林間合宿 編
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テンションが低すぎてお通夜状態の4人を見て何が起こったかを察する。
必死に学科をクリアしたのに実技に受からなかったことがどれほどの絶望を生むか私には痛い程分かった。特に切島くんなんて共に勉強を頑張った仲だ。そんな彼が林間合宿に行けないなんて私もかなりショックだ。
でも声を掛けようにもなんて言ってあげたらいいか分からない...
いずっくんが励まそうとしているがそれは逆効果だと思う。予想通り上鳴くんに変なスイッチが入ってしまった。
『ああ...すっごい気持ち分かる...』
「良かったな三条。実技も合格で無事補習回避じゃねえか。お前が学科合格だったのが未だに信じらんねえけど」
『あれほどの地獄をみて不合格だったら、へこむどころの話じゃないし、間違いなく殺される...実技は2人がいてくれなきゃ絶対負けてたし、私ほぼなんも出来てない...それどころか、かっちゃんにキレて頭突きしちゃったし』
「やっぱりお前やべえな。女が頭突きなんてするか普通。しかも爆豪相手にだろ?いかれてるとしか思えねえ」
『轟くんほんと容赦ないね...だってほんとに腹たったんだもん!超絶見損なった!でも今もおでこ痛くてやり過ぎたって反省してる』
「ほんと馬鹿だなお前」
『知ってる!そうだ、轟くん!今度特大ファイヤーやろうよ!狐火で火力を上げれるっていう発見があってさ、轟くんの個性火だからめっちゃすごいの作れそうじゃない?』
「フッ 小学生みてえ」
文句を言おうとしたところで相澤先生が入ってきた。
合理的虚偽だったらしく林間合宿はみんないけるようだ。良かったー!ただし補習はあるとの言葉で5人に釣られて私もテンションが下がった。可哀想すぎる...
『やった!補習あるけど林間合宿みんな行ける!』
「なんでお前がそんな喜んでんだよ」
『だって学科せっかく合格できたのにあんまりじゃん!可哀想すぎるよ!』
「学科でそんなにつんでんのお前だけだわ」
確かに1番つんでるのは私だろう。でもきっと私だけじゃない!...はず
「明日休みだし、テスト明けだしってことでA組みんなで買い物行こうよ!」
葉隠ちゃんの提案でクラスが盛り上がり始める。
楽しそう!しかし明日。よりによって明日...でもむこうはどっちの方が良いんだろ。
「おい爆豪おまえも来い!ユウは行くだろ?」
ほんと切島くんいい子だ〜これは行くしかないでしょ!
「行ってたまるかかったりィ。あとこいつは病院だ」
「そうだったのか悪いなユウ」
『え?う、うん』
あれ?私これ行けない感じ?
「何変な顔してんだバカ」
『せっかく切島くんが誘ってくれたんだし、行きたければ行ってもいいんだよ?私は目的あんまり変わらないし、別に行ってもいいなーって思ったんだけど』
「...オレじゃ不満かよ」
『全然!そういう訳じゃないよ!お願いしたの私だし!でもかっちゃん乗り気じゃなかったし、クラスの人達と行った方が楽しいし楽なんじゃないのかなって思ってさ。私と買い物行くと疲れるって昔よく言ってたじゃん?』
「別に乗り気じゃなかったわけじゃねえよ。受験の時に買い物付き合うって約束したし」
『覚えてたんだ!かっちゃんほんと真面目っていうか律儀だねえ。でも本当に良いの?疲れる上に退屈かもよ?』
「良いつってんだろ。疲れることはあっても、お前といて退屈するってことはぜってえねえわ」
『あ!なんか似たようなこと轟くんに言われたんだけど、あれ褒め言葉じゃなかったのか...恥ずかしー喜んじゃったよ私』
「チッ!舐めプ野郎...とにかく明日は予定通り買い物行くぞ」
『うん!』
次の日私はかっちゃんとショッピングモールに来ていた。
『おーめっちゃ店あるし人いる!』
「語彙力残念すぎだろお前。持ってねえもんばっかなんだ。急いで回るぞ」
『はーい!』
連れられるがまま色んなお店を回り、とんでもない量の荷物になった。
『すっごい量...かっちゃん大丈夫?私もうちょっと持てるよ?』
「こんくらい余裕だわ。そろそろ飯にすっか」
『やったー!ファストフードとか久しぶり!』
「なんでここでもオムライスだよ!他にも色々あんだろ!」
『だって好きなんだもん。デザート付いてるし!イチゴタルト!かっちゃんの坦々麺めっちゃ辛そうな色してんね...』
「こういうとこのなんて大して辛くねえわ」
そう言ってかっちゃんは涼しい顔で坦々麺を食べ始めた。私も食べよ!
おおこれは...!
『かっちゃんが作ったやつの方が美味しい...』
「ふーん。残念だったな」
全然残念そうじゃなく、満足気な顔でかっちゃんは笑みを浮かべている。
『どうしようー爆豪家と学食のせいで舌が肥えてしまった...前までなら絶対美味しく食べれたのに!これも全然美味しいけど上を知ってしまったがばっかりに...も〜!どうしてくれんのさ、かっちゃん!』
「さあな。自分で考えろ」
これは非常に不味いことになったと思いながら、デザートのイチゴタルトを頬張る。うん、美味しい。
「今度それも作ってやろうか?」
『えっ!ほんとに!?...あ』
意地悪そうに笑うかっちゃんにしまったと口を噤む。
これは絶対楽しんでる顔だ。むう...
『べ、別にいいもん』
「あっそ。続き早く回るぞ」
遊ばれた...
しかし恐ろしいことに気付いてしまった。今後のご飯事情が非常に心配である。
これ卒業したら私、生きてける?何食べても美味しいって思えなくなっちゃうんじゃ...
真剣に悩んでいると、少し奥にあるゲーセンのぬいぐるみがふと目に入った。
可愛い!!
『ねえ!かっちゃん!あれ欲しい!』
「あれって、もしかしてゲーセンのやつか?」
『そう!あの大きいひよこ!』
「今のこの荷物みてそれ言うか?」
『だって欲しいんだもん!ちょっとやってくる!』
「おい、馬鹿やめとけ」
『何これ全然取れない!』
「やめとけって言っただろ。てかこのひよこのどこが可愛いんだよ。目腐ってんのか」
『それはかっちゃんの方でしょ!』
「ああ!?」
私が苦戦してる横で、ぬいぐるみを睨みつけていたかっちゃんが代われとゲームをプレイし始めた。
「なんで取れねえんだよクソヒヨコ!」
『ひよこに怒らないであげて』
かっちゃんがキレて爆破させるんじゃないかと心配になってきた頃にやっとひよこのぬいぐるみをゲットできた。
『やったー!かっちゃんありがとう!』
「今日イチ疲れたわ...てかまじこいつ全然可愛くねえ」
『えー可愛いいじゃん。目つき悪いしなんとなく、かっちゃんに似てるよ?というか今気付いたけど、小さい頃のかっちゃんにめっちゃ似てない?』
「ふざけんな。全然似てねえわ」
『えーすごい似てると思うんだけどなあ』
めっちゃ手触りいいなこの子。
ひよこを抱えながら私はルンルン気分で家へと帰ったが、かっちゃんはとても疲れた顔をしていた。
お買い物は計画的に