職場体験 編
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「三条、だいぶ火力調整とコントロール良くなったよな」
『えへへ、轟くんが手伝ってくれたおかげだよ〜火力上げるのはダメなままだし、あの変身も何だったのか謎のままだけど...』
「あれは本当になんだったんだろうな。でも全然熱くねえ炎とかすげえな。オレにはできねえ」
『そんな炎使い道ないけどね...轟くんの炎は強いしかっこいいよね!The炎って感じ!』
「三条は小学生みたいだな」
『語彙力ないからしょうがないじゃん!でもかっちゃんのヒーロー名候補よりは絶対マシ!』
「フッあの時三条すげえ笑ってたもんな。確かにあれよりはマシか」
『でしょ!?』
轟くんと仲良く会話をしながら保須市に向かう。
『保須市ってこんなに遠いの?なんでこんな遠くにわざわざ』
「三条、ニュース見なかったのか?ヒーロー殺しのステイン」
『飯田くんのお兄さんの...もしかして!』
「ああ、目的はステインだ。心配しなくても、オレらが危険なことやらされる事はねえ。オレらみたいなガキに頼ってるようじゃヒーローは務まらねえよ」
『うん。轟くんはともかく、私は足でまといにならないように気をつけなきゃ』
事件のことばかりでどこで起こったかなんて全然知らなかった。まさか保須だったとは...
『ねえ轟くん、飯田くんの体験先って確か』
「ああ。保須だ。嫌な予感が当たんなきゃいいんだが...」
私と同じ事をきっと初めから、轟くんは心配していたんだ。私は職場体験前なんて自分の事で手一杯で何にも周りを見れていなかった。ちゃんと見れていたら何かできていたかもしれないのに...
『早くステインを捕まえなきゃ』
「ああ」
保須に着き、エンデヴァーさんの後ろを2人でついて行く。聴力を強化させつつ、周りも警戒しながら歩く。
ん?スマホのバイブ音。私のものと轟くんのものが全く同じタイミングで鳴った。気になったが怒られるかなと思いスルーしようとしたら横では轟くんが躊躇なくスマホを見ていた。
よしじゃあ私も!開くといずっくんから謎の位置情報が送られてきていた。
『轟くん、これって』
「行くぞ、三条!」
何がなんだか分からないまま、轟くんに手を引かれ走り出すが、轟くんのエンデヴァーさんに言った言葉でなんとなく察しがついた。
「悪い、咄嗟に連れてきちまったが、行けば危険な目に遭うかもしれねえ。お前は今からでも戻って」
『私も行く。友達を助けなきゃ』
轟くんの手を強く握ると、同じように強く握り返された。
「もうすぐだ!」
轟くんが炎を使う。不意をついた攻撃だったはずなのに、ステインは見事にそれを避けた。
ステインだ...記事で見た人物と同じ。この殺気、雰囲気は只者ではない。USJの奴らとは根本が違う。殺人者の目だ。
『いずっくん!飯田くん!』
「轟くんにユウちゃん...!?」
轟くんの氷により2人と合流できた。
いずっくんの説明によるとステインに血を舐められると動けなくなるらしい。でも轟くんや私の個性なら!
!速い!轟くんの頬をナイフが掠り、即座にステインが迫ってきた。
狐火をステインに向かって放つが全て避けられてしまった。
強い。少し気を抜けば確実に殺される。
『轟くん!クッ!』
轟くんも私もナイフを食らった。上!
倒れていたはずのいずっくんによりステインの攻撃は阻まれた。
轟くんの攻撃に続けて狐火を放つが、全てかわされる。
「僕が奴の気を引きつけるから轟くん、ユウちゃんは後方支援を!」
『任せてなんてかっこいいこと言えないけど、いずっくんを支援できるよう頑張る!』
「三人で守るぞ」
『うん!』
いずっくんがステインに向かって行ったが、ステインは勢いよくこちらに向かってきた。
轟くんをやられるわけにはいかない!私が前に出なきゃ!
「止めてくれ...もう...僕は...」
踏み込もうとした時、飯田くんの声が聞こえた。
こっちの気も知らないで...!!
「『やめて欲しけりゃ立て!!!』」
「なりてえもんちゃんと見ろ!!」
轟くんの至近距離での攻撃を避け、気がついた時にはステインの刀は轟くんの目の前に迫っていた。
咄嗟に轟くんを押しのける。
ここで終わりか...
そう覚悟した時に飯田くんの蹴りがステインを吹き飛ばした。個性が解けた!喜んだのもつかの間、ステインの激しい攻撃は止まらない。
さっきより速くなってる...!
飛んでくるナイフから轟くんと飯田くんを庇う。
「三条!」
『大丈夫、!』
不味い時間を稼がなきゃ、轟くんは防御で手一杯だ。
『轟くん!前方にこっちの姿を隠せるような大きな氷作って!』
「さっきあいつが言ってた通り、こっちの視界が悪くなって不利になるぞ!」
『私がちょっと時間を稼ぐ。その隙に飯田くんをお願い。あと私が私の名前を呼んだら氷とか気にせず、思いっきり攻撃ぶっぱして!』
「は!?お前何言って」
『それじゃよろしく!』
この尻尾が増えた感覚、多分間違いない。一瞬すぎてあの時は気付かなかったけど、同じ感覚だった。
いける!
氷を飛び越えステインと対峙する。反撃しようとせず、手一杯な感じにみせろ。ここだけ体が持てばいい。もう少し経ってから...!
来た!
血を舐めようと至近距離に来たところで、目立たない場所に留めておいた狐火を一気に集結させる。
『三条!!』
横に避ける瞬間に狐火に囲まれて、混乱しているステインと目が合った。にいっと口角を上げてみせる。
『くらいやがれ』
氷の壁を壊し、ものすごい勢いの炎が目の前を駆け抜けた。
よし...!ステインの攻撃が止まった!
『たたみかけろ!』
飯田くん、いずっくんの攻撃がステインに直撃する。
やった...!
「立て!!まだ奴は...」
轟くんの声にすぐに警戒態勢に入ったが、どうやらステインは気絶したようだ。
気が抜け、ため息をつくと目線が低くなった。
『あーあ戻っちゃった』
「ユウちゃん!!??」「三条くん!?」
『轟くん、とりあえず武器奪ってステイン縛っておこう』
「ああ」
「待って!スルーしようとしないで!?」
『ごめん、轟くん重いでしょ...轟くんも怪我してるのにほんとごめん...』
「問題ねえ。お前の怪我に比べたら掠り傷くらいだろ。お前の出血やべえだろそれ」
『めっちゃ刺されたし斬られたからね...轟くんが痛み止め持っててほんと助かった。私も今度から絆創膏以外も装備しよ。
ああっ!轟くんのコスチュームに血が!ごめん!降りる!これは間違いなくクリーニング案件だ...』
「暴れるなあぶねえ。服なんて汚れるもんだって前も言っただろ。お前重症なんだし、もう個性解いて寝とけ。騒ぐと怪我に響く」
『じゃあ申し訳ないけど、寝かせて貰うね』
怪我も疲労もすごいし、個性を使いまくったせいで正直ものすごく眠かったのでありがたく寝かせて貰うことにした。どうせ背負って貰わないと動けないし...
個性を解いた瞬間私は気絶するように眠ってしまった。
「早っ!?ユウちゃんもう寝たの?」
「多分な。職場体験2日ともこんな感じだった」
「もはや特技だな」
「飯田くんそこ感心するとこ!?
そうか轟くんユウちゃんと同じ...羨ましい...」
「羨ましいか?こいつ馬鹿だし相当危なっかしいぞ。何かやらかすんじゃねえかって気が抜けねえ。変なことばっかり言うし面白いけどな」
「轟くん結構ユウちゃんに対して辛辣だね...でもすごい楽しそうだ」
「そうだな。目離せねえし、ヒヤヒヤさせられるけどこいつといると楽しいし、なんか元気でる。職場体験をこんなに楽しく過ごせるとは思ってもなかった」
「轟くんがエンデヴァー事務所行くって聞いた時ちょっと心配だったけど、流石ユウちゃんだ」
「でもほんとにこいつやべえんだ。学校で爆豪がそこまでする必要ねえだろって思って見てたが、この2日で爆豪の気持ちが分かった気がする...」
「あはは...昔から2人はあんな感じだから。かっちゃんを振り回せるのなんてユウちゃんくらいだよ」
「だろうな。最初こいつが爆豪にくっ付いて登校してきた時は、マジで驚いた。爆豪も初日の振る舞いからは考えられねえ態度とるし、別人みてえだった」
「ユウちゃんにだけだけどね...あの優しさをもう少し他の人にもって思うんだけど」
「多分無理だな」
「うん...」
幼馴染2人の関係が僕は昔から羨ましい