に向かっていった。何事かと建物の方を見ると、その先には驚いた様子で固まっている心操くんがいた。
咄嗟に入れ替えを使うと、視界が変わった直後に吹き飛ばされ壁に激突する。
ふらふらと定まらない視界の先で黒線は更に暴走し、お茶子ちゃん達がいる方にまで伸びていった。
早く止めなきゃ...
頬にできた傷の血を地面に擦り付ける。
『陣地作成...!』
五芒星が浮かび上がり、力が溢れ出る感覚がする。
いける!いずっくんが陣地に入ったタイミングで狐火で囲む。
黒線を食い止めないと負傷者が出るのは時間の問題だ。でも火では当たるといずっくんにダメージがいってしまう。
いずっくんもみんなも傷付けないようにするにはどうしたら...
「逃げてユウちゃん!力が溢れ出て止められない...!」
『落ち着いていずっくん!周りに被害が出ないように私が食い止めるから、力を抑える事だけに集中して!』
あちこちに伸びる黒線を狐火で相殺していくが、止まれと苦しそうに叫ぶいずっくんの個性が収まる様子はなく、焦りが増していく。
このままじゃ、いずっくんの体が持たない。でも相殺するので手一杯で他に手が...
「心操くん!!」
『お茶子ちゃん!』
そうか心操くんの個性なら!
「デクくん落ち着け!!」
「止めっ...られない!」
『危ない!』
お茶子ちゃんと入れ替わり、いずっくんの手を掴む。攻撃も狙いも私、1人に集中させればなんとか...!
『止まって!』
突然手の甲に桜の花のマークが浮かび、光り始めた。周辺に淡く光る無色の花びらが舞い落ちる。
体に何か流れ込んで来る感覚がする...!
舞い散る花びらの色が無色からピンク色に変わっていき、それに比例するように、いずっくんの個性が収まっていく。
このままいけば抑え込める!
そう思った直後に体に激痛が走る。
『ッあ!』
絶え間なく襲ってくる激痛に体が壊れるんじゃないかという錯覚に陥る。
舞い散る花びらがピンク色からどんどん濃くなっていく。
何...これ...どうなって...
「心操くん!!洗脳を!!2人を止めてあげて!!」
「緑谷ァ!!オレと戦おうぜ」
「〜〜応!!」
ピタッといずっくんの個性が止まると同時に痛みが収まり、花びらも消えた。
力が抜け、落下していくところをお茶子ちゃんに助けられる。
「ユウちゃん!」
『お茶子ちゃん...ありがとう。私は大丈夫だからいずっくんを』
体が熱い。熱がずっと溜まっているような変な感じがする。あがった息を整えていると、いずっくんとお茶子ちゃんに物間くんが攻撃を始めた。
クソッ!攻撃を仕掛けようとしたところに部品が飛んでくる。
「ナアアイス ポルターガイスト!」
「黒いのが暴れて作戦が台無しになってしまった」
「ん」
「いたアアオラアア!」
「3人ともブジ!?」
「みんな集まった!乱戦だ!」
陣地は解除されてしまったが、このメンバーならなんとかなるだろう。
かっちゃんより早い人も強い人もいないもんね!
「君の力貰ったよ!!」
「待って物間くん危」
「遅い!!」
『させるか!』
いずっくんに触れた物間くんを地面に押さえ付ける。
「ああもう...っスカかよ!」
「いずっくん!心操くんをお願い!」
「ずいぶん余裕だね。三条さん!...貰った!...!?どうして出ない!?」
『ちょっと訳ありなもので!』
明確には個性じゃないからコピー出来ないのか。尻尾を叩きつけると気絶したらしく、物間くんは大人しくなった。
どうしよう...加減したはずが結構なダメージに...まあ不意打ちムカついたし、発言etc、日頃の行いってことで!
気絶した物間くんを牢に運び、みんなの元へ戻る。
みんな善戦してくれてる...!残りは3人。
心操くんはいずっくんに任せるとして、あと2人。
攻撃をかいくぐり、一気に間合いを詰める。体が軽く相手の動きがよく見える。
前までと全然違う。
自分の成長を始めて感じながらパンチと後ろ蹴りを決める。
<第5セット!なんだか危険な場面もあったけど4-0でA組の勝利よ!!>
「やったー!」
『勝ったー!』
「みんなお疲れ様!」
「三条のせいで私の出番なかった!」
「そうだぞ!お前といい緑谷といいなんなんだよ!ちゃっかり新技だしてきやがって!」
「デクくんもユウちゃんも大丈夫?」
「うん、なんとか。麗日さん、ユウちゃんほんとにごめんね」
『気にしないでいいよ!そこまでな怪我してないし、私もいずっくんに変なことしちゃったし...』
「あの桜の技だよね!?あれで体の痛みもなくなったし、個性も収まっていったけど、どんな技なのかな!?」
『あれは...っ!』
「どうしたのユウちゃん!やっぱりどこか怪我して...!」
『大丈夫!ほんとに頬の傷だけだから!ただなんかちょっと熱っぽくて』
「それは早く保健室行った方がいいよ!」
「先生には言っとくから行っといで!」
「送っていこうか?」
『ううん。大丈夫。ありがとう』
なんとか誤魔化せたみたいで良かった...やっぱりこれ折れてるのかな...アドレナリンが切れたらしく、じわじわと痛みが増してくる。
黒い線に吹き飛ばされた時、腹思いっきりやられたもんなあ。いずっくんにはバレないようにしなくちゃ。
保健室に行くとリカバリーガールがすぐに治療をしてくれた。
「肋が折れてるから、しばらく安静にするんだよ。あと熱も少しあるから解熱剤を持っておいき」
『ありがとうございます』
部屋に戻り、早速薬を飲む。
あの桜は一体...
あの時のように光ってはいないが、手の甲にはまだ桜のマークが残っている。
でも最初と形も色も変わってる...
はじめは色なんてついてなかったし、花びらも欠けていなかったはずだ。それが今は濃いピンク色になり右半分の花びらがなくなっている。
考えてもわかんないや...だるくなってきたし、もう寝よう。
疲れもあり、目を閉じて直ぐに私は眠りについた。