林間合宿 編
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轟くんと別れた後、椅子に座り、外を眺めているクリーム色のツンツン頭を見つけて声をかける。
『あ!かっちゃん!』
「な、なんだよ!」
『え...かっちゃんにまでそんな態度を取られるとはショックだ...クラスの男子が轟くん以外なんかみんな冷たいしなんなの!』
声掛けた瞬間、思いっきり顔背けられたし、未だにこちらを見ようとしないかっちゃんに心が折れそうになる。
『もういい。話しかけてごめん』
「おいユウ!なっ...なんでまたオレの服着てんだてめえ!」
『光己さんがくれるって言ったから貰った...て、かっちゃん!血!鼻血出てる!』
慌ててティッシュを渡すと、かっちゃんは赤くなった顔で苦虫を噛み潰したような顔をした。
逆上せてたのか...これは話しかけちゃ可哀想だったなあ...
『どう?だいぶ治まった?ごめんね話しかけて』
「血も治まったしもういい。それよりあのババァまたやりやがって...!」
『どうせもう着れないしってこれの他にも何着かくれたよ?あ...この前のTシャツは今着てるやつって言ってたっけ?しれっと持ってきちゃった!ごめん!』
「見当たらねえと思ったらお前か!何しれっと盗んでんだ、ざけんな」
『今かっちゃんに返すと私の着る服足りなくなるから勘弁して〜!』
「なんでこの前服買わなかったんだ馬鹿!」
『今まで制服とジャージだけで生きてきたから、全然服のこと考えてなかった!連泊は盲点だった。数が足りない...光己さんが服くれてほんと助かった!これで制服とジャージにかっちゃんのお古が追加されてオシャレ度がちょっと上がった!』
「少しくらい自分で買え!女らしい格好をしろ!てかこの前の買い物では普通の服着てただろ!」
『あのジーパンとパーカーは中学の時バイト先の人がサイズ合わないってくれた唯一の普通着だから!貰ったやつオシャレだったし私が女らしい格好したとこで誰も見てないし興味無いし良くない?』
「いいから買え!合宿終わったらまたショッピングモール行くぞ」
『ええ...』
何故キレられた?服は着てればとりあえずいいと思うけどなあ...
次の日は5時半に起床で眠過ぎて私は立ちながらうたた寝をしていたが、かっちゃんのくたばれ!!!という声で目が覚めた。
個性を伸ばす...?
『キツい...もう死ぬ...』
限界突破って何?死ぬよこれ。
私の訓練は狐火の火力上げ。唯一の攻撃手段だから最も伸ばすべきなのは分かってるけど、職場体験からこればかりだ。訓練内容は土でできた標的をいかに少ない回数で破壊できるかというもので、1回で壊せたら、もっと硬いものにステップアップしていくという仕様だが、なかなかステップアップ出来ない。
何がダメなんだろ?エンデヴァーさんには、もっと強くイメージしろとか、意思が足りないとか色々言われたなあ...イメージってただ火の玉をイメージするだけじゃ足りないってこと?
結局あまり進展することなく、夕飯のカレー作りが始まった。
ヤバい超絶疲れたし眠い...でも働かざる者食うべからずだし、みんな頑張ってるんだから頑張らないと!
できることあるか心配だったけど、火付け役で役に立てて良かった...
ゆらゆら揺れる炎を見つめていると、横に轟くんがやって来た。
『こうしてみんなで何かするの楽しいね。めっちゃ眠いけど』
「そうだな。でもお前が寝て火に突っ込まないか心配だ」
『この炎って熱いかな?』
「熱いに決まってんだろ。大丈夫かお前」
『そんなひいた顔しないで!?流石に傷付く!いや、見た目は変わらないのにどうして私の作る火は温度が低くて弱いのかなって。エンデヴァーさんにもっと強くイメージしろとか意思が足りないって言われたけどそれがよく分からなくてさ...
個性伸ばし全然上手くいかないし、このままだと私だけ置いてけぼりだよーどうしよう轟くん』
「どうしようって頑張るしかねえだろ」
『そうなんだけどさ...なんかコツみたいなのない?』
「同じ火でもお前とオレじゃ体の構造や出力の仕方も全然違うし、コツとかイメージも変わってくるだろ。でも意思は、相手を倒そうって気持ちが弱いってことじゃねえか?」
『倒そうって気持ち...』
「あとイメージがっていうなら、自分が見た一番理想に近い火をイメージするとか」
『自分が見たことのある火か〜なるほど。
ていうと今まで見た中で1番強い火...理想.....うん!
轟くん!私の中で轟くんの火が1番強くて理想だ!』
「オレか?」
『うん!轟くんの火はめっちゃ強いし、絶対勝てる!って感じがするもん!なんかできる気がしてきた!ありがとう轟くん!』
「力になれたなら良かった」
火の近くにいるせいか、轟くんの顔が少し赤い。
赤くなった轟くんの破壊力もやべえな
『ん〜!カレーめっちゃ美味しい!!』
空腹ということもあるかもしれないが、本当にめちゃくちゃ美味しい。
「三条、よく噛まないと喉に詰まるぞ」
『ん゛っ!』
「言わんこっちゃねえ!」「この馬鹿!」
『...ふぅ。2人ともお水ありがとう。死ぬかと思った』
(なんか三条の保護者増えてる)
(まさかの轟が...)
(恋!?恋の予感!?)
(全くそんな雰囲気ないけどな)
『よし!今日こそやったるぞ!個性伸ばし!』
「なんか今日は元気やねユウちゃん」
『今日はやっとレベルアップできる予定だから!』
「そっか!うちも頑張らんと!」
轟くんの炎をイメージして...
『いっけーー!』
標的が見事1発で壊れ、地面にはまだ少し炎がちらついている。
『やったー!大幅パワーアップ!轟くんありがとう!いないけど!』
大きくステップアップし、標的の強度もかなり上がってきた。いい感じ...!
やりきった感満載だけど、めっちゃ疲れた...眠い...でも昨日火付けただけだし、今日はもうちょっと活躍しないと!
『あ』
「ユウちゃん指大丈夫!?」
『大丈夫大丈夫、ちょっと切れただけだから。よし!今ので目覚めたし、今度は失敗しないぞー』
「貸せ!また失敗するって落ちが見えてんだよ馬鹿!」
『大丈夫だって〜かっちゃん心配しすぎ』
「ただでさえ下手なのに、そんな半分寝たような状態でできるわけねえだろ!まともな飯作れるようになってから出直してこいアホ」
『うっ...』
交代した途端、かっちゃんがものすごい勢いで野菜を切り始め周りがざわつく。
「爆豪くん包丁使うのウマ!意外やわ...!!」
「意外って何だコラ 包丁に上手い下手なんざねえだろ!!」
「出た!久々に才能マン」
『いつ見てもほんとすごいね〜いいなー私もかっちゃんみたいにできるようになりたい』
「お前には一生無理だわ」
『むう...』
結局ほぼほぼ何も出来ずに終わってしまい、夕飯終了後の肝試しの時間になった。どうやら補習組は参加出来ないらしい。芦戸ちゃんすごい楽しみにしてたのに可愛そすぎる...
補習組を心の中で応援し、ペア決めのくじを引く。
あんまり普通に回れる自信ないし、やらかしてもフォローしてくれる人がいいなあ。8番は...
『やった!いずっくんだ!』
「ユウちゃんとペアとか嬉しすぎる...!よろしくねユウちゃん!」
『うん!よろしくいずっくん!』
大当たりだー!今度は1人増えることもないし安泰だ。
「おいデク!代われ!」
「嫌だよ!くじで決めたんだからちゃんとそれに従わないと...!」
『かっちゃん文句言っちゃダメでしょ!轟くんと仲良くなれるチャンスだし!』
「あんな奴と仲良くなってたまるか!」
『かっちゃんー?』
「チッ!わーったよ!行けばいいんだろ行けば!」
「あれ?意外とかっちゃんあっさり行ったね?」
『今かっちゃんマイナスだから』
「何が!?」
『どうしよ、いずっくん眠くなっちゃった』
「ユウちゃん相変わらず自由だね...」
『なんか悲鳴がたくさん聞こえるし、順番近づいてきたし怖くなってきた』
「確かに僕もちょっと怖くなってきた」
!!
『何か来る!』
この感じ...ヴィラン...!
夜は黒く染まっていく