ゆーあーmyヒーロー
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ホームルームから流れるように学級委員長を決めることになった。我先にと挙手するみんなの勢いがすごい...
目立つし人前で話したりしないとだし、私は絶対にやりたくない。めちゃくちゃやりたそうなのに飯田くん発案の元何故か投票で決めることになった。
誰がいいんだろ...かっちゃんは論外として、いずっくんはこういうの苦手そうだし、うーん。冷静で落ち着いてる人がいいかな。考えるのも億劫になってきたので、これでいいやと投票する。
黒板の結果を見て色々びっくり、いずっくんが3票。それに...
『轟くん自分に入れなかったの?』
「ああ。ってことはオレに入れたのお前か」
『うん』
「お前こそなんで自分に入れなかったんだ?」
『私はそもそもやりたくなかったし...轟くんなら冷静に色々動けそうだし、落ち着いてるし向いてるかな〜って』
「そんなやつ他にもたくさんいるだろ」
『私、クラスの人達のことまだ全然知らないし、なんなら名前も覚えられてないんだからしょうがないじゃん!いずっくんとかっちゃんと私のちょっと性格が分かる人5人の中では轟くんが一番いいかなって思ったの!机運んでくれたし!』
「分かる人少なすぎだろ。大してまだお前と喋ってねえし、それほぼ理由机じゃねえか」
『うっ、なんか轟くん思ってたより手厳しい...いいじゃん机運んでくれるの大事だと思う!きっと机運んでくれる人に悪い人いないし!』
「フッ三条って変わってるっていうか馬鹿だな」
『馬鹿だけど、轟くんに馬鹿って言われるとは思ってなかったよ...』
「わりい」
『よく言われるし、自分でも分かってるから全然大丈夫だけどびっくりした。でもなんか思ってた以上に轟くんとは仲良くなれそうな気がする!』
「なんで馬鹿って言われてそういう思考になるんだ?」
『そんな変なもの見るような目やめて!だって変に気使われたりするより、ストレートに色々言ってくれる方が分かりやすいし、こっちも気楽だもん』
「ああ、なるほどな。オレもお前は分かりやすいし、面白いから上手くやっていけそうな気がする」
『面白くはないけどね!?』
午前の授業が終わり、待ちに待ったランチの時間だ。
お茶子ちゃんに一緒に食べないかと誘われたので喜んでご一緒させてもらった。
「ユウちゃん、今日はかっちゃんと食べなくていいの?」
『いずっくん、私別にかっちゃんと運命共同体でもなんでもないからね?』
「ご、ごめん!昔の感覚でつい!」
「ブハッ!運命共同体...」
「しかし、三条くんはよく爆豪くんといられるな。女子にも容赦なさそうだし、彼はあまりに素行が悪すぎると思うのだが...」
『はは...確かに素行めちゃくちゃ悪いし、よく意地悪されたり、ひっぱたかれたりするけど、本当は優しいって分かってるから』
「ええっ!爆豪くんが優しい!?」
「そ、そうだったのか。しかし女子を叩いたりするのはダメだろう!」
『そ、そうなんだけどね...でもかっちゃんは私にとって最高のヒーローなの』
3人が黙ったまま固まってしまい、オロオロしていると、飯田くんがプルプル震え始めた。
「クッ!この圧倒的敗北感はなんだ...」
「いいなー爆豪くん。プロヒーローでもないのに既に熱烈なファンがいるなんて」
「はあ...かっちゃんが羨ましい」
『熱烈なファンて...そ、それよりいずっくん学級委員長おめでとう!3票も入るなんてすごいじゃん!』
なんとも言えない空気から逃れるために話題を変える。
いずっくんに入ったうちの1票はどうやら飯田くんが入れたらしい。すごい真面目に考えて投票してたんだなと思わず感心してしまった。
私の投票理由知ったらめちゃくちゃ怒るだろうなあ。
飯田くんといずっくんがヒーロー談議で盛り上がっていたが、生憎私はオールマイトしか知らないので、話を聞きながら黙々とカレーを食べていた。
今日の学食も最高に美味しい!
夢中になって食べていると突然警報が鳴り始めた。
慌てふためく、人達に押されてどんどん人混みに押し流されていく。
苦しいしみんなともはぐれちゃったし、何が起こってるの?
押されて倒れそうになるのを必死に耐える。ここで倒れたら...考えただけでゾッとする。早く端に寄ろうとするも上手く身動きがとれず、人混みに押しつぶされそうになる。
苦しい...誰か救けて!
突然グイッと力強く手を引かれ、壁際に引き寄せられる。助かった...誰が救けてくれたんだろう。密着しすぎてブレザーしか見えない。
『た、救けてくれてありがとうございます』
「潰されそうになってんじゃねえよチビ」
『えっかっちゃん!?』
無理して顔を上げると、赤い目と視線が交わった。
「怪我してねえか」
『う、うん大丈夫!ごめん背中痛いよね...』
時折来る振動から、大勢の人達にぶつかられているということが伝わってくる。
「こんくらいどーっつーことないわ」
そうかこの香りって...どこか甘いような優しい香り。普段の距離からでは分からない、仄かで安心できるこの匂いが私は好きだった。小さい頃、おんぶして貰ってた時にそれを言って落とされかけたっけ。
懐かしい変わらない彼の匂いに、こんな状況にも関わらず私は酷く安心していた。
少しして飯田くんの声が聞こえた。それを聞いてみんな冷静になったらしく、人混みはどんどん解消されていった。
『かっちゃんごめん、ほんとたすかった。マジで圧迫死するかと思った』
「チビのくせにチョロチョロしてっからだ。てか昨日死ぬなって言ったばっかだろうが!そんなくだらねえ理由で死んでんじゃねえ!」
『ごめんごめん、なんとかしようとしたんだけど、力不足っていうか身長不足っていうか...』
「ハッまだ潰れてなかったから今回は許してやるよ。教室帰んぞ」
『うん』
かっちゃんの後ろを歩きながら、色んな人がいるな〜と周囲を歩く人達を眺める。人混みが解消されらとはいえ、廊下はまだまだ人が多い。
『あっすいません』
人とぶつかりそうになるのを回避しながら歩いているうち、かっちゃんを見失ってしまった。
ヤバい...絶対後で怒られるし、何よりまだ1人で教室に辿り着ける自信が無い。ひえ〜散々だ...
「なにはぐれとんだチビ!」
『ごめんなさい...』
チッと舌打ちをするとかっちゃんは私の手を掴んで歩き始めた。
『かっちゃんの手ってなんか安心する』
「は?んだよ突然」
『昔からそうだけど、あったかくて優しい感じがするの。だから私かっちゃんの手好き』
「なっ!へ、変なこと言ってんじゃねえぞクソチビが!」
『えー褒めただけなのに!?』
歩く速度を上げた彼の耳は少し赤くなっているように見えたのは気の所為かもしれないが、私の手を掴む手が熱くなったことは間違いない。個性のこともあり元々汗っかきな彼だが、流石に爆破されるんじゃないかと心配になってきた。
『かっちゃん、怒って私の手爆破させたりしないでね?』
「しねえわバカ!!」
この後、私の手を掴んだまま教室に入ったかっちゃんが冷やかされて教室に盛大に爆発音が響いたのであった。
離された手がまだ温かい