ゆーあーmyヒーロー
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
言った瞬間、しまったと思った。ぴくっと肩を揺らし、俯くユウがどう思ったかなんて聞くまでもなかった。泣きそうな顔でオレを睨みつけ、走っていったユウを追いかけるべきだと分かっていたが、オレは遠ざかるユウの背中を見ているだけだった。
半分ヤローと楽しそうに話すあいつにムカついて、思ってもない絶対言ってはいけない言葉を言ってしまった。ガキみてえなあまりにくだらない理由。それが分かってるから、なんて声をかけて謝ればいいか分からなくて追いかけることができなかった。
家に帰ってから何度もメッセージを書いては消す事を繰り返し、電話もかけようか悩んだが結局踏み切ることが出来ず、学校に来ることとなった。
オレの方を一切見ることも無く、クラスの奴らと楽しそうに話すあいつを見ていたが、いたたまれなくなり、机に突っ伏す。
このオレにだけ話すことどころか、近付こうともしないあの時と同じような状況は想像以上に堪えた。あのことはオレにとってかなりのトラウマだ。だがあの時は、自分は正しい事をしたんだという自信があったから耐えられた部分もあった。しかし今回はどう考えても200%オレが悪い。自分で言うのもなんだがクソだと思う。
この地獄のような状況を打破するのは、自分が謝る他ない。それは十分わかっているのに、行動に移せない自分に心底腹が立つ。
今日の授業はバスでの移動らしく、周りに話しかけるなオーラを出しながら一番後方を歩いていく。
「かっちゃん、ユウちゃんと何かあったの?」
「なんもねえわ!黙っとけクソデク!」
でも...と引き下がろうとしないデクを睨みつけ、バスへと乗り込む。
最悪だ...よりにもよって後ろの座席はユウでその隣は半分ヤローという嫌がらせとしか考えられないような座席だった。しかもいいのか悪いのか、会話に夢中でオレに気付いてもいないようだった。
小さく舌打ちをして座席へと座ると直ぐにバスは出発した。少しすると楽しそうに話すあいつの声が聞こえなくなり、気になって後ろを盗み見ると半分ヤローに寄りかかるようにしてユウが爆睡していた。
それだけでもかなり腹が立ったが、普段無表情のくせに眠っているユウを見る半分ヤローの表情がどこか優しげでそれに一番腹が立った。
そんなものを見せつけられた挙句、個性の話からクラスの奴らに弄られ道中は散々だった。
下車する時に後ろを見ると、いつの間にか半分ヤローも寝ていたらしく、2人仲良く寄り沿って寝ていた。一部の奴らがそんな2人を見て、可愛いや羨ましいなどと眺めている。イライラしながらバスを降りると、少ししてまだ眠そうな2人が周りに笑われながら降りてきた。
イライラしながら、あいつらが視界に入らない方向へ体を向ける。
眠気が覚めたらしく、あいつのあたふたした声が聞こえてきた。
『えー!写真撮ったの!?若干口開いてるし、めっちゃ恥ずかしいんだけど!』
「そこがまた可愛いんじゃん!ね!轟くん?」
「...ん...ああ」
『完全にまだ轟くん寝ぼけてるね...というかごめん、いつの間にか寝てたし、寄りかかってた。重かったし邪魔だったでしょ?ほんとごめん!あとよだれ付いちゃってたりしてないよね!?』
「ブハッ!ユウちゃんよだれて」
「大丈夫じゃないか?多分」
『多分...もし付いてたら言ってね!責任もってクリーニングに出すから!』
「わざわざそこまでする必要ねえだろ。服なんて汚れるもんだし気にすんな」
『聞いた?お茶子ちゃん、轟くんめっちゃ男前』
「ブフッもうやめてユウちゃん腹筋が...」
オレの事など気にもしていない、いつも通りのあいつの呑気な声が聞こえイライラしてるところに、いいな轟くんズルいなどとブツブツ言っているデクの声が聞こえ更にイライラに拍車をかける。
今回の授業の説明が始まり、静かになったことでやっと少しイライラが治まってきた。
説明が終わり歓声が上がってる最中、あいつの肩が跳ね上がり、バッと首を動かしたのとほぼ同時ぐらいにイレイザーヘッドの動くな!という声が響き渡る。
突然のヴィランの出現。しかも1人2人どころの騒ぎじゃない。
早くあいつの傍に...!
顔を青くし、震えているユウの元へ走る。最中先頭に黒い霧のようなヴィランが現れた。
先頭にいたユウの前へと滑り込み、ヴィランに奇襲をかける。チッ効いてねえ...!
黒い靄が広がり、周囲を囲まれる。急いでユウの手を掴むと視界が黒く染まり、何も見えなくなった。
何も見えない中、掴んだ手だけは離すまいと力を込める。
この手は絶対離さない