ゆーあーmyヒーロー
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小さい頃、私にはいつも一緒にいる幼なじみがいた。
「早くしろよ」
『待ってよ、かっちゃん!』
爆豪勝己。私と違って何でもできてしまう幼なじみの彼とは保育園に入る前からの付き合いである。けれど仲がいいかと言われれば正直微妙だ。
「2人とも写真撮るから門の所に並んで」
「なんでこんなやつと!」
「こら勝己!」「いってえ!」
今日は保育園の入園式だ。親同士仲がいいので、当たり前のように2人一緒に連れられ保育園まで来たのだがこんな様子だ。まあいつものことだけど。
別にかっちゃんのことは嫌いではないが、よく意地悪を言われるし、かっちゃんは多分私のことが嫌いなんだと思う。
お母さんに言われるがまま、怒られて不機嫌なかっちゃんの横に並ぶ。すごい楽しみにしてたし、きっと彼は早く中に入りたくて仕方ないのだろう。対して私は怖いし不安だし早く家に帰りたいと朝からとてもブルーである。写真を撮るとすぐにかっちゃんは中に走っていった。
「勝己!勝己!ほんとあいつは...」
かっちゃんのお母さんが頭を抱えている横でお母さんは、勝己くんは本当に元気ねと私を見た。
『早く家に帰りたい...』
「こらこら、明日から毎日通うんだから、ちゃんとなさい」
「きっと入れば楽しいわよ」
お母さんとかっちゃんのお母さんにそう言われるも、なかなか踏み出せず私は俯き地面を見つめていた。
こちらに向かって走ってくる音が聞こえ、顔を上げると音の主はかっちゃんだった。忘れ物でも取りに来たのかなと眺めていると彼は不機嫌そうに私を見た。
「まだこんなとこにいたのかよ。いくぞ」
『わっ』
かっちゃんは私の腕を掴んで再び園の中に向かって走り出した。こうして私は足の速いかっちゃんに引きずられるように園の中に入ったのであった。
あれから友達もできて保育園で楽しく過ごしている私は外でヒーローごっこをして遊ぶかっちゃんを見ていた。
私はヒーローに全く詳しくないが、オールマイトとかいうヒーローが好きらしい。
「かっちゃんの個性かっこいいなーいいなぁ...」
同じく隣で羨ましそうにかっちゃんを見ているいずっくんは私と同じ無個性の男の子だ。
特に役立たない個性だってあるし、無個性なことを私はあまり気にしていないが、かっちゃんと同じくヒーローに憧れている彼にとって、無個性なのは、とてもショックなことなのだろう。
診断を受けてからずっと元気がない。
『いずっくん、ヒーローって個性がないとなれないの?』
「そんなことはないと思うけど、無個性のヒーローなんて聞いたことないし個性がなきゃたくさんの人を助けられないし...」
『じゃあいずっくんがヒーローになったら無個性で初めてのヒーローじゃん!すごい!』
「え、でも」
『なれるよ!いずっくん優しいし、頑張り屋さんだもん!』
「ありがとうユウちゃん。僕ヒーローになれるように頑張るよ!」
ヒーローの定義が私にはよく分からないが久しぶりに笑っているいずっくんを見れてなんだか安心した。
「おい、ユウ!早く出てきて市民役やれ!」
『分かってるよーかっちゃんうるさい』
なんだと!と怒っている声が聞こえる中、
ヒーローはすぐに怒っちゃダメだよね?
といずっくんに言うといずっくんは笑った。
怒りっぽいよりも優しいヒーローがいいな