ゆーあーmyヒーロー
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結局入学当日まであいつからの連絡はなかった。
当日引越すかもとか言ってたけど、ほんと計画性ない馬鹿だな!イライラしながら学校の門を潜る。
あいつ今日会ったらただじゃおかねえ。会いに来るって言ってたが、そもそもあいつ何科なんだ?普通科だとばかり思っていたが、サポートや経営もありえなくはねえ。まあ今日聞けばいいことだ。ところがありえない事態がおきた。
個性把握テストで順に名前を呼ばれ測定していく中、三条と呼ばれた生徒が出てこないというかいない。初日から休むとはどういう了見だと除籍が決定される。あいつの名字と同じだがヒーロー科って時点であいつではない。あの名字のやつってみんな馬鹿なのか?
授業が終わってすぐに、三条ユウさんの家の方から退学すると知らせが入ったと担任に連絡が来た。
同姓同名、連絡がない、退学。嫌な汗が出る。人違いであってくれ...しかし担任が持っていた書類の写真はあいつのものだった。何故ヒーロー科に?それよりも退学って?だってあいつが退学なんてするはずない。あれだけ嬉しそうに電話してきた。何年も 前から合格できるように勉強してきたと言っていた。それなのに当日いきなり退学だなんて絶対におかしい。
「先生、そいつの身が危ねえ」
「どういうことだ?」
オレはあいつの言っていたことや家庭事情を説明した。中学から出たばかりのガキが言うことだ。信じて貰えるかは正直微妙だと思った。でもこの学校の教員はプロヒーロー。そしてここはヒーローを育成するための学校。そこに賭けた。
「はあ...これで違ったらお前、覚えとけよ?」
「はい」
即判断、即行動。普通の学校ではこうはいかないだろう。流石はヒーローだと思った。あいつの家まで様子を見に行って貰えることになり、散々拒否されたが何とか同乗することに成功した。
着いた家は住宅街から離れた綺麗な二階建ての一軒家だった。敷地がとても広く、庭には花や木が綺麗に植えられている。そして、家と木に隠れパッと見では気付かないような場所に小さな古い建物がある。
「俺が親戚とやらに話を聞いてくる。爆豪はその間周辺を探ってろ。何か証拠になりそうなものが見つかるかもしれない」
小さく頷き、車から降りてすぐに走り出す。
あの古い建物が絶対に怪しい。建物には鍵がかかっていて入れない。どうにかして中が見えないか建物の外周を見ていくと1つだけカーテンの付いた小さな窓があった。カーテンに少し隙間があったのでそこから中を覗く。暗くて見ずらいが、じっと目を凝らすと、あいつが背負っていたリュックサックが床に転がっているのが見えた。
「おい!ユウ!」
窓を叩き、名前を呼ぶが人の動く気配はない。だが、荷物だけこの部屋にあるとは考えずらいし、ここに閉じ込められている可能性は大いにある。
急いで入口へと戻り、大きな音が鳴らないように鍵の部分を最小限に抑えて爆破する。
中へと入り、さっきの部屋へ入るとあいつの姿はないが、机やベッド、教科書などがあり、ここで暮らしていることは間違いないようだ。
建物の部屋を1つずつ確認していくと、床がやけに傷だらけで、絨毯が丸めて端に置かれているだけの不思議な部屋があった。慎重に部屋を調べていくと床に隠し扉を見つけた。開くと階段があり下へ降りていくと、ジャラジャラと音が聞こえてきた。警戒しながら階段を下りきり、ゆっくり音のする方を覗く。
するとそこには全身を鎖に縛られ、口に猿轡をされた
ユウが牢のような場所に閉じ込められていた。
「ユウ!」
急いで駆け寄ると驚いた顔をしたユウと目が合った。すぐに牢の扉を爆破し、猿轡を外す。
『かっちゃん、どうしてここにいるの...?』
「そんなん後でいいだろ。お前、いつもこんなことされてたのか...?」
『まさか、ここまでされたのは始めてだよ。もう義務教育が終わったから、あとは閉じ込めとけば楽だって話してるの聞いちゃって、怖くなって焦って家出ようとしたら失敗しちゃった』
そう言ってバツが悪そうに小さく笑う彼女の顔には傷があり、声もとても弱々しかった。
「失敗しちゃったじゃねえよ...あークソ取れねえ!」
体に巻かれた鎖はいくら解こうにも解けない。体に密着してしまっている以上爆破は危険だし、とりあえずこのまま連れ出す他ない。
『この個性で作られた鎖は壊せないよ。それよりもかっちゃんは早く逃げて。多分もうすぐ鎖の持続時間が切れるからここに来る。来てくれてありがとう。これでかっちゃんが警察とかに言ってくれれば何とかなるかも。私は殺されることはないし、ほっといてくれて大丈夫だから、早く逃げて』
もうお前がオレに救けを求めることはないのだろうか。こいつが言っていることは正しい。ちゃんと分かってる。それなのに、自分を頼って欲しいとか自分が救けたいという気持ちが鎮まってくれない。幼い頃の約束も守れなかった。きっとお前の中でオレはもうヒーローではない。それでもオレはお前の.....