体育祭 編
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翌朝、約束通りユウとともに学校へと向かった。
やはり雄英祭の影響は凄まじく、話し掛けられはしないものの、視線やあちこちで噂するような素振りが多く見える。
その為、ユウはオレを盾に視線を逃れようと必死だ。
「ちょこまかウゼエんだよ!歩きずれえ!」
『だって視線がすごいんだもん!かっちゃんの方が有名人だし、オラついてて目立つんだから全員かっちゃん見ればいいのになんでこんな目に...』
2人揃ってるから余計に注目されるんだろと思ったが、それを言うと全力で逃げられる事は明白なので黙っておく。逃げられたら、わざわざ自ら盾になりに来た意味がない。
「そこまで人通りがないこの道でそんなにピーピー言ってるようじゃ電車とかどうすんだよ。こんなん比じゃねえぞ 」
『そうだ電車.....かっちゃんがガン飛ばしてれば何とかなったりしない?体育祭の表彰式の写真昨日、スマホ見てたら出てきたんだけど、かっちゃんちょーヤバかったし、いけそイタッ!』
「余計なもん見てんじゃねえ!」
『だってニュースみたいな感じで出てきたんだもんー
あと中学でかっちゃん大変だったんだね!?ヘドロ事件とか私全然知らなかっイタッ!』
「余計なもん見てんじゃねえ!!」
『いたいー!暴力反対!』
見られたくないところを見事に全部見られ、ため息が出そうになる。自分も映りそうだから見ないと言っていたので見られずに済むと内心ホッとしていただけになかなかのダメージだった。しかも一番触れられたくないヘドロ事件まで...これはもう記事書いたやつ殺してもいいんじゃないだろうか。
今の会話で今までの事を忘れたのか、いつも通りの調子に戻ったユウと電車に乗り込む。
クソ...人多いな。この日に限って電車はいつもより人でごった返していた。
『えーかっちゃん雨だってさ。傘持ってないどうしよう』
「オレも持ってねえ。最悪コンビニだな」
完全に視線の事など忘れたらしいこいつに安心するとともに呆れる。
(もしかしてあれ体育祭で1位だった子じゃない?)
(あの縛られてた怖いやつ?)
(前のヘドロ事件の子と同じらしいよ)
(そうだったんだ)
その話題に触れんじゃねえ!
見事に触れられたくないとこばかり囁かれ、イライラして来る。
『放課後かっちゃん家行くの楽しみだけど、緊張する〜何にも手ぶらだけど許してくれる?』
「いらねえわそんなもん。心配しなくても緊張する間も与えずババアがきっとうるせえぞ。昨日来るって伝えたら、めちゃくちゃ喜んでたしな」
『ええーそんな期待私には重い』
「会えれば満足すんだろ」
(あれってもしかして戦ってた狐の子じゃない?)
(あのあざといって言われてた子か。普段は耳も尻尾もないのか?)
(あの2人付き合ってるって本当だったんだ)
(殺し合いかってくらい激しいバトルしてたのにな)
(あんな怖いやつとよく付き合えるよな)
(だって幼馴染なんでしょ?)
不味い。段々ユウに注目するやつが増えてる。
まだユウは噂されている事に気付いてないが気付くのも時間の問題かもしれない。
「ねえ!君達って体育祭で1位と3位とってた子だろ?オレずっと見てたんだよ!2人とも強いね!流石ヒーローの卵だ」
『あ、ありがとうございます』
「オレも見てたぜ!でっけえ狐になったりすごかった!」
「私も見てたよ!」
「私も!普段耳とか尻尾ないんだー」
「どういう仕組みなの?」
『えっと...』
最悪だ。1人が話し掛けたことで便乗するヤツらがたくさん出てきやがった。隅にいけばこいつを隠してやれるが、周り全員がオレらのことを見ているし、大勢に囲まれ移動することができない。
イライラと周りを睨み付けていると、ヒッと小さな声を上げてユウがオレに縋り付いてきた。一部のヤツらがザワつく。突然の事に驚き、ユウを見るが顔をうずめたまま動かず表情が見えない。しかし、オレのブレザーを握るユウの手が震えていて、ただ事じゃない事を察する。ギュッとユウを抱き寄せ、触るなと牽制するが、空気の読めねえクソどもが寄ってくる。
「いいじゃんちょっとくらい〜彼氏様は短気だなあ」
「尻尾と耳がどうなってんのかやっぱ知りたいじゃん?」
「聞いてもその子答えてくれなかったし」
「ねえどうなってんの?」
「触んじゃねえクソが!」
ユウを触ろうと手を伸ばして来るヤツらの手を振り払う。爆破させそうになるのを必死で堪えていると、何処かでシャッター音が聞こえた。
「クソッ誰だ!」
何とか学校までと思ったが、これは流石に不味い。次の駅に着いてすぐに、ユウを隠すようにして、強引に人を掻き分け電車を降りる。
「悪い。無理させた」
『ううん...でもかっちゃん、ここ駅違う...』
「分かってる。でももう無理だろ。耐えらんねえ」
『ごめん...私が変なことしちゃったから...
まさかスカートの下触られるとは思ってなかったからちょっとびっくりしちゃってさ!もう大丈夫だから、次の電車に』
「乗るかバカ!お前が良くてもオレはもう無理だ!耐えらんねえ!あ゙ークソ!ぶっ殺してえ!あいつら次あったらぜってえ殺す!」
『ちょっと!?かっちゃん物騒すぎ!』
「お前もお前だ!痴漢は立派な犯罪だし、殴るなり蹴るなりしろや!」
『あ、あんまり暴力は良くないと思うよ…?』
「あーークソムカつく!早く学校行くぞ!」
『突然引っ張んないでー!かっちゃん足速い!コケる』
「遅刻するぞ!」
『速っ...げっ!降ってきた』
「マジなんなんだよクソが!」
『ハア...かっちゃん天気にキレても...ハア』
「お前、個性使え。使えばまだ走れるだろ」
『えっ...でも...』
「爆発するわけじゃねえし、問題ねえわ」
『ちゃんと内緒にしてね』
未だにこいつのこの姿には見慣れないななんて、思いながら手を離す。
息を切らしビショビショになりながら何とか学校に着いた。ちょっと前に個性を解除したユウはもう死にそうである。
「あと少し頑張れ!チャイムに間に合えばギリセーフだ!」
『もう死ぬ...』
コケないか不安になりながら、引きずるようにしてユウの手を引っ張る。
何とかチャイムが鳴る直前に教室に着いたが、すぐに入ってきた先生にめちゃくちゃ睨まれる。
「何やってんだお前ら。そんなに息切らして。しかもずぶ濡れじゃねえか」
何とか息を整えながら電車での騒動を伝える。
「はあ...お前ら2人とも目立ってたからな。遅刻ギリギリなのはいただけないが朝から災難だったな。おい三条いつまでへばってんだ。立って席につけ」
フラフラしながら席に着くユウを見た後、ため息をつく。本当に朝から災難だ。
クソムカつく...