対抗戦 編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
今日はB組との合同戦闘訓練。早く到着したA組はコスチュームの話題で盛り上がっていた。
「入学時と比べるとだいぶみんなのコスチュームも様変わりしてきたな」
確かに気が付けばみんな変わってきたなーと辺りを見渡してバッと思わず二度見する。
『かっちゃんが長袖になってる!』
「ほんとだ!かっちゃんも変えてる!」
「あー!?文句あんなら面と向かって言えや」
ペラペラと長袖の利点を話し始めたいずっくんに、なるほどそういう事かと関心していると、ほめてんじゃねー!!!とかっちゃんがキレ始めた。
褒められてなんでキレてんのあの人...
「あれ?ユウちゃんも変えてるっていうかその腰に付いてるやつ」
『拳銃!』
「拳銃!?」
『っていうのは嘘でもないけど、普通の弾じゃなくて当たると中の水が飛び散る特殊な弾が入ってるの!あとこれ!』
「あわわわっ!」
「何やってんだ!!痴女かてめえは!」
『いたっ!膝まで裾上げただけじゃん!』
思いっきりはたかれ、裾を下げられる。
みんなスカートもっと短いの履いてるじゃん!ホルダーが見える太ももまで上げてないし!チラッと膝から見えるナイフの先を見せただけだし!解せぬ...
「それってもしかして新技のサポートアイテム?ってことは使えるようになったんだね!」
『うん!まだ範囲狭いし長くは使えないけどね。弾の中の液体には私の髪が溶け込んで入ってるの。ナイフも最初腰にって思ったんだけど、いざって時にも使えるし、隠れる場所の方がいいって、かっちゃんに言われて脚に付けたの!なんかスパイみたいでかっこよくない!?』
「スパイみたいって...でも考えたね!液体なら風に飛ばされたりすることはないし、銃にすれば狙った場所に早く確実にポイントできる。ナイフは物理的にも使えるし、一気に髪が切れるってことか。あんまり使って欲しくないけど...」
『考えたの全部かっちゃんだけどね!』
「オレはナイフは辞めろつったろーが!弾は、てめェ持ちのはその1種類にしたんだろうな?」
『し、したよ!気持ち的にやっぱり唾液は嫌だし』
「そっちじゃねえ方だ」
『......いざって時のために試作で5つ...』
「あ゛あ゛?ざけんな!寄越せ!オレが預かる」
『むう...絶対こっちの方が強いのに』
なくなく、服の内ポケットに入れてあった弾の入ったケースをかっちゃんに渡す。
「一回使っちまったら、ぜってえコッチばかり使う事になる。今じゃなく、将来のこと考えろ。戦闘は1戦じゃ終わらねえし、敵はいつ現れるか分かんねえ。ストックは溢れる程必要になんだぞ?少しは自分の体の事考えろ馬鹿」
「どういうことかっちゃん?」
「こいつの陣は、遺伝子量が多いほど強力なものになる。1番効率が良いもんが何かなんて決まってんだろ」
「?...!!ダメだよユウちゃん!血なんて1つ作るにも量が必要だ。それを複数用意するなんて、あまりに体への負担が大きすぎる!」
『わ、分かったよ』
2人に怒られてしゅんとしていると、ヤバいテンションの声が響き渡る。
見なくても誰だかすぐ分かっちゃうな...
本日もバリバリ通常運転な物間くんに本当に大丈夫かこの人と心配になる。
「見てよこのアンケート!文化祭でとったんだけどさァーア!A組ライブとB組超ハイクオリティ演劇どちらが良かったか!見える!?二票差で僕らの勝利だったんだよねえ!!残念だったねファイアーフェアリー三条さん」
なんでこっちに振ってくんの!?てかファイアーフェアリーって何!?
「三条すごかったぜ!」
「うんうん!とっても綺麗だった!」
「ライブの衣装も良かったけど、コスチュームの和装もいいね!可愛い!」
便乗するようにB組の人達が感想をくれるが、恥ずかしくてかっちゃんの後ろに隠れる。
「オレを盾にすんじゃねえ!」
『だってぇ〜!』
得意げに話していた物間くんが相澤先生の捕縛布で締め上げられ、先生達から特別参加者の発表がされる。
地獄の時間が終わったと安堵しながら誰だろうと少しワクワクしながら、かっちゃんの背から覗く。
『あ〜〜〜!心操くんだ!』
「うるせえ!」
『いたっ』
本日2度目...頭をさすりながら心操くんの言葉に耳を傾ける。
「立派なヒーローになってオレの個性を人のために使いたい。この場のみんなが超えるべき壁です。馴れ合うつもりはありません」
彼がどれだけ本気でヒーローを目指しているか、余る程に伝わる言葉だった。
やっぱり君は私なんかよりずっとヒーローに向いてるよ。
「おいユウ」
『ん?』
「キバっていくぞ」
『うん!』
試合は4対4のチーム戦。心操くんのみ2回参加で4対5と、うちのクラスが1チームのみ5人になるので5対5の試合になる。4人捕まえた方の勝利。
心操くんがハンデになるとは思えないんだけど...敵で当たらないといいなあ...というか私と組んだ人がハンデ背負うことにならないコレ!?
「4人捕まえた方...ハンデってそういうことか?」
「ああ...慣れないメンバーを入れる事。そして5人チームでも4人捕らえたら負けってことにする」
「お荷物抱えて戦えってかクソだな」
「ひでー言い方やめなよ」
『私の気持ちも考えろばかっちゃん!』
「んだてめえ!クソチビが!」
「いいよ。事実だし」
「得の高さで何歩も先行かれてるよ」
ほんと誰かと違って、できた人だな心操くん。
『心操くん!この前は助けてくれてありがとう!これで心操くんもヒーローデビューだね!ん?てことはこの後、どっちかの組に編入になるのか?同じクラスになれるといいね!』
「三条、気が早すぎ。まだできるか決まった訳じゃないし、やっとチャンスを掴めたってだけだ」
『心操くんなら大丈夫!だってすっごくヒーロー向いてるもん!A組は、かっちゃん以外は良い人ばっかりだから心配せず編入してきてね!』
「フフッ 三条は相変わらず変わってるな。あんたがいれば毎日退屈しなそうだ」
『これって褒められてる...のか?』
(心操とユウちゃん、なんかすっげえ仲良さげじゃん!?おいどうなってんだよ爆豪!)
(知るか!)
「お前ら仲良いんだな」
「別に仲良くは...この前たまたま話す機会があっただけだ」
『心操くん、すっごい良い人なんだよ!変な人達に絡まれてるところ助けてくれた上に、迷子だった私を教室まで送ってくれたの!』
「悪ぃ...なんか迷惑かけたな」
「いや、まあ...あんたも苦労してそうだな」
「ああ。でも毎日楽しい」
「だろうな」
『なんか友情が生まれた感じ?というかなんで轟くんが謝ってんの?』
「そういえば三条」
『何?』
「今更だけど、文化祭すごかった」
『見に来てくれてたんだ!恥ずかしいけど嬉しい』
「ファイアーフェアリーだっけ?クラスでも話題になってた」
『やめて恥ずかしい!!その情報は聞きたくなかった〜...』
「なんでだ?本当にそんな感じだったし、ぴったりじゃねえか」
「オレも合うと思うぜファイアーフェアリー」
『笑ってんじゃん!心操くんのいじわる!』
(なんか新たなライバル出現の予感!?)
(心操くんかー!どうなるんだろうね!)
「...」
ユウの為を思えば、今の関係は壊すべきでない。
長い片思いは今更だ。でも最近あいつがどんどんオレから離れていく気がして、不安でたまらない。
昔はずっと、オレの近くにいたのに...
高校生になり、初めこそずっとオレにくっ付いていたが、今は仲の良い奴もたくさん増え、そいつらと過ごすことも多くなった。危なっかしく、不器用な事を知り、ユウに目を掛ける奴らも増えた。それに...
ユウと話している2人を見て、顔が険しくなるのが自分でも分かる。アイツらの中で間違いなく、ユウは特別だ。心操って奴はよく知らないが、他に対する態度とは明らかに違う。
轟の中でユウが特別な存在なのは、見ていて嫌ってほど伝わってくる。きっとアイツは...
どうすりゃいいんだよ...
くじ引きの結果、見事に5人チームを引き当ててしまった私はへこんでいた。
『心操くんとか絶対強いじゃん...しかも物間くんいるし...なんでこうなるの...』
「が、頑張ろうユウちゃん!」
『うう...頑張る』
「確かに強力だけど、対策練ってけば十分勝てるっしょ!」
「早速、心操くんの試合だ!ここでしっかり対策考えてこう!」
チームのメンバーは、いずっくん、お茶子ちゃん、三奈ちゃんに峰田くんだ。
足を引っ張らないように頑張らなきゃ!
そして1戦目が始まった。
Ladyfight!