インターン&文化祭 編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
最近インターン組のやる気が凄まじい、動きがキレてるなどとクラスで話題になっているが、私は常に緊張しているような切羽詰まっているような彼らの表情が気になって仕方なかった。でも何かあったのかと聞いても、はぐらかされてしまう。
『かっちゃん...私って嫌われてるのかなあ...自分が頼りにならないことくらいわかってるけど、話すだけで楽になることだってあるよね?』
「何か話せねえ理由があんだろ」
『話せない理由?そうなのかな...私が頼りないから』
「頼りなかねえよ。ヒーローは体や精神あらゆる部分で無理しなきゃいけねえ。弱いとこなんて見せらんねえ。だからお前みたいに気持ちを分かってくれる奴がいるだけでだいぶ違えはずだ」
『じゃあ、かっちゃんは思い詰めたり、しんどいことがあったら、今度は私を頼ってくれる?』
「.....ああ」
『何今の間!?絶対頼ってくれないじゃん!かっちゃんの嘘つき!』
「...お前にかっこ悪いようなとこあんま見せたくねえんだよ」
『演習テストの時にかっちゃんのかっこ悪いとこは十分見たよ!かっちゃんは強いし、そうやってなんでも隠して平気そうに見せるのだって得意だし、ヒーローとして完璧だよ。
でもかっちゃんが事件以降ずっと1人で思い悩んで、苦しんでたの知って、気付けなかった事がすごい悔しくて悲しくて情けなかった。
ヒーローが無理をしなきゃで弱いとこを見せられないなら、私が気付けるようにする。救けて貰ってばかりじゃなくて私もかっちゃんの事救けたい!』
「...好きにしろ」
『うん!好きにする!あと私やりたいことできたから、すぐにじゃないけどインターン行こうと思う!』
「は!?お前危なっかしいし、大怪我するから辞めとけっつったろーが!!何より勉強どうすんだよ!」
『勉強は補習があるって切島くん言ってたし...かっちゃんにもお世話になることになると思うけど...』
「オレはお前がインターンに行くのは反対だ。だから勉強は教えねえ。つーかやりてえことってなんだよ?インターン行かねえとダメなのかよ」
『えっと...やりたいことっていうか将来の夢?みたいなので、最近なんとなく考えてて...
さっきかっちゃんが気持ちを分かってくれる人がいるだけで、だいぶ違うって言ってたし、好きにしろって言ってくれたし本気で目指そうと思って...かっちゃんに言うの恥ずかしいんだけどさ...』
「言え」
『う、うん。私、かっちゃんのサイドキックになりたい...です...』
本人の前で言うのが恥ずかしくて、言葉がしりすぼみになる。キョトンとした顔で固まるかっちゃんに恥ずかしさが増していく。
レベルも全然違うのに馬鹿みたいな事をとか思われたよねきっと!
でも私だって考え無しに軽い気持ちで言ってるわけじゃない。
『私、目立つの嫌いだし、みんなみたいにヒーローに憧れたり、目指してるわけじゃないし、誰でもどんな状況でも人を救けたいって思えるほど良い人間じゃない...
でも、かっちゃんやみんなの事は救けたいし、力になりたいの。かっちゃんが悩んだり苦しんでる時に今度は気付いて救けられるように、傍にいたい。
戦闘も、仮免試験の時に轟くんが私の事強いし、一緒に組めば勝てるって言ってくれたから、ちょっとはお役に立てるかなとか思ってるわけなんですけど...
もちろん強くなれるよう今後も努力はしていくつもりです!あ、ダメならダメって言ってくれればそれでいいし!諦めるから!』
変わったな...
目立つ事が嫌いでいつも自信なさげで、自己評価が異常に低い。今どき珍しくヒーローに興味がない。そんなこいつが自らヒーローになりたいって言うようになるとは思わなかった。守りたいと思ってるヤツに救けられるのは正直少し悔しいが、将来も隣にいる事を望んでくれるこいつの気持ちが嬉しくないわけがない。
「ダメなんて言うわけねえだろ。元からオレが事務所設立したら無理やりでもお前雇うつもりだったし。だから別にサイドキックじゃなくたって事務員とかでもいいんだぞ?」
『完全に初耳なんですけど!事務員とかやれって言われればやるけど、せっかくヒーロー科入ったしどうせなら近くで活躍見たいし!個性の相性も悪くないからサイドキック目指す方向で!』
「サイドキックってんなら厳しくいかねえとなァ?
今のお前の強さじゃオレは満足しねえ。あと危なっかしいのと自分犠牲にするような戦い方すんのはなしだ。ナンバーワンヒーローになる男のサイドキック簡単に務まると思うなよ?」
『頑張る!轟くんが私の事強いって言ってくれたからちょっと自信ついたし!そんな訳で、修行をしつつ、かっちゃんが仮免とって何処かインターン行ったら、そこに一緒に行かせてもらうつもりなんだけどダメかな...?』
「チッ!そういう事なら仕方ねえから勉強でも修行でもなんでも付き合ってやるよ」
『やった!ありがとうかっちゃん!』
「それはそれとして、今も轟、轟ってお前最近アイツと距離近すぎねえか?つ、付き合ってるわけじゃねえよな...?」
オレがコイツと距離を取っていた間に何かあったのではとずっと気になっていた。よく一緒にいるとこを見るし、こうも名前を連発されると嫌な予感がしてならない。
『この前三奈ちゃん達にも付き合ってるの?って言われたけど、私と轟くんが付き合ってるわけないじゃん!だって轟くんだよ?あの激強で成績優秀、非の打ち所がないような超イケメンで女子から絶大な人気がある轟くんだよ?天地がひっくり返ってもありえないでしょ』
良かった...こいつのあまりに高い半分野郎への評価は腹立たしいが、付き合ってないならとりあえずいい。
「だよな...あの士傑のテンション高えハゲと付き合う気もねえよな...?」
『あーえっと...夜嵐くんだっけ?全然ないけどなんで?』
「お前の事とか連絡先教えろって補習の度うるせえんだよ!」
オレとこいつが付き合ってないと知るや否や連絡先を教えてくれととにかくうるさい。教えればこいつは押し負けて付き合い始めそうな気がするし断固として教えるつもりは無いがとにかくうるさい。
『あーなんかファンですとか言われたし、試験で色々あったしなあ...別に教えてもいいよ?』
「そんな軽々しく男と連絡先交換とかすんじゃねえ!」
『何故!?毎回言われてうるさいから交換しろって話の流れじゃなかった?』
「違ェ!付き合う気がねえならいい」
『そ、そうですか...ていうか付き合う気も何も、私が誰かと付き合えるわけないじゃん〜
可愛くないし全然女の子らしくないし、何やっても失敗ばっかだし馬鹿だし、これで彼氏出来たら奇跡でしょ...
それに私、恋とかよく分かんないし。
かっちゃんはある人のこと見てると胸がザワつくとか気付いたら目で追っちゃうとか、誰かと話してるとモヤモヤするとかって経験ある?』
「.....ある」
『ええっ!?あるの!?かっちゃん女の子に全然興味無いと思ってた...ハッ!もしかして男の子?』
「違えわ馬鹿!ふざけんな」
『ふざけてないし!でもまさかだったなあ...かっちゃんは私と同類だと思ってたのに』
「お子ちゃまなお前と一緒にすんな」
『でも、かっちゃん今彼女いないよね?振られたの?』
「振られてねえわ」
『じゃあ告白しなかったってこと?かっちゃん半ば脅しだろうがなんだろうが強引にいきそうなのに意外』
「殴られてえのかてめェ」
『だってそういうイメージなんだもん。でもかっちゃんの好きだった子、どんな子なのか気になるな〜写真とかないの?』
「ねえ」
ここでこいつの写真を出したり、お前だとか言えたらどれだけ楽だろうか。
つーか実際写真ねえな...今度手に入れる方法考えるか。
『ちぇ〜つまんないの。じゃあ可愛い?美人?性格とかは?』
「...可愛い。不器用でバカ」
『めっちゃ意外!?かっちゃんは美人で、なんでも完璧って感じの人がタイプだと思ってた』
そうだったら苦労していない。何が悲しくて本人の前で、報告しなきゃいけねえんだ。
「お前はどうなんだよ。恋が分かんなくても好きなタイプくらいはあんだろ?」
『そうだね〜優しくて前向きで、漢気ある切島くんみたいな人がいいかも』
「お前...クソ髪が好きなんか?」
『な、なんでそんな怖い顔なの...みたいな性格ってだけで、切島くんが好きってわけじゃないよ?いや好きだけど多分そういうのじゃない。いずっくんや轟くんだって同じように好きだし、かっちゃんのことだって好きだよ...?』
「そうかよ」
『あれ?もしかしてかっちゃん照れてる?』
「照れてねえわ!」
悪戯っぽく笑うユウにそれ以上何も言えなくなる。
そういう意味じゃねえって分かってんのに クソッ...
簡単に好きとか言うんじゃねえ!