体育祭 編
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外へ出ると端から端まで人でごった返しになっていた。
『ご飯食べないの?』
「お前、屋台のもん食いてえって言ってたじゃねえか」
『うん!言った!ダルいし嫌だって朝は言ってたのに付き合ってくれるの?』
「お前1人じゃ迷子になるからな。仕方なくだ」
『わーい!ありがとう!何食べようかな〜たこ焼きとイカ焼きと焼き鳥と』
「焼きばっかじゃねえか」
結構な量を買ってしまったがお腹が空いていたので直ぐに食べきってしまい追加で焼きもろこしを買った。
「お前、よく食うな。追加もかき氷とかりんご飴とかじゃなくて焼きもろこしかよ」
『美味しいからいいじゃん!私にかき氷とかりんご飴とか女の子らしさ求めても無駄!』
「かき氷とりんご飴だと女の子らしいって基準が意味不明だし、そんなん今更求めてねえわ。女らしさも可愛げも0ってことくらい元から分かってんだよ」
『そこまで言うの酷くない?でも奢って貰っちゃってほんとに良かったの?結構買ったし...今からでもお金払うよ私』
「オレも半分食ってんだからいいわ」
『でも私が食べたいの買っただけで、かっちゃん何にも買ってないじゃん』
「褒美だって言っただろうが。オレはまだ1回も1位取れてねえしいいんだよ!!」
『2位も3位もすごいじゃん...それにこの後が本番でしょ?終わったら私にも金メダル見せてね!』
「ああ!」
昼休憩終了後何故かA組女子がチアの格好になっていた。私だけハブられた!?とショックを受けたが、どうやら峰田くんと上鳴くんの仕業だったらしい。2人になんで着てないんだよ!と詰め寄られた。1人だけ着てないのは気が引けるがチアの衣装なんて恥ずかしくてとてもじゃないが着れない。みんな許してくれ
最終種目はガチンコバトルのトーナメント戦らしい。尾白くんが棄権すると発言し驚いたが、記憶が曖昧だったとの発言に私は引っかかっていた。私ももしかしたらその人の個性にかかってたのかな?そうだとすれば理由が分かって安心できるんだけど。でも私は曖昧どころか全然覚えてないしなあ。うーん...
「僕の相手は君だね!」
『ん?』
確かクラスのよく分からない人だ。名前なんだっけ...ていうか相手って何?
「三条!お互い頑張ろー!」
「ユウ!頑張ろうな!」
なんの話?と困惑していると、溜め息をつき、かっちゃんが正面を指差す。
正面にはでかでかとトーナメント表が移されていて、トーナメントの名前に三条と書かれている。
え?目を擦ってもう一度見ても変わらない。え...嘘でしょ!?あれって私!?ええーー!
『どどどうしよう、かっちゃん!なんか名前書いてある!』
「お前気付いてなかったんか」
『気付いてないよ!全然記憶にないし!1対1とかどれだけ人に見られるの!?もうやだ今度こそ死んじゃう』
「落ち着け。どっちにしろステージに上がるんだ。凄むな勝ちに行け。1種目と同じように全力でぶつかれ。お前が2戦勝てば当たるのはオレだ。そこであのデカくなるやつ使え。オレがお前に勝って、例え暴走しても大丈夫だって証明してやる」
『えっでも...まず2戦も勝てるか分からないし、どうすれば大きくなるのか分からない...』
それに1番はかっちゃんに怪我させるような事はしたくない。あんな化け物を踏み潰したなんて半端な力じゃないし、かっちゃんがいくら強くても無傷では済まないだろう。
「そういうのはピンチになりゃあ出るもんだろ。オレが引き出してやる。悪いが加減は一切しねえ。怪我しようが恨みっこなしだ。だからお前もオレを倒すつもりで来い」
『分かった』
レクリエーションは疲れを癒すために、保健室で寝かせてもらった。
そして試合は幕を上げる。
1回戦のいずっくんの試合を見て確信した。あの心操って子の個性にかかってたんだ。騎馬戦のチーム決めの時に声を掛けられた記憶がある。そしてその後の記憶がない。よかった、謎が解けて一安心だ。にしても個性激強だな。いずっくんに勝って欲しいけどこれじゃ...ダメだと思ったその時、洗脳が解けたのかいずっくんが踏み止まり心操くんに向かっていった。
すごい!最後は綺麗に背負い投げを決め、いずっくんが勝利した。
『いずっくんすごい!』
お茶子ちゃんと飯田くんとすごいすごい!と盛り上がる。チラッとかっちゃんの方を見るとやはり不機嫌そうな顔をしていて、横に座らなくて良かったと心の中で思った。
次は轟くんと瀬呂くんの試合だ。さっきも気になったけど、マイク先生の紹介酷すぎない!?自分が何言われるか考えたくもない。
勝負は一瞬だった。会場にものすごい大きな氷がそびえ立ちその氷に覆われ瀬呂くんはガチガチに固まっていた。会場全体にどんまいコールが響き渡り思わず苦笑いしてしまう。瀬呂くんどんまい...
轟くんすごい怖い顔してた。体育祭が始まってからというものずっとピリピリしてて、いつも冷静で淡々としているのに別人みたいだ。
クラスの人達の個性を全然知らない私はいずっくんに私と当たることになる青山くんと当たる可能性のある常闇くんと八百万さんの個性を聞いた後、控え室に向かった。緊張しすぎて震えていると、控え室にかっちゃんが入ってきた。
「緊張しすぎだろ。ドジ踏んでみっともねえ負け方したら許さねえぞ。お前はオレに負けるんだ。それまでは勝て」
『めちゃくちゃ言うな〜かっちゃんは』
かっちゃんらしい物言いに笑ってしまう。
「お前の戦い見てるからな」
そう一言言うとかっちゃんは控え室を出ていった。
思えば彼にはずっと恥ずかしいところばかり見せてきた。少しくらいいいとこ見せなくちゃ...!震えは止まった。合図を受け、私は会場へと入った。
さあまずは一勝だ!