体育祭 編
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寝起きでぼーっとしていた頭が一気に覚醒する。
慣れることなんて一生ないであろう会場の空気。
口角を上げギラついた目でこちらを見るかっちゃん。
今まで戦ってきた2人とはオーラが違う。
流石だなあ。負けじとかっちゃんに笑ってみせる。
「なんと2人は幼馴染らしいぜ!付き合ってると噂もある2人がどんな試合を見せてくれるのか!爆豪勝己対三条ユウ!」
『待って待って!何それ!?』
いやほんと何その紹介!?会場が謎の盛り上がりを見せる中、試合は開始された。
やっぱり距離詰めてくるよね!予想通り即座に突っ込んでくるかっちゃんと距離を置きながら狐火を生成する。かっちゃんとの近距離戦で勝ち目なんてない。でも狐火の威力なんてたかが知れてるしどうしたものか。
「おいおい、逃げてばっかじゃなんもできねえぞユウチャンよオ!?」
怖っ!!とりあえずダメ元で狐火を打つが片っ端から避けられそもそも当たらない。
「クソノーコン野郎」
『どうせノーコンですよ!』
スロースターターであるかっちゃんとの長期戦は圧倒的不利。無敵かよなんなのこの人。
当たらないなら囲むしかない。かっちゃん相手に10個じゃ足りないかもしれない。個性解いた後どうなるか怖いけど、やるしかない!
『これでどうだ!』
狐火20個で一気に取り囲む。当たった...!
1個の威力は弱いけど流石に20個一気に当たれば多少何とか
「痛えなクソが!」
タフー!もうヤダこの人...
「次はオレの番だ。ぜってえ使わせてやる!」
早い!一気に間合いを詰められ、かっちゃんの掌はもうすぐそこまで迫っていた。
爆破される...!ところが予想に反して、爆破は起こらずその手は私の横をすり抜けた。
その隙に大きく後退し、距離を置く。
何が起こったの?
同じように視界の先のかっちゃんが何が起こったか分からないといった顔をして自分の掌を見つめていたが、すぐにまた向かってきた。
最初より全然早くなってる。逃げきれない。
爆破される!しかしまた爆破は起こらず、かっちゃんの手が止まる。けどそれは一瞬のことで、気付けば体は地面に放り投げられていた。
痛っ!すぐにかっちゃんが追撃してくる。でも明らかに様子がおかしい。観客席からは爆煙で見えないだろうが、爆破は地面を削るばかりで私には1度も当てられていないのだ。絶対直接爆破をした方が良いという場面でも叩きつけたり、蹴りを入れたりしてくる。痛い事に変わりはないが、今まで容赦なくクラスメイトを爆破してきたのにこれは明らかに異常だ。
『なんで爆破して来ないの』
「っ!うるせえ!直接爆破するばかりが戦法じゃねえんだよ!」
『でも今のかっちゃんなら、最初より格段にコンディションが上がってるし、多少強引でも、爆破しまくった方が絶対強いよね?』
「っ!」
『本気で来い。そんなんじゃ私に力を使わせるなんて出来ないよ?』
「...ハハッ言うじゃねえか。今のセリフ後悔すんなよ!」
その言葉とともに掌が私に向けられ、爆破される。1発くらっただけでこれか... やっぱりすごい威力だな。でも手が震えてた。肉弾戦は容赦ないのにどうしてなんだろう。
「この状況で考え事とは余裕だなオイ!」
『っうッ』
背負い投げからの爆破。痛...容赦ないな...だけど爆破の時だけまた手が震えてた。どうしてなんだろう。
「爆豪一切容赦なし!血も涙もないのかアイツ!?頑張れ三条!」
(なんで早く場外にしてやらねえんだよ)
(今のそのまま外に投げれたよね?)
(なんだ喧嘩でもしてんのか?)
(やっぱアイツ女子を痛めつけるのが趣味なんじゃ)(信じられない!)(最低だな)(見てられねえ)
私が弱いせいでまたかっちゃんが悪く言われる...
かっちゃんの狙いは私に例の力を使わせること。多分、自分の個性が怖くなってしまっている私のためにかっちゃんはそれに拘ってる。勝って、暴走しても自分なら止められる。だから安心しろと彼はそう言いたいのだ。
本当に出来るってことを証明するためには、試合をすぐに終わらせるわけにはいかない。だから私を場外へ出さず、追い詰め続ける。それが私を救ける最善策だって分かってるから。どこまで行っても彼は私のヒーローだ。
それなのに...
私がもっと頑張らないと。一方的に攻撃を受けてるこの状況から抜け出さないと、かっちゃんを悪く言う声は止んでくれない。私のせいでかっちゃんが悪く言われるのはもう嫌だ。
だけど体がもう...立ち上がることが出来ず、力が抜けていく感覚がする。個性が解除されかかってるんだ...疲れと眠気がドッと押し寄せる。不味いこのままじゃ...
「三条、遂に動けなくなってしまったか!?」
動いて...動いてよ...早く立たないと試合が.....