林間合宿 編
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3人でゴールした後、リカバリーガールの元で治療をして貰う。
『2人の方がよっぽど重症なのに情けない...何この疲労と眠気...』
「ユウちゃんすごい頑張ってたから。個性使用後の副作用もあるし当然だと思うよ」
『ありがとう、いずっくん。あ...忘れてた燃やしてごめんね』
「ああ...あれはほんと焼け死んじゃうかと思った...ユウちゃんあんなことができたんだね!すごい!」
『職場体験で火力調整修行したから...
上げなきゃいけないのに全然上がらなくてエンデヴァーさんにめっちゃ怒られた。で、轟くんに逆は出来んのか?って言われたからやったら、そっちはめっちゃスムーズにできたの。当たっても全然熱くない火...
そんなもの全く役に立たないと思ったけど、ちょっとは使えたね。轟くんに感謝だ』
「コントロールも出せる火の数も格段に上がってるし本当にすごいよ!変身も最後までオールマイト気付いてなかったし!」
「ほんとあれはびっくりしたよ...三条少女、いつの間にそんな技を身に付けたんだい?」
『職場体験で轟くんと修行してて、私が転けそうになったのを轟くんに助けられた時に突然なったんですよね...その後、変身できる条件を色々突き詰めたので、今は割と思うように変身できるようになりました!
でも組んだのがいずっくんでほんと助かった...素でかっちゃんって叫んじゃったから、いずっくんじゃなかったらアウトだったわ』
「それは危なかったね...」
『変身するにしても動作とか話し方がある程度分かる人じゃないと、一瞬ならともかく長時間はキツイね〜あんまり無言でも変だし、いずっくんとかっちゃんがチームだったから上手くできた感じだね。かっちゃんって叫んだのは素だし、やられてただけで全然いずっくんの真似してないけど...』
「あはは...戦闘で同じように真似するのは難しいよね。どうしても素は出ちゃいそうになるだろうし。でもユウちゃん戦闘中でもかっちゃんの真似ならいけそう!ちょっと怖かったけど、かっちゃんに怒ってたのかっこよかったし!」
『ヤバい、また遠回しに口が悪いって言われてる...てか思い出した、それで額がこんなに痛いんだ。オールマイトに頭やられたっけって不思議だったんだよね』
「まさかかっちゃんに頭突きしたこと忘れてたの!?すっごい痛そうな音してたし、2人とも脳震盪になるんじゃないかって焦ったよ...」
「頭突き!?三条少女が爆豪少年にやったのか!?逆じゃなくて!?」
「映像で見てたがあれは私も驚いたよ。その後もすごい勢いで怒ってたしね」
「三条少女もなかなかクレイジーだな...」
かっちゃんを抱えたオールマイトとともに校舎内のベッドへ移動する。
「三条少女の個性は一体なんなんだい?狐火、変身、USJと体育祭で見せた狐化。まるで複数の個性を持っているようだ。しかもこの時期にタイプの全く違う新たな力が発現するなんて普通じゃ考えられない」
『私にもよく分かりません。私は元々無個性の人間で無理やり押し付けられただけなので何の力があるのか全然分からないんです』
「!!無個性だったのか!無理やり押し付けられたってまさか」
『?私の遠い親戚の一族が受けた九尾の呪いだそうです。それは代々引き継がれていくもので、呪いを受けたものは長生きできず、最後は個性に食われて死ぬ。私が知ってることはそれくらいです』
「そうか...怖くはないのかい?」
『怖いですか?あの大狐になった時は記憶が何も残ってなくて、その間に人を殺してしまうんじゃないかってすごく怖かったです。でも体育祭でかっちゃんが止めてやるから大丈夫だって言ってくれたから今は前よりは怖くないです』
「そうじゃなくて死ぬ事がだよ」
『別に死ぬ事は怖くないです。今はすごい楽しいからできるだけ長く続いて欲しいとは思いますけど、私は周りに迷惑ばかりかけてしまう人間ですし、死ねって言われたら普通に受けいれます。死ねば私に呪いを押し付けた親戚への報復にもなりますし。でも死んで欲しくないってかっちゃんに言われたので、できるだけ死なない方向でいきたいですけどね』
「そう思ってるのは爆豪少年だけじゃない。私も相澤君もクラス全員がそう思ってる。誰かに迷惑をかけるのなんて当たり前のことだ。そんな事気にすることじゃない」
『そうですね...でも、かっちゃんが倒れてるのに私は軽傷でこうして先生と話してる。それが私はすごく嫌なんです。逆なら良かったのに...』
オールマイトはまだ何か言いたそうだったが、ベッドにかっちゃんを置いて、マズいと呟き急いで出ていった。
ベッドで眠っているかっちゃんを見つめる。
かっちゃんと私は絶対に同価値じゃない。本来なら価値のない私が1番に犠牲になるべきだ。それなのに、今私は大した怪我もなくここに立っていて、かっちゃんはボロボロでベッドの上で眠っている。
嫌だ。自分を救けるために誰かが犠牲になるのは耐えられない。もしこれでかっちゃんが死んでしまっていたら私は.....
『ごめんね、かっちゃん』
目を覚ますとベッドの上だった。重い体を無理やり起こし、周りを見渡すと横のベッドに座っているユウと目が合った。見たとこユウには大した怪我もなさそうでひとまず安心した。勝敗はどうなったんだ...?
『あっ!かっちゃん起きた!』
「勝敗どうなった」
『勝ったよ!かっちゃんのおかげだね!全然役に立てなくてごめんね。かっちゃんに頼りっぱなしだったせいで、かっちゃんが気絶するようなことになっちゃった...』
「勝てたんならいい。お前よくやってたじゃねえか。火のトリックと最後の入れ替わり。オレも騙されるとこだったわ」
『気付いてたの!?入れ替わりは咄嗟にいずっくんにお願いしただけで、かっちゃんには言ってなかったのに』
「お前が考えたのか。バカのくせに戦闘センスは意外と悪くねえな。動きがなんとなく、お前っぽいって思ったんだよ。確証までは行ってなかったが、あの名前の呼び方で分かった」
『あのやられた一瞬の動きで!?呼び方っていずっくんだってかっちゃん呼びでしょ?変わんないじゃん!』
「ちげえんだよバーカ」
別にこいつがクセのある呼び方をしているわけじゃない。自分でもこいつとデクの呼び方の違いを説明しろと言われたら多分出来ない。でも名前を呼ばれたあの時、こいつだってすぐに分かった。
見た目も声もデクで、偽物だと怪しまれるような失敗は一切していないに、それに気付いてしまった自分に我ながらひく。
『ええーもっといずっくんの研究しなきゃいけないなあ...幼馴染だしいけると思ったのに』
「そんな研究しなくていいわ」
『せっかく変身できてもバレちゃ意味ないじゃん!クラス全員出来れば完璧だよね!人間観察頑張ろ!あと狐火で火力上げできるとか私初めて知った!かっちゃん頭いいね』
「普通分かるだろ。できる個性は限られっけどな」
『まあ火で威力上げれるやつだけだけど、すごくない!?爆破だからかっちゃんとは相性良いね』
「まあそうだな。初発のやつ思ってた以上に火力上がってちょっと驚いたわ」
『あれ私もびっくりした。でもそうなると最強コンビは轟くんか。火に火足したらやっぱり1番上がるんじゃない?今度試してもらお』
「試さんくていいわ!オレに試させろ。どれくらい上がんのか、ちゃんと調べておきてえ」
『えーやっぱり特大ファイヤー見てみたいじゃん?でもかっちゃんと実験するのは私もやっときたい!今後かっちゃんとチーム一緒になった時とかに役立ちそうだし!あ...チームで思い出したけど、頭突きしてごめん』
「思いっきりやってくれやがって、クッソ頭痛えわ」
『あはは...私も今1番おでこが痛い』
「なんで頭突きしたんだよ馬鹿だろ」
『えーいずっくんに殴られてたからビンタは可哀想かなと思って頭突きにした』
「ビンタの方がまだ軽傷ですんでたわ」
『ごめんごめん』
そう言いつつこいつにビンタされるのは余りに苦すぎる思い出があるので頭突きで良かったと心の中で思った。
「悪かった...みっともねえとこみせた」
『ほんとあれは見損なった』
ハッキリと言われた言葉にショックを受けるがあれでは仕方がない。こいつを泣かせてしまうほど失望させてしまった。この失態はなかなか取り返せるものではないだろう。
『でもその後のかっちゃんはちょっと良かったよ。かなり乱暴だったけど、一応チームっぽかった。...今度はちゃんとかっこいいとこ見せてよね』
「ああ。惚れるほど見せたるわ」
『ふふっ今回のでマイナススタートになったから何十年かかるかなあ〜』
洒落にならなそうな言葉に思わず口元が引きつりそうになる。意地悪そうに笑うこいつを惚れさせるのが如何に難しいかオレは死ぬほどよく知っている。それこそテストに合格するより遥かに難しい。もしかしたらナンバーワンヒーローになるより難しいかもしれない...
まあ、初めからマイナスだろうがなんだろうが諦める気なんて毛頭ないけどな。
マイナスから一気に駆け上がれ