林間合宿 編
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またやってしまった。
私は一体どれだけかっちゃんに迷惑をかければ気が済むのだろう。
私が手を伸ばすなんて事しなければ、かっちゃんは捕まらずに済んだのに...
あの時、ちゃんと身代わりという役目を全うするつもりだった。それなのに、かっちゃんの声を聞いて無意識のうちに手が出てしまった。
無意識でも動いてしまう程に、かっちゃんに救けてもらう事が体に染み付いてしまっている自分が怖かった。
今回は運良く救かった。けれどあの時、ヴィラン側に
かっちゃんに対しても敵意があったら、私のせいでかっちゃんが殺されていたかもしれない。ヒーローを志す以上ヴィランとの戦いは避けられないし、今後そうなる可能性は大いにある。
このままだときっと私はかっちゃんを殺してしまう。
やっぱり傍にいちゃいけなかったんだ...
謝ってそれで終わりにしておけばよかった。
あんな事をしてしまった時点で彼の横にいる資格なんて私にはないのに、当たり前のように横に並んでくれる優しい彼に甘えてここまで来てしまった。
終わりにしなきゃ...
「おい、三条大丈夫か?」
『え?あっ相澤先生!オールマイトもどうしたんですか?』
「はあ...どうしたって自分の状況考えろ。ヴィランに連れ去られて、怪我負わされて入院してんだぞ」
『あー...そうですよね...すいません、ご迷惑おかけしました』
「三条少女、怪我の容態は?救けに行くのが遅くなって本当にすまなかった」
『そんな!救けてくれてありがとうございました。そして平和の象徴お疲れ様でした。最後の最後まで諦めず戦い、勝利する姿とってもかっこよかったです。
怪我はまだ手がちょっと不自由なのと、舌が痛くて食べたいもの食べられないくらいで、そんなに大したことないです。多分ステインの時の方が重症でしたし』
「たった半年でお前程入院するやつは初めてだよ...だが今回は完全にオレの落ち度だ。お前らが攫われるって時にオレはその場にいることが出来なかった」
『先生達は悪くないですよ...それに私のせいでかっちゃんは攫われたんです。私が手なんて出さなければ全部上手くいってたのに...ダメだって分かってたのに私は...』
「攫われた経緯は緑谷達に聞いた。お前のせいじゃない。救けようとする人間の手を取ることの何が悪い。お前がアイツらを救けたいと動いたのと同じように、アイツらはお前を救けたいと動いたんだ。それより問題はお前の自らを犠牲にするような戦い方だ」
「三条少女、それは私からも叱らねばいけない。
君が自ら舌を噛んで死のうとしたと爆豪少年から聞いた。君は爆豪少年の枷になりたくないとそうしたんだろうが、あれで君が死んでしまっていたら、彼に一生消えない深い傷を残すことになっていただろう。
君が運ばれた後の彼は酷く動揺していて、顔色も悪いし倒れるんじゃないかと心配したよ。彼があんな風に取り乱すなんて正直とても驚いた。彼にとって君はそれだけ大切な人なんだよ。
そんな人に目の前で死なれたらどう思う?君が爆豪少年の立場だったらどうかな?」
『絶対に嫌です...そんな事になったら私も死ぬしか...
痛っ!』
相澤先生の超強力なデコピンが炸裂し、痛すぎて額をさすりながら悶える。
「お前は自分の命を粗末にしすぎだ。いいか?絶対に最後まで自分が救かることを諦めるな。自己犠牲で解決なんてオレは絶対認めない。お前はもう1人じゃない。周りには救けてくれる仲間がいるんだ。だから存分に頼れ。迷惑どころか頼られて嬉しくない奴なんていない。特にヒーローはそういう人種だからな」
『そっか...それなら私も変わらなきゃ』
「私にはもう以前のような力はないが、何かあれば頼ってくれ」
「今回のような事を二度と起こさない為に、学校は全寮制にする事となった。三条、お前には他より早く、退院次第寮へ移って欲しいんだが構わないか?」
『それは全然OKですけど、外出禁止って言われてるし、荷物とか買い物ってどうすればいいですか?』
「オレが同伴するのが条件で、外出できるよう警察に話はつけてある。明後日に迎えに来るから、行かなきゃ行けない場所をしっかり纏めておけ」
『分かりました』
全寮制か...何もかも丁度いいタイミングだ。学校外ではかっちゃんにお世話になりっぱなしだったが、それがなくなる。
先生の言う通り、頼られて嫌な人がいないのなら、今後は色んな人に頼らせて貰おう。
迷惑だと思いつつもかっちゃんにばっかり頼ってしまったのは、昔からの癖と彼の隣にいたかったからというくだらない私のエゴだ。
いつまでもかっちゃんの優しさに甘えていてはいけない。
ずっと前からそんな事分かってたのに、決心するのにここまで時間が掛かっちゃった...
遅くなってごめんね。もう終わりにするから。
今まで私を救けてくれてありがとう