職場体験 編
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「ユウちゃん、大きくなったわね」
「大してデカくなってねえだろ。チビのままだわ」
「大きくなってるわよ。背だって伸びてるし、顔立ちも大人っぽくなった。それに大きめの制服着てるから分かりずらいけど、結構胸とかあるんじゃない?」
「知るか!オレに聞くな!」
「顔真っ赤w勝己君は初心で可愛いねえ」
「ば、馬鹿にしてんじゃねえ!」
「フフっまあまあ。でも大きくなったのよ。昔はそんなに思わなかったけど、お母さんに似てきた。顔見て泣きそうになっちゃった私」
「いきなり抱きつかれて、すげえびっくりしてたぞあいつ」
「あれは絶対お母さん似の美人になると見た」
「あいつの母ちゃんは確かに美人だったけど、あいつは美人にはなんねえだろ」
「はあ〜そんなだからダメなのよ」
「そんなってなんだよ!あいつは美人じゃなくて、か、可愛いだろ...」
「ブフッ!あんたって子は...そういうことね。のほほんとしてて、表情豊かでほんと可愛いわよね。昔から変わらないわ」
「馬鹿で不器用のまま、中身なんも成長してねえんだよ」
「変わってなくて嬉しい癖に。でもあれは手強いわ〜ほんと死ぬ気で頑張らないと落とせないわよ?まあ今日の聞いて、ユウちゃんを妹にするのもありだって思ったけど。実際あんたが世話焼くから小さい頃よく兄妹に間違えられてたじゃない?彼氏より絶対お兄ちゃんの方が向いてるわよあんた」
「向いててたまるか!全部あいつが馬鹿で不器用すぎんのが悪いんだろうが!」
「ユウちゃんが何でもできるようになったら、あんたの出る幕なくなっちゃうし変わってなくてほんと良かったわね。おかげで兄ポジションはそのままキープじゃない」
「いらんわそんなポジション!」
嫌な予感というか絶対そうなると予測はしていたが、ユウを送った帰りの車から永遠、ユウのことで弄られている。最悪だ。
「でもまた会えて本当に良かった。ユウちゃんがいなくなった後の勝己、辛くて見てられなかったし。ユウちゃんがいてくれないとダメなんだなって、もう泣けちゃって泣けちゃって今思い出しても泣きそう」
「別にあんなやついなくても平気だわ」
「よく言うわー大泣きしてずっと世界の終わりみたいな顔してたくせに。ユウちゃんが病院運ばれた時もそうだったけど、普段大泣きしたり落ち込んだりしないのに、ユウちゃんの事になるとすぐメンタルボロッボロになるじゃない。それにユウちゃんいてくれれば、もう少しマシな性格になったわよきっと」
「昔のことほじくり返すんじゃねえ!てかマシってなんだこのクソババア!」
「そういうとこよ!」
「痛えなクソ!」
長きに渡った言い争いに疲れ、いつもより早く寝床についた。
今日は色々散々だった。
人のこと好き勝手言いやがって!
親に片思いの相手がバレてるとか地獄以外のなんでもない。頼むからほっといて欲しい。どうしてあんな馬鹿なやつを好きになってしまったんだと今まで何度思ったことだろう。あいつでなければ、親にバレる事もこんなに苦労することもなかったのに!
マジで疲れた。こういう時は早く寝てしまうに限る。
ん?なんで枕がこんな場所に?
変な場所にある枕を頭の位置に戻して、バッと記憶が蘇る。
あーークソ!布団を頭まで被る。本当に今日は散々な日だった。
次の日、ユウを迎えに行くとなんだか浮かない顔をしていた。
「どうした?昨日家来て疲れたか?ババアがうるさかったし」
『そんな!昨日はすごい楽しかったよ!また会えてすごい嬉しかったし!』
「じゃあなんだよ」
『昔の夢を見たんだけど、ちょっと気になったことがあって...』
「んだよ」
『体育祭で私を爆破するのに躊躇してたのってもしかしてこの火傷のせい?』
何も言えず固まったオレに困ったように眉を下げ、喋ろうと口を開く、ユウを遮る。
「謝るな。お前がなんて言おうとその傷を作ったのはオレだ」
『うん。だから私はこの傷が好き』
「は?何言って...」
混乱するオレに微笑み、ユウは続ける。
『この傷はさ、かっちゃんが私を救けてくれた証で
あり、私が初めてかっちゃんを救けられた証なの。
辛かった時に何度もこの傷に励まされた。
だから、かっちゃんが後ろめたく思う必要は何も無いんだよ。
それに名誉の負傷だって言ったでしょ?ああ、今は男の勲章ってやつになるのか』
「...ハッお前は女だろ。ばーか」
ああ...本当にこいつってやつは...
なんでもないような顔で意図も簡単にオレを救ってしまう。初めてなんて言うが、本人が気付いてないだけでオレは何度も素直で飾らないこいつの言葉に救われてきた。照れくさくてなかなか素直に言えないが、本当に感謝している。
あークソ...好きだ
なんでこんなやつをなんて、自分が一番よく分かってる。そもそもユウに出会ってなければ、好きや恋なんていう煩わしいものを知ることもなかっただろう。
『かっちゃんが私のこと女って言った!びっくり!』
「どこに食いついてんだ。バカはスルーか」
『だって馬鹿だし』
きっぱり答えるこいつに思わず笑ってしまう。
馬鹿な子ほど可愛い なーんてな