職場体験 編
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息は切れ切れ、ずぶ濡れの状態で机に伸びる私を周りの人達が心配してくれる。八百万さんの作ってくれたタオルをありがたく受け取り、髪を拭き始めると横から声を掛けられる。
「三条、服乾かそうか?そんなんじゃ風邪引くだろ」
『轟くんそんなことが出来るの!?是非ともお願いします!』
「熱かったら言ってくれ」
そう言ってぴとっと肩に触れられると、触れられた箇所から徐々に熱くなり、水蒸気が上がり始める。
すげえ〜なにこれ!?
『轟くんの個性すごいね!いつ大雨降っても、川に落ちても問題なしじゃん!』
「フッそんな風に個性のこと言われたの初めてだ」
『え、そうなの?冬とかも暖かくて良さそう!私寒がりだから羨ましいよーあっもしかして周りも暖められたりする?』
「やった事ねえが、多分できると思う」
『やった!じゃあ寒い時はよろしくお願いします!』
「ああ。分かった」
いいのかよ!三条は轟をなんだと思ってんだと2人の会話を聞いていた者達は思ったのであった。
そんな会話をしていると謎の歓声が上がった。
え?何?聞いてなかった。指名...興味...ハードル?
何だかよく分からないが指名件数なるものが提示される。轟くんとかっちゃんすごいな!?しかしその下の名前を見て息が止まる。
いやいやないって!嘘だよきっと!
「三条も結構入ってるな200か」
『幻であって欲しかった...荷が重い...轟くんめちゃくちゃ入ってるじゃん!流石』
「ほとんど親の話題ありきだろ」
『親?ああ、あの途中で叫んでた人...目立ってたよね。私が轟くんの立場だったら恥ずかしくて死ぬし、家帰ったら絶対ボコるって思った』
「ふっはははっ、三条はほんと面白いな」
とても楽しそうに声を出して笑う轟くんのレアショットに思わず見入ってしまったが何がそんなにツボだったのか謎である。
『えっ今変なこと言った私?あれで轟くんがグレてないことがびっくりだよ〜私は耐えられん』
「いや、親父のことは嫌いだし、ボコるには賛成だ。にしても三条が怒るとかじゃなくて、ボコるって言うのは意外だった。お前結構血の気が多いんだな」
『そ、そんなつもりは!ヤバい...もしかしていつの間にかかっちゃん化してきてる...?どうしよう轟くん!ああはなりたくない!』
「お前案外酷いな。ふっ、心配しなくてもお前は爆豪みたいにはならねえよ。色々足りねえ」
『色々足りねえとは!?まあ轟くんがならないって言うなら大丈夫か...よかったよかった』
どうやらさっきの盛り上がりはヒーロー名を決めるということへの盛り上がりだったらしい。まさかそんな授業があるとは。
しかも全員の前で発表すんの?ネーミングセンスないしどうしよう...下手なもん付けられないぞこれ...
時折変なのあるけどみんなセンスあるなあ。最後は嫌だし早く考えないと!悩んでいると、かっちゃんがヒーロー名を却下されていた。
『ぶふっあははっ小学生みたい...ふふっ』
「誰が小学生だクソユウ!笑ってんじゃねえぞ!」
『えっこの距離で聞こえたの!?怖』
堪えてたのに、なんで聞こえてんの!?地獄耳すぎるでしょ...
頭いいし、センスも悪くないはずなのに何故そうなるんだろう。未だに笑いが収まらないが、おかげで一気にハードルが下がった。かっちゃんには感謝だな!
良いの浮かばないし轟くんみたいに名前でいいかなとも思ったが、他のみんながノリノリでヒーロー名を考えてる手前、ちょっと恥ずかしかったので、無難に英語読みで“フォックス”にした。
いずっくんがヒーロー名をデクにしたのは驚いた。
そのあだ名気に入ってたんだと驚いていると、何故か周りがざわつき始めた。覚えやすいし、そんなに変でもないと思うけどこのざわつきはなんだろう?
好きじゃなかった、意味を変えられて?
漢字がそう読めるからデクだとずっと思っていたが、別に何か意味があったの?頭がクエスチョンマークでいっぱいになったが、今は気に入ってるみたいだし良いかと考えるのをやめた。
その後はかっちゃんの新たなヒーロー名候補に腹筋をやられ授業は終了した。
授業終了後、相澤先生にしばらく1人で登下校や出掛けるのを控えろと釘を刺され、例のリストを渡された。
ズラーっと書かれている文字に頭が痛くなる。
これ200個書いてあるってことだよね...何処をどう見て私なんかに...ヒーロー一切知らないし、読む気にならないし、指名がなかったと悔しがっている人達には申し訳ないがかえって憂鬱だ。
ここはヒーロー博士のいずっくんに選んで貰おうといずっくんの席へ向かう。
「わあ!ユウちゃんすごい数の指名だね!」
『なんでこんなに来たのか不思議なんだけど、私ヒーロー全然詳しくないし、何処が良いか全然分からないから、いずっくんに選んで欲しくて』
「僕が選んで良いの!?ほんとに!?」
『こんなの頼むの申し訳ないんだけど、いずっくんさえ良ければ選んで欲しい。いずっくん程ヒーローに知識ある人いないし!』
「期待に応えられるよう頑張るね!んーユウちゃんの個性的に...コントロール?麗日さんみたいに体術習うのもありか...バランスよく幅広く学べるような...」
出た!いずっくんのブツブツモード!ものすごい勢いで喋りすぎてなんかもうよく分からないので終わるのをゆっくり待つことにした。
「わっ!!」
『うわ!?びっくりした...ど、どうしたのいずっくん?』
「ユウちゃんすごいとこから指名来てる!ユウちゃんの使ってた技火だったし、絶対ここがいいと思う!うわーすごいなー!」
『いずっくんテンション高っ!...で誰の所?』
「No.2ヒーローエンデヴァー事務所!」
テンション最高潮で嬉々として言ってくれた、いずっくんには申し訳ないが全く存じぬ...
『じゃあそこにする!ありがとういずっくん!』
これ以上喋るとボロが出そうなので、すぐに届けに名前を記入し先生に提出しに行った。
No.2って言ってたし、すごい人なんだろうなあ。怖い人だったらどうしよう...
失敗したー!今更だけどそこ一番加味して欲しかった!
お願いした手前、変更するのも申し訳ないし優しい人なのを祈るしかない。
クラスの人にあまり触れられたくなかったので、コソコソと席に戻ると轟くんに話し掛けられた。
「三条、お前行くとこもう決めたか?」
ヤバい、聞かれてしまったーNo.2知らないとか言えないし、どうリアクションすればいいんだろうと焦る。
『うん。えっと.....』
ヤバい!名前忘れた!!嘘でしょ!?何やってんの自分!?知らないのモロバレじゃん!
「なんかすごい顔してるけど大丈夫か?」
『えっとですね...名前ど忘れしちゃったんだけど、No.2の人のところです...』
「...お前のとこに指名入ってたのか?」
『私ヒーローに詳しくないから、いずっくんに選んで貰ったんだけど、そうみたい...』
「あのクソ親父...!」
『え?クソ親父って言った?』
「ああ。これはお前の言う通りボコるしかねえな」
『えっ嘘...もしかしてNo.2の人って...』
「オレの親父だ」
『』
終わったーーマジか!絶対めっちゃ怖いじゃん!あの叫んでた人でしょ?終わったよこれ...
「大丈夫か?てかお前、エンデヴァーがオレの親父だって知らなかったのか?」
『すいません...知りませんでした...というかエンデヴァーさんを知りませんでした...ごめんなさい』
「お前、ヒーロー科なのにNo.2ヒーローを知らないとかすげえな」
『本当にごめんなさい!私オールマイトしか知らないんです!立派なお父さんなんだね、本当にごめんね!』
「あっはははは!活躍が甘えぞって今の会話丸々あのクソ親父に聞かせてやりてえ。あと今朝のボコる発言もな」
『やめてー!!それだけはほんと!私殺されちゃう!』
轟くんはめちゃくちゃ楽しそうだけど、私は今すぐにでも逃げ出したい...
地獄へのカウントダウンが始まった