インターン&文化祭 編
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私はじろちゃん、ヤオモモちゃん、三奈ちゃん、透ちゃん、上鳴くん、瀬呂くん、いずっくんと文化祭の買い出しをしていた。していたハズである。
「三条!このスカートいいんじゃない?」
「こっちのセーターはいかがでしょうか?」
「これとか絶対似合うと思う」
『そ、そう?どれも私には可愛いすぎて似合わないんじゃ』
「そんな事ない!ユウちゃんなら可愛い系が絶対似合うって!」
「そうそう!あっ!あれもいいんじゃない?」
『で、でも』
「いいから私達に任せなさい!とびっきり可愛いの選んだげる!これで爆豪も轟もバッチリだ!」
『何が!?』
「もうすぐ男子も来るだろうし聞いてみよっか!」
『いいよ!別に!』
どうしてこうなった...
秋冬の服がないけどセンスないし困っちゃうなどと口走った結果である。
分かってる。分かってるけどなんでこんな盛り上がってんの!?私は寒くなければなんでもいいのに!
「ユウちゃんなら何着ても似合うと思うよ...!」
「オレはそっちが好み!」
「三条はズボンよりスカートの方が似合いそうだよな」
「だよね!私もそう思う!」
「このセール品のワンピもいいんじゃない?」
「じゃあ試着タイムといこっか!」
「いいねー!」
『ええー...』
『ってことがあって、何着か買ったというか買わされた内の1着なんだけどやっぱり変?』
文化祭の練習後、アイスが食べたくなり、かっちゃんと近くのコンビニまで買いに来たのだが、例の買い出しの際に買ったワンピースを、どうしたんだ?とかっちゃんにツッコまれやっぱり似合ってなかったのかとショックを受けながら経緯を説明する。
似合うって言われたから買ったけど、やっぱりこんな可愛い感じの似合わないんじゃん!みんなちゃんと本当のこと言ってよー!恥かいた!
「...別にいいんじゃねえの」
『ほんとに?気使ってない?クソ似合わねえとか服が可哀想とか思ってない!?』
「んなこと思ってねえ。お前に気なんて使わねえし似合ってねえならそう言うわ」
『それもそっか!良かった...みんなへの信用がなくなるとこだった』
「脆い信用だなおい」
『だって、服が可愛いってのは分かるんだけど、似合うかは別じゃん!似合ってねえのにイキってんなとか、服が可哀想とか思われたくないし...』
「どんな被害妄想だよ...それより文化祭の練習はどうなんだよ。随分大役任されてるらしいじゃねえか」
『た、大役...なかなか上手くいかないし不安しかない...本番って人いっぱいいるんだよね...もう考えただけで死にそう』
「ハッ!頑張るって言ってた癖に随分弱気だな」
『私はかっちゃんみたく鋼のメンタルしてないの!豆腐以下なの!』
「豆腐以下って雑魚にも程があんだろ。まだ日はあんだ。自信もって挑めるよう死ぬ気で練習しろ。そうすりゃ緊張も少しは軽くなんだろ」
『そうだね...頑張るよ 』
来てくれた人に楽しんで貰えるように頑張らなきゃ...!
そして時は過ぎ文化祭当日...
『緊張で死にそう...』
「なんも考えず楽しんでやれば良いんだよ!」
「そうそう!リラックスリラックス」
『みんなメンタルすごい...ダンス隊は衣装作ったんだ!すごいね、可愛い』
「でしょー!」
「既製品に手加えただけだけど」
「あーとーは〜...フッフッフ...」
「行くよ!ユウちゃん!」
『えっ!な、何!?』
突然女の子達に囲まれ、部屋に押し込まれる。
「よし!カンペキ!」
「めっちゃ可愛い〜!」
「サイズも良い感じですわね。良かった...!」
「先に言ったら絶対ユウちゃん着てくれなそうだし、内緒で仕上げてたけどバッチリだね!」
「早くみんなにお披露目したーい!」
『ほ、本当にこれで私出るの...?すごい恥ずかしいんだけど...』
ドレスに少し和の要素が入った豪華で可愛いらしい服に、髪は綺麗にハーフアップ、普段はしない化粧も施され、とにかく落ち着かないし、恥ずかしい。
「私達の作った衣装が不満なの〜?」
『違う違う!衣装はすごい可愛いんだけど、私じゃ似合わないっていうかもったいないっていうか...』
「ユウちゃんに似合うように作ったんだからユウちゃんが着てくれなくちゃ意味ないの!ユウちゃんは可愛いんだから、もっと自信持って!」
「ほら最終確認するから行くよ!」
『うぅ...』
「よーし!みんな!最終確認するよ!」
「おお!って...んん!?」「え!?」「は!?」
「もしかして、三条か!?」「マジ!?」
もう帰りたい...
私を見るなり唖然とする男子の面々に私のなけなしのメンタルはボロボロである。
「いつもと全然印象違えからびっくりしたぞ!でも良い感じだな!演出も更に映えそうだ!」
「三条って以外とこういう衣装も似合うんだな〜」
『切島くん、瀬呂くん、いいよ無理して褒めなくて...轟くん、似合ってない事はよく分かってるから、無言でそんなじっと見るのやめて!』
「なんでだ?可愛いし、すげえ似合ってるぞ」
『ふぇ!?』
「オオー!」「轟ヤル〜!」
「ユウちゃん顔真っ赤」
『だ、だだだって!』
「まあ轟に言われればそうなるか」
「え!?ユウちゃん!?めっちゃ可愛いじゃん!おい爆豪早く来い!いいもん見れるぞ!」
「んだよ。うるせえ.....な!?」
『は、恥ずかしいから、あんまり見ないで...』
目を見開き固まってしまった、かっちゃんの視線が痛い。絶対変って思われてるよー...みんな気使って褒めてくれようとするしもうやだ辛い...
「爆豪見とれすぎ!早く感想でも言ってやれよ!」
「見とれてねえわクソが!」
再び私に向き直るかっちゃんに何を言われるのだろうと身構える。
「馬子にも衣装ってやつだな」
〈お前って奴は!!〉
そのまま何処かへ歩いていく爆豪にクラス全員の心の声が一致する。
「あいつ本当っ素直じゃねえな!」
「ないわー」
「ああいうとこだよね」
「ユウさん、爆豪くんの言うことは気になさらず!とっても可愛らしいですわ!」
『かっちゃんが私のこと褒めた!?槍でも降るのかな怖っ』
(あれが褒め言葉にカウントされるって普段あいつ何言ってんだよ!)
(素直じゃないにも程があんだろ...)
(信じらんない!女の子には褒めてナンボでしょ!)
「三条、馬子にも衣装って褒め言葉じゃねえぞ」
『かっちゃんにしてはだいぶ褒め言葉だよ〜ボロクソ言われると思ってたのに』
「実際似合ってるし文句言うようなとこねえだろ。でもやっぱり馬子にも衣装っておかしくねえか?お前は別に普段通りでも普通に可愛いだろ」
『へ!?』
〈お前って奴は!!〉
「聞いてるこっちまでなんか照れるわ!」
「こっちは素直すぎ!」
「マジなんなの轟!そりゃモテるわ!」
「イケメンすぎて眩しい...」
「ユウちゃんしっかり!」
「気持ちは分かるけど落ち着いて!」
轟くんなんなのーー!
もう全身沸騰したように熱いし、鼓動がうるさい。こんなんじゃステージ出れない...元から出たくもないけども...
『あれ?いずっくんは?』
「それが買い物行ったっきり帰って来ねえんだよ」
「もうすぐだってのに」
『どうしよう、何かあったのかな...』
エリちゃんって子が見に来るから頑張らなきゃってずっと言ってたのに...
その後30分を切ってもいずっくんはやって来ない。
どうしよう何かあったんだ。探しに行く?でも何処に?私まで間に合わなかったら更に状況が悪くなる。そもそも私は、ちゃんと失敗せずにできるの?
真下に見える大勢の人達にどんどん気持ちは焦っていく。純粋に楽しみに見に来てくれた人以外にも、冷やかしに来た人や私に恨みがある人も間違いなくいるだろう。
「おい三条!顔色悪いけど大丈夫か?」
「保健室行くか?」
『だ、大丈夫だよ...!全然元気だし!』
「嘘ついてんじゃねーよ馬鹿」
『かっちゃん!?どうしてここに?ステージで待機しとかないと...』
思わぬ人物の登場に驚いていると、ぽんっと頭の上に手が乗せられる。
「余計なことは考えんな。練習通りやりゃあ良いんだよ。失敗したってこんだけいるんだから、誰かがフォローするまでだ。だから堂々としとけ。ビクビクしてちゃ舐められたままだからな。お前の個性で全員殺すくらいな気持ちでいっとけ」
『いや殺しちゃダメでしょ!』
「気持ちっつったろバーカ」
『もう...』
「これ終わったら屋台で好きなもん買ってやる」
『ほんと!?』
「フッ 嘘なんてつかねーわ。だから頑張れ」
『うん...!』
髪が崩れないように、軽くぽんぽんっと頭を撫でると、かっちゃんは帰っていった。
呼吸が出来ないような息苦しさから解放され、霧が晴れたように清々しい気分だ。
目を閉じて深呼吸をする。
『やってやる...!』
さあ開演だ