ゆーあーmyヒーロー
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先生に家まで送って貰ったが、家に食べ物が何も無いことに気付き、すぐに近場のコンビニに行った。
今日の夕飯と明日の朝飯を買い会計を済ませ外に出ると、見覚えのある姿を見つけすぐに駆け寄る。
『かっちゃん!』
「お前、なんで外にいるんだよ。送って貰ったんじゃないのか?」
『送ってもらったけど、家に食べ物何にもないから買いに来た。かっちゃんはなんで外に?』
「オレは...お前に確かめたいことがあって」
『明日学校で会うのに、わざわざ私の家まで来ようとしてたの!?』
「そーだよ。気になりすぎて何にも集中できねえんだからすぐに聞くしかないだろ」
『そんなに気になることがあるの?何かな...?』
場所移動するぞと歩いて行く彼の背を追う。
なんだろう?全く心当たりがない。というかなんか、かっちゃん大人しいしどうしちゃったの?
誰もいない夜の公園のベンチへ座ると彼は意を決したように口を開いた。
「...お前、個性持ってるのオレにずっと隠してたのか?...オレを騙してたのか...?」
俯いていて表情は分からないが、弱々しく話す彼は何かに追い詰められているような、怖がっているようなそんな風に感じた。
『騙してないよ。今私が個性を持っているのは、あの人達に押し付けられたから。あのまま平和に暮らせてれば私は無個性のまんまだった』
「そうか...でも押し付けられたってなんだよ」
心底安心した表情を浮かべる彼はいつもの雰囲気に戻っていて、安心した。
『呪われてるんだってこの個性』
個性を使う姿に変身して見せると、かっちゃんは驚いた顔をして固まった。
『九尾って個性で9つの能力があるらしいんだけど、私が今使えるのは2つだけ。身体強化と狐火。あとはなんの能力かも知らない』
「それだけ聞くとかなり優良な個性に聞こえるが呪いってなんなんだ」
『あの人達の一族が祟られて以降、継がれていくことになった個性なんだけど個性を継いだ人は、長生きできないんだって。よくわかんないけど個性に食われるんだって言ってた。
その期間が個性持ちと無個性とでだいぶ違うらしくて無個性の方が長生きできるんだってさ。
持ち主が死ぬとその一族の誰かに転移される。
死ぬ前に儀式をして誰かに移すことができるけど、移した後長生きできた試しがないみたい。実際私に個性移したおじいさんその後急死したし。
だからまあ、どっちにしろ死んじゃうってことだね』
「なんだよそれ!!自分達が死にたくないからって、お前を引き取って個性押し付けて、その上暴力までふるってそんな馬鹿な話あってたまるかよ!お前はどう足掻こうが早死して、あいつらは刑務所行こうがどこ行こうがのうのうと生きてくってことだろ!?ふざけんな!!」
彼はすごい剣幕で叫んだ後、ボン!っと掌を爆破させた。
『かっちゃんは本当に優しいね。
私なんかのためにそんなに怒ってくれるなんてさ。
ふざけんなって思うよ。何度報復で死んでやろうと思ったか分からない。でもかっちゃんに謝ってからじゃないと死ねないと思ったから、今まで生きてきたの。
気分いい話じゃないしこの事は誰にも言わないつもりだった。だから他の人には内緒にしてね。
嫌な話聞かせちゃってごめん』
「謝るな。お前は何も悪くねえ。それに無理して笑うな。泣きたいなら泣けばいいし、怒りてえなら怒れ」
『うん...でももう恨むのも憎むのも疲れちゃった。
別に長生きしたい訳じゃないし、今は違うけど元々謝れればもういいかなって思ってたの。かっちゃんには本当に酷い事をしてしまったし、今も昔も周りに迷惑ばっかりだし仕方ないかなって』
「仕方なくなんてねえだろ!そんな罰受けるような事お前は何もしてねえ!お前がオレにした事なんて気にしちゃいねえし、迷惑かけるどころか、言うべきことも隠してただろ。
あの事件のこと親に言わなかったし、オレのせいで何かされたことだって、どうせ1回じゃねえんだろ?
クソっ...まだガキなのに両親死んじまって、無理矢理連れてかれて暴力受けて、やっと自由になったと思ったらこれかよ...」
自分の事のように怒って、悔しがって辛そうな顔をする、かっちゃんに戸惑ってしまう。
『でも誰でもいつ死ぬかなんて分からないし、美味しくないから食べられないとかあるかもしれないしさ!だからそんな顔しないでよ!ね?』
「...お前が自分の事どう思ってようが、オレはお前に死んで欲しくねえんだよ。そんないつ死んでもいいみたいな顔してんじゃねえ馬鹿ユウ...帰るぞ」
どんどん前を歩いて行ってしまう彼を慌てて追いかける。あんなこと言われるなんて思わなかった。それに彼があんなに取り乱したり辛そうな顔をするのは私にとっては衝撃だった。
私にはそんな風に思って貰う価値はない。
昔から私は何をやってもダメで迷惑かけたり、救けて貰ってばかりの人間で、特にかっちゃんにはずっと迷惑かけっぱなしだし、救けて貰ってばかりだ。
だから不思議で仕方がなかった。絶対私がいない方が楽なのになんでなんだろう。私が長生きできないのはもう決定事項で、ヒーロー云々は関係ないはずなのに。
考えているうちに家に着いたらしく、立ち止まったかっちゃんに気付かずぶつかってしまった。
『ごめん、ぼーっとしてた』
「どうせねえ頭で、どうでもいい事考えてたんだろ。自分には価値ねえとか親もいねえし死んでも誰も困らねえとかな」
『かっちゃんエスパーなの?怖』
「お前の頭じゃどうせ答えなんかでねえし、何も考えなくていいからこれだけ覚えて実行しろ」
『な、何?』
「お前が自分の事どう思ってようが、死にたいと思ってようが関係ねえ!オレに迷惑かけたくねえなら死ぬな!絶対無理だって思っても諦めんな!分かったか!?」
『わ、分かった』
最後に私を睨みつけ、フンっと鼻を鳴らすとかっちゃんは帰っていった。
これは死ぬわけにはいかないなあ...