体育祭 編
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もうすぐ轟くんといずっくんの試合が始まるという時にお茶子ちゃんが帰ってきた。
『おかえりお茶子ちゃん!すごくいい試合だったよ!
かっこよすぎて惚れた』
「ぶっw」「んんw」 「あははは!」「ひっw」
(爆豪、麗日に完敗じゃねえか)
何故か後方で吹き出す声が多数聞こえ、爆破の音とともにかっちゃんの怒鳴り声が聞こえた。何やってんだろ?
「ありがとうユウちゃん」
お茶子ちゃんは照れ臭そうに笑った。
目すごい腫れてるし、泣いてたんだろうな。でもあの戦いっぷりは実に見事だった。私もあんな風にできるかな...
いずっくんと轟くんの試合は轟くんの氷結をひたすらいずっくんが壊すという状況が続いている。
初めていずっくんの能力を見たけどすごい破壊力だ。みんなの言う通り、いずっくんももう無個性じゃないんだなと実感する。だけどいずっくんすごい痛そう...
きっと私と同じで体が能力に追いついてないんだ。
でも痛みに耐えて必死に戦ってる。それなのに轟くんはいずっくんを見ていない気がする。
他の誰かを見てただただ怒りをぶつけてるような...
だけどなんでだろう。怒ってるのに苦しそうに見える。
「全力でかかって来い!!」
かっこいいじゃん!自然と口角が上がる。私が見てない間に幼馴染達はこんなにも成長したんだ。これは私も負けてられないな。
その後、いずっくんの反撃が開始した。
最初の一撃を決め、間髪入れず追撃する。体はボロボロだけど徐々におしてる!
ほんとかっこよすぎだよ、いずっくん。
轟くんの左側が炎で覆われる。使った...!轟くんの心情を表すが如く、炎は熱く赤く燃え上がる。吹っ切れたのか表情も先程までとはまるで別人のようだ。
本気の2人がぶつかり合い、大爆発が起こる。
爆風で見えない中、何とか2人を見つけようと目を凝らす。場外の壁から崩れ落ちるいずっくんが見えた。轟くんは...!爆風が晴れるとステージの上に轟くんが立っていた。
負けちゃったか...
でもいずっくんは確実に1人の男の子を救った。何かに囚われてしまった時、周りが何も見えなくなってしまう事も、誰かの一言で一瞬にして救われる事があるって事も私はよく知ってるから。いずっくんがいてくれて本当に良かった。
お茶子ちゃん達と一緒にいずっくんのお見舞いに行ったが手術をするとのことで、すぐに追い出されてしまった。でもこれだけはどうしても言っておきたい。
「いずっくん!いずっくんは確実に人を救けた!負けちゃったけど、いずっくんは最高にヒーローだったよ!」
返事はないけど聞こえたかな?
次は私が頑張る番だ。
と気合十分だったが、やっぱり会場は緊張する...歓声とともに集まる視線にマイク先生の実況...地獄だよマジで。常闇くんの個性めちゃくちゃ優秀だしさ!実質2対1じゃん!距離を保ちつつ狐火も活用しないと多分すぐやられる。色々考えているうちに試合開始の合図がかかり、慌てて最初の一撃を避ける。
ふええ〜やっぱり強い!めちゃくちゃ追ってくる!
何とか狐火を作らなきゃ。でもなかなか隙を与えてくれないため作るのが困難だ。大きくないと命中率が下がるしどうしよう。あっ不味いやられる!目の前に迫ってきたダークシャドウに咄嗟に狐火を出す。
するとひぃ〜という声が聞こえてダークシャドウが小さくなった。えっ喋った!?というかなんで縮んで...
そうか、火に弱いんだ。シャドウって言うくらいだからもしかしたら明かりもの全般ダメなのかもしれない。それなら狐火で攻めるのみ!また向かってきたダークシャドウをできるだけ引き付けて狐火を出し、直ぐに距離をとる。この時間で!狐火を一気に3つ出し常闇くん目掛けて走る。自分の体の周りを覆うイメージで狐火を!狐火を盾にしつつ、またも尻尾で常闇くんを場外に吹き飛ばす。が、あまりにダークシャドウが優秀すぎた。ヤバい戻ってくる...!ここで止めなきゃ不味いと体が言っている。
『狐火、いっけえ!』
一気に10個の狐火を出し、常闇くんを狙う。狐火の操作はさっきので少し分かってきた。だが一撃を確実に入れるのはまだ難しいだろう。でもこれだけあれば当てずとも囲めばなんとかなる!
炎に囲まれ小さくなったダークシャドウは何も動けなくなり常闇くんはそのまま場外へ落ちた。
「三条さん!3回戦進出!」
やった...!これで次はかっちゃんとの試合だ!会場を足早に出て個性を解除する。
あっ不味い無理しすぎた...疲労と襲い来る眠気に勝てず、そのまま私は意識を手放した。
「おい、そろそろ起きろ」
『んう...』
誰の声...?目を開けると綺麗なオッドアイとばっちり視線が合った。
『轟くん...?』
「なんで疑問形なんだ。オレに似た奴なんてそうそういねえだろ」
『あれ?私...何処ここ?』
「ここは控え室だ。大丈夫か?病院行った方がいいんじゃねえか?」
なんで控え室?あれ常闇くんとの試合って夢だったのかな。
ぱさっと床に何か落ち、拾い上げるとタオルだった。どこからタオルが?起こした体の上を見ると、もう1枚タオルが乗っている。それに頭のあった場所にもタオルが畳んで置かれていた。
「悪い、今拾ってくれたタオルオレのだ」
『あっそうなんだ、はいどうぞ。...ってなんで?』
「いや、控え室来たらお前が寝てて上にタオル置いてあったからオレもやった方がいいかと思って」
『そ、そうだったんだ...ありがとう。じゃあ、あと2人誰か...』
「多分1個は爆豪のだと思うぞ?オレの前に控え室にいたのあいつだし、三条仲良いだろ?」
『仲良いかは微妙な気がするけど、確かにこのタオル見覚えある気がする。残りあと1枚は』
「起きたか馬鹿ユウ」
『あ、かっちゃん!タオルありがとう』
「体調は大丈夫かよ」
『全然大丈夫だけどなんで?』
「なんで?じゃねえよ!道の途中で突然ぶっ倒れたって黒いやつに聞いたぞ」
『黒いやつ?...ってもしかして常闇くん!?そうか、個性解いたあと疲れと眠気が一気に来て...じゃあこのタオルは常闇くんの?もしかして運んでくれたのかな?うわーめっちゃ迷惑かけてるじゃん...』
「あの変な影が重そうに持ってたぞ」
『マジか...申し訳ねえ...狐火で思いっきり虐めちゃったのに』
「虐めたって勝負なんだからしょうがねえだろ?」
『ん〜ーそうなんだけどさ轟くん!』
もうすぐ次の試合を開始すると放送が入る。
『次って誰だっけ?』
「ふざけてんのか...?オレとお前だクソが!いいか?全力で勝ちに来い。舐めた真似したら許さねえからな!」
バンっと勢いよく扉を閉め、かっちゃんは外に出ていった。
「頑張れよ三条」
『う、うん。がんばる』
轟くんにエールを貰い会場へと向かう。
私にできる全力をここで出し切る!かっちゃんを倒すつもりでいくんだ。私だって成長したんだって、昔みたいなただの弱虫じゃないって証明してやる!
さあ、いこうか!