映画 ヒーローズライジング
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気絶する前の記憶が全くないが、オレ達は無事ヴィランに勝ったらしい。
島にはプロヒーロー達が駆けつけ、リカバリーガールの治癒のおかげで目覚めたら何故か重傷になっていた両腕も何とか治った。
プログラム終了日まで島の復興作業の手伝いをすることとなったが、残り3日となった今日も未だユウは目覚めていない。
大きな怪我もなく、体には何の異常もないため、いつも通り個性を使い過ぎた反動なのだろうが、何度経験しても不安が消えることはない。
「早く起きろよバカ...」
握った手はいつも通り小さくて温かい。
ガチャっと扉の開く音が聞こえ、慌てて手を引っ込める。
「やっぱりここにいた!」
「かっちゃん、ユウちゃんの様子は」
「ユウ姉ちゃんまだ起きてない...?」
「ああ」
「バクゴーってほんとユウのこと好きね」
「ハァ!?す、好きじゃねーわこんなやつ!」
「何焦ってんのよ。付き合ってるんでしょ?」
「だ、誰がこんなバカと付き合うかよ!」
「そうなのデク兄ちゃん?」
「うん。2人は付き合ってないよ」
「嘘!信じらんない!こうなったらユウに聞くしか、早く起きなさいよもう!」
「余計なこと聞こうとしてんじゃねークソガキ!」
『ん...あれ?4人揃ってどうしたの?』
のっそり体を起こし、眠そうに目を擦りながら首を傾げるユウを見てほっとするのも束の間、即座にユウに呼びかけたガキの口を慌てて塞ぐ。
「起きんの遅すぎんだよバカ」
「無事目覚めてよかったよ」
「ユウ姉ちゃん大丈夫...?」
『あー...もしかしてまた私ずっと眠っちゃってた?でもみんな無事ってことはちゃんと勝てたんだね!よかった!』
「ユウちゃんのおかげだよ!本当にすごかった!あれだけの狐火をあんなに細かくコントロールできるなんて!文化祭の時より数もコントロールも更に進化してるし、とってもかっこよかった!」
『そ、そんなすごくなんて...』
「ユウ姉ちゃん、とってもかっこよかった...!」
『~っ!』
真っ赤になり、バッと布団を被ったユウを見てモヤモヤする。同じように思っていても素直に口にできないオレの言葉はいつもユウの顔を曇らせてしまう。ユウを変えるために自分も変わらなければと決意したばかりなのに、やはり素直な気持ちは言葉になってくれない。
「ちょっと!殺す気!?」
オレの手を払い除けたクソガキがオレを睨んだあとユウの布団をはいだ。
「ユウ、あなたとっても強いし、立派に戦ってたのになんでそんなに自信がないのよ?そんなだからバカって言われるのよ」
『こ、今回はたまたま...でも途中で気絶しちゃったしずっと寝ちゃってたし...』
眉を下げ、下を向くユウの頭に手を乗せる。
「本命でも抑えられなかったヴィランを1人で疲弊させる段階まで個性使わせまくったんだ。十分な活躍だろ。それに今回はちゃんと自分の身守る戦い方ができてた。よく頑張ったな」
頭を撫でるとユウは顔を上げた。
『ありがとう...』
頬を赤く染め、はにかむユウに胸がキュンとする。
「...分かりゃいいんだよ」
(この2人ほんとに付き合ってないの!?)
(バクゴーさんも顔赤い)
(付き合ってない!...はず...はずだよ...)
「この島ともお別れだね」
『忙しなかったねえ』
「せいせいするわ。あのガキどもにあいさつせんでいいんかよ?」
「言ってあげたいことはあったけど...でもいい...きっと伝わってると思うから」
「おーい!デク兄ちゃん!」
「バクゴー!ユウ!みんなー!島の人達を守ってくれて!ありがとう!」
「デク兄ちゃん!僕、強くなるね!お父さんとお姉ちゃんを守れるくらい強くなるから!そしてデク兄ちゃんやバクゴーさんみたいなカッコイイヒーローに絶対なってみせる!」
「その言葉ァ忘れんな。クソガキが」
「活真くーん!君は...!君はヒーローになれる!雄英で待ってる!」
「ユウ!」
『は、ハイ!』
「自分に自信を持って生きなさい!あなたはあなたの思ってる何倍もすごいやつよ!」
ユウの目が見開かれる。
ユウがその言葉に返事をすることはなかった。けれど、島を出たあとも何も言わずに海を見つめるユウは見た事のない表情をしていた。
帰宅後...
『あーープログラムが終わったと思ったら勉強...』
「文句言ってねえでとっとと解けや!」
『1問目から全然わからん...』
「はァ!?授業でついこの間やっただろ!なんで分か......どこがわかんねえンだ」
これではダメだとギリギリで踏みとどまり、冷静になれと自分に言い聞かせる。
『?かっちゃんどっか調子悪い?』
「 悪くねえわ!早くどこがわかんねえか言え」
『全部』
「は?数式は?どの順番で解くとかは流石に分かンだろ?」
『分かりません...』
「てめえは一体授業で何聞いてんだ!このっ...」
喉まで出かかった言葉を慌てて飲み込む。
すぐ理解できねえにしてもこいつバカすぎんだろ!例題んとこに使う式書いてあるじゃねーか!
『え?何...?どうしたの?絶対かっちゃん変だよ?病院行った方が』
「何ちょっと引いた顔しとんだ!人がせっかく優しくしてやってんのに!」
『え?え?今の優しかったの?ていうかほんとにどうしたの...?突然そんな優しくしようなんて変なもの食べた?あ!もしかして性格が逆になる個性とかにかかっ』
「ふっっざけんなこのクソバカ!!」
『痛っーーい!暴力反対!絶対今ので馬鹿になった!』
「もうこれ以上バカになれねえくらいバカだろ!叩こうが叩くまいが、てめえの頭はとっくに手遅れだっつーの!!」
もうやってられっか!
MOVIE END