仮免試験 編
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「何をしてんだよ」
言われた2人は動揺し、固まっている。
これで少しは冷静になってくれるといいんだけど。
『いずっくんありがとう!すごいかっこよかったよ!』
「そ、そそんな...!持ち方が雑になってごめん」
『全然!入れ替わった後ノープランだったからほんと助かった!』
「ノープランって!ユウちゃん無茶しすぎだよ!頼むからもっと自分を大切にして...」
『ごめん...次は気をつける...救けて貰った恩返しとしてヴィランと戦うの頑張るね!』
「う、うん!」(本当に気をつけてくれるかなあ...)
後方に進行されないように狐火で壁を作る。
「すごい!ユウちゃんそんなに一気に狐火扱えるようになったんだ!」
『即席で1個ずつの火力は弱いし、牽制くらいにしかならないけどね...量もこれが限界』
「それでもすごいよ!これで後方をあまり気にせず戦える」
『役に立てて良かった!僭越ながらサポートさせて貰うね!』
いずっくんが部下を蹴散らし始める。私は少し後方で狐火で攻撃しつつ、いずっくんのサポート。今のとこは順調だけど、轟くんと夜嵐くんを倒してボスシャチがこっちに攻撃してくるのは時間の問題だ。
無理は承知だがまだ2人には頑張って貰わないと、いずっくんと2人では抑えきれない。
『ショート!夜嵐!ヒーローなら最後まで勝つことを諦めるな!少しでも多くの人を救え!まだ2人の頑張りで救える人達がたくさんいる!今までの事チャラにできるくらいカッコイイとこ見せてみろ!!』
応えるように、炎が風で舞い上がり、ボスシャチを炎の渦に閉じ込めた。
『やるじゃん』
思わず口の端が上がる。
「三条さんかっこよすぎ」
尾白くんが加勢に入ってくれた。
『師匠!』
「師匠呼びやめて!恥ずかしい!怪我人の避難済んだって!すぐに何人か加勢くるぞ!」
「加勢する!」
『みんな!』
常闇くんや三奈ちゃん、梅雨ちゃん、他の学校の人達も続々集まってくる。
これなら、壁を解除しても良さそうだ。壁の狐火を部下に全てぶつける。
渦が遂に壊され、ボスシャチがギロりと2人を睨みつける。
「で?次は?」
『じゃあこれは?』
轟くんの炎をしっかりイメージして、作った巨大な狐火を放つ。
『2人ともあとちょっと頑張って!』
炎の渦が再び出来上がり、ものすごい勢いで、炎が燃え上がる。
「すごい...渦っていうよりも柱みたいだ...」
『まだまだ!』
続けて狐火を放つと空を突き抜けるように、どんどん炎は大きく、強く燃え上がっていく。
いける...!しかし、音波のようなもので炎は掻き消されてしまった。
『なっ!』
「僕がやる!」
いずっくんが畳み掛けるように蹴りを入れたところで終了のアナウンスが流れた。
「終わった!?」
『えっ倒せてない...どうなるのこれ...』
「た、多分大丈夫だよ!ユウちゃんすごかったし!」
『行けそうな口叩いてすいませんでした...恥ずかしい死にたい...』
「轟くんと夜嵐くんに言ってた言葉めちゃくちゃかっこよかったし大丈夫だよきっと!」
「あれめっちゃかっこよかった!」
「あれが緑谷の言っていた戦闘モードの三条か」
『なんでみんな聞いてんの!?勢いで言ったから何言ったかあんまり覚えてないけど、はずっ...もう死んだこれ...』
「ユウちゃん顔真っ赤だけど大丈夫?何かあった感じ?」
「ユウ生きてる?」
「どうしたんだこれ?」
「それがね!聞いてよ!」
『三奈ちゃんやめてーーー』
結局クラス中に知れ渡ってしまった...もう無理...恥ずかしい...
そんな精神が死んだ状態で合格発表となり、どんより気分で画面に映った名前を確認する。
『あった!良かった〜!』
「ユウちゃんも名前あったんだね!おめでとう!」
『ありがとう!いずっくんもおめでとう!戦闘大活躍だったもんね!』
「それはユウちゃんの方だよ!だって」
『もーやめて!さっきのことには触れないで...』
せっかく忘れてたのに、また思い出してしまった...
気を紛らわそうと名前の一覧を端から見始める。
あれ...轟くんの名前がない...
チラッと本人を見ると静かに画面を見つめたまま固まっていた。なんて声を掛ければいいか分からず、戸惑っていると、夜嵐くんが轟くんのところにやって来て勢いよく頭を下げた。
結果が覆ることはないが、2人は無事和解できたようだ。2人とも優秀だし次は絶対合格できるだろう。
採点内容のプリントが配られ目を通すと82点と記載されている。
見間違いではと何度も見直すが数字は変わらない。
テストでこんなにいい点数が取れたことが未だかつてあっただろうか...
「ユウちゃんどうだった?」
『いずっくん...これ本当に私のかな?82ってテストでこんなに点取れたことないよ私...』
「すごい!僕は71点だった」
「オレは80点だ。負けてしまったな」
『マジか!いずっくんと飯田くんより上とかもう一生ないな。本当にこれ私の...?』
「ユウちゃん疑いすぎだって」
プリントともう一度にらめっこを始めるが、後ろから聞こえた声に思わず振り返る。
かっちゃんも落ちてたの!?
しかし、後に聞こえた声で納得する。
言動ね...確かにそれは落ちるわ。私もかっちゃん化が進行してるっぽいし気をつけよ...
その後の話で落ちた人達も講習を受けテストで結果を残せば仮免を発行してくれるとの事だった。
良かった良かった...
「やったね轟くん!!」
『良かった!仮免おめでとう轟くん!』
「三条、気が早え。でも...すぐ...追いつく」
仮免許証を貰いなんともいえない高揚感にソワソワする。
「おめでとう、三条」
『えへへ、ありがとう轟くん』
「おーい!!」
『あっ夜嵐くんだ』
「轟!!また講習で会うな!!けどな!正直まだ好かん!!先に謝っとく!!ごめん!!」
「どんな気遣いだよ」
「こっちも善処する」
『あはははっ!夜嵐くん面白すぎ!轟くんも善処ってw』
「それと三条さん!」
『え!?わ、笑ってごめん』
「試験での言葉、めっちゃ痺れました!体育祭でかっこいいのは分かってたんスけど、想像より何倍もかっこよかったッス!惚れました!!それだけッス!」
『え』
「ええっ!!?」
「それだけとは?」
『なんか分かんないけど、行っちゃったね...』
「...やっぱり善処できねえかもしれねえ」
『なんでそんなこと言う!?そこは善処してよ!?』
「かっこよかったってオレが先に言いたかった。あの言葉で頑張れた。ありがとう三条」
『そんな理由...恥ずかしいし出来れば忘れて欲しいんだけど、轟くんの力になれたなら何よりです』
「かっこよかったのになんでだ?オレはぜってえ忘れねえ」
『轟くん本当にいつまでも覚えてそうで怖い...』
「...」
『な、なにか...?』
「名前。あの時焦凍って呼んだのに、もう呼ばねえのか?」
『え?...違っ!あれはヒーロー名呼んだつもりで轟くんを呼び捨てになんて恐れ多いこと!』
「恐れ多いって三条は轟にどんなイメージ持ってんだよ...」
「轟くんなんでそんなところ...」
「よく分かんねえけど、呼ばれて嬉しかったから...か?」
『なんで疑問形よ...知らんわ』
「なになに!轟それってどういうこと!?」
「詳しく!!」
「轟くんそれってどういうこと!?」
『三奈ちゃんと透ちゃんの食い付きが...いずっくんも落ち着いて』
「えっ!これってもしかしてもしかしちゃう?」
「おい、爆豪どうすんだよ!このままだとユウ取られるぞ!?」
「...あいつがどうしようがあいつの勝手だ。オレには関係ねえ」
「事件があってから全然ユウと関わろうとしねえし、喧嘩してんのかなんなのか知らねえけど、本当にこのままでいいのか?」
「爆豪がそんなんなら、オレがユウちゃん貰っちゃうよ?」
「...好きにしろよ」
あいつを守れねえオレに隣にいる資格はねえ...