職場体験 編
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当日、みんなが大いに盛り上がっている中、1人超絶ブルーにコスチュームの入ったトランクケースを抱える。
「お前、テンション低すぎだろ。葬式かよ」
『だって絶対怖い人じゃん...殺されちゃう』
「殺されるか馬鹿。ヒーローなんだと思ってんだ。せっかくのチャンスだ。てめえのポンコツ技上手く扱えるようにしてこい」
『分かった...頑張る...頑張ったらまたオムライス作ってくれる?』
「...仕方ねえから作ってやるよ。ただし、ちゃんと使えるようになってたらだぞ」
『やった!頑張る!』
「ほんとお前って単純だな」
『あとお土産買ってきて!』
「なんでそんなもんオレがてめえに買ってこなきゃいけねえんだ!」
『えーだって東京行くんでしょ?ずるい!』
「旅行じゃねえんだよ!何がずるいだ!」
いつも通り、仲がいいのか悪いのか分からない会話をしていると時間になり、駅へ向かって行くかっちゃんを見送る。
はあ...オムライスのために頑張ろ。
「おい、三条そろそろ行くぞ」
「はーい」
轟くんと一緒なのが唯一の救いだけど、どうなる事やら...
クッソキツい!!てか怖い!なんかもう喋んなくても怖い!
「コントロールどころか、動きが全然なってない。火の出力も弱すぎる。そんな状態で、1番使えそうな変身はやりたくないなんて我儘言っている場合か」
「何言ってやがるクソ親父!あれ使ってこいつ死にそうになったんだぞ?そんな危険なもん使うべきじゃねえだろ!」
「そんなもの繰り返し鍛えればどうとでもなる。あれがお前の出来うる技で1番強い。だから使えと言っているんだ」
『すいません...でもあれだけはもう使わないって決めたんです』
「じきに使わないのは無理だと気付くだろう。お前の他の能力だけではすぐにヴィランにやられる」
エンデヴァーさんが部屋を出ていき、思わずため息がでる。
『ごめんね轟くん、私のせいで全然修行にならなくて。空気悪くしちゃうしほんとごめん』
「謝るのはこっちの方だ。あのクソ親父、他人を道具か何かと勘違いしてやがる。お前呼んだのは多分...クソッ胸糞悪ぃ...
大丈夫か?三条。稽古ぶっ続けで疲れただろう。お前は休憩しておけ」
『疲れたけど、私進歩して帰らないとオムライス作って貰えないから、もう少し頑張る...』
「オムライス?」
『うん。職場体験頑張ったらオムライス作ってくれるって約束をかっちゃんとして来たから、職場体験頑張らないとなの!』
「フフッ...お前オムライス目当てで職場体験やってんのかよ」
『そうだよ!職場体験憂鬱でしかないし、私の微かな希望なの!』
「ハハッ!その言葉クソ親父に聞かせてえ」
『やめて轟くん!?マジで殺される!』
「言わねえよ。マジで殺されんじゃねえかってオレもちょっと心配になってきたし。それより爆豪ってオムライス作れるんだな。普段の様子からは全く想像できねえが...」
『なんか聞き捨てならないこと言わなかった!?かっちゃんはすごいよ!料理何でもできるしめっちゃ美味いの!』
「すげえな」
『だから私はオムライスの為に頑張る!その為に申し訳ないんだけど、轟くん火の使い方教えてくれる?』
「お前みたいな火の出し方はできねえができる範囲のことなら協力するぞ」
『ありがとう!』
指導を貰いながら轟くんの作ってくれた氷に狐火を当てる。
『全く威力が違う...轟くんの氷ちょっと食らっただけで消えそうな気がする』
「そもそも同じ火にしても使い方が大分違うししょうがねえだろ。それって消えるまでは自由に動かせるのか?」
『うん。何かにぶつかるまでは動かせるんだと思う。コントロール下手だから分かんないけど...』
轟くんの出した氷の周りをくるくる回してみせる。
「おお。...あ」
『当たっちゃったーもー上手くいかないなー!私もバーって一気に色々粉砕できる轟くんみたいになりたい!うわっ!』
「三条!」
氷の破片を踏んだらしく、滑ったところを轟くんに助けられた。腕を引かれ抱きとめられるような形になり、思わずドキッとしてしまう。
『ご、ごめん轟くん』
「怪我はねえ...!?」
『な、何、どうしたの?』
目を見開いたまま固まる轟くんに何かあったのかと不安になる。
「オレだ...」
『えっどどどうしたの轟くん?』
よくわからない返答にめちゃくちゃ心配になる。どうしちゃったの轟くん!?
「三条がオレになってる」
『えっ!?は!?』
じいっと轟くんの目を見ると確かに轟くんが写って見える。
『えっ!ええ!?』
「三条、近え」
『ご、ごめん!』
目を見るが為に思わず近付きすぎた...恥ずかしい...
轟くんから離れ自分の体を見ると、自分のコスチュームではなく、轟くんのものになっていた。
急いで窓の前にいくと、まんま轟くんが写っている。バッと本人を見ると先程と同じ場所で不思議な顔をしてじいっとこっちを見ている。
マジか...!?
髪を触るといつもの長さはなく、短くサラサラとした感触がする。そしてよくよく見ればさっきまでとは目線がだいぶ違う。
『轟くん髪サラッサラだし、身長高い!』
「お前よりでけえんだからそうなるだろ。それってオレの個性使えたりすんのか?」
『ハッ!どうやったら出せるの?』
「普通にこれを使うって考えるだけだろ。そこはお前と変わらないんじゃないか?」
『なるほど!』
轟くんは普通に手から出したり、足バンってして凍らせてたよね確か。
轟くんの使っている所を思い出しながら念じるが何も起こらない。
『んーダメみたい』
「そうか...あ」
『わっ』
ぼふんと煙に覆われ、目を開けると目線が低くなっている。
「戻ったな」
『戻ったね。あーあ残念...轟くんの姿だったらずっとそのままでも良かったのに』
「それはオレが嫌だ。自分がもう一人いるってすげえ変な気分だ。しかもテンションはお前のままだし違和感がやべえ...」
『確かに...ごめん轟くん。私がなるとせっかくのイケメンが台無しだ。でもなんで轟くんに変わったのかな?』
「なんでだろうな?...あ。そう言えばコケる前にオレみたいになりたいとか言ってなかったか?」
『あ!言った!
え?まさかの物理的になるの?轟くんの個性のこと言ったつもりだったのに、まさか本人になるとは...』
「今、なろうと思ってなれるか?」
『やってみる!
轟くんになりたい、轟くんになりたい、轟くんになりたい!』
「ならないな」
『ならないね...なんだったんだろ...』
「多分何か他に条件があるんだろ」
『1日1回とかコケるとか?』
「まあそんな感じだ。試しに他のやつになろうとしてみたらどうだ?他の奴ならいけるかもしれねえ」
『うん!』
かっちゃんやいずっくん、色んな人をイメージするが変わらない。
『ダメみたい...よし!コケてみよう!』
「怪我するなよ?」
勢いが大事だ!とコケたが、受身はとれたものの地味に痛い。
『ダメだったね...』
「ダメだったな」
差し伸べてくれた轟くんの手を取り、立ち上がる。
「あ」
『ん?』
立ち上がるといつもと目線が違う。体を見ると、轟くんのコスチュームに変わっている。
『出来た!わっ!』
今度はすぐに戻ってしまった。
「今度は戻るの早えな」
『燃料切れみたいな?なんでだろう』
謎は解明されないままこの日の訓練は終わった。訓練の疲れからベッドに入ると即刻寝てしまった。
地獄の職場体験開幕