映画 ユアネクスト
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『いずっくん!』
轟くんの氷が岩に埋もれてしまっているいずっくんを救出する。
「大丈夫か緑谷」
「轟くん!ユウちゃん!」
「ちんたらしてんじゃねーぞデク!」
「かっちゃん!」
「驚いたな...ここまで辿り着く者が4人もいるとは...流石オールマイトの教え子達と言ったところか」
「うるせえ!おめえがオールマイトを語ってんじゃねエ!」
今この場の現状を見る限り全然今までの仕掛けや戦いなどコイツにとっては遊びみたいなもんだろう。舐めてくれるなとイラつきながらダークマイトを睨みつける。
「よかろう。言葉より力だ。この私自らお前達に格の違いを教えてやる!」
苦しそうに悲鳴を上げるアンナさんの金色だった髪が黒くなっていく。
『髪が...』
「アンナさん!」
なにか個性と関係があるのだろうか。
考えるのはあとだ。今はダークマイトを倒すことを考えなきゃ!
「行くぞ!」
かっちゃんの号令で全員がダークマイトに向かう。
『なんなのこれ!』
一斉に攻撃を仕掛けるが、地面に壁、コインや光の矢色んなものが攻撃を阻んでくる。
「ダークマイトの個性は錬金で見た目も個性で変えているみたい」
『何それ!ヤオモモちゃんみたいにデメリットもなさそうだし、やりたい放題じゃん!腹立つ』
ダークマイトが巨大化し、服装がオールマイトのコスチュームに変わる。
「フフフ...いいぞいいぞ若人たちよ。さあもっと楽しませてくれ」
『オッサンの変身シーン見てもなんも楽しくないし、わざわざオールマイトの服に着替えたりポーズとるのムカつくんだけど』
「ハッ!じゃあお前の変身シーンでも見せてみろ」
『ヤダよ恥ずかしい!てかそんな機能...』
そういうことかと反論してる途中で気が付く。コイツの前で変身はまだ使ってないし、一発はお見舞いできるかもしれない。
「やるぞ」
『うん...!』
隙を与えないように全員で畳み掛けるがなかなか攻撃が当たらない。同時展開も可能だし、あまりに手数が多すぎる。
使うタイミングは考えなきゃ。一旦下がって、かっちゃんと私がスイッチした後、かっちゃんに攻撃してもらえば...
『うっ!』
光の拳に吹っ飛ばされ、更に岩の柱が迫ってきたところでかっちゃんが岩を破壊する。
目配せをしてきたかっちゃんに頷く。
「フフフフ。がんばれヒーロー。俺の壁はそんなに薄くはないぞ」
「ほざけ、パチモンが!」
「やはり...次は俺だな!」
「違えよ!」
「次は」
轟くんが氷結を繰り出し、いずっくんが岩を吹き飛ばす。
「僕たちだ!」
「オレが憧れた象徴は...みんなに笑顔をくれた、希望をくれた」
轟くんの炎がバリアで防がれてもなお、勢いを増し強く燃え上がっていく。そしてついにバリアにヒビが入った。
「この力は...!」
「奪う力じゃなく、与える力を持つ者だ!」
轟くんの炎でダークマイトの視界が遮られているうちにかっちゃんに変身し、かっちゃんと交代する。
『てめえが象徴になる?笑わせんな。てめえなんてオールマイトの足元にも及ばねエ!』
連続して爆破を撃ち込み、爆煙で視界を悪くする。私の威力じゃ攻撃は当てられないがダークマイトの気を逸らすにはそれで十分だ。
「オレはオールマイトの勝つ姿に憧れた...けどな...」
後ろからかっちゃんの声が聞こえる。
煙が消えるタイミングでAPショットを撃つとダークマイトの顔にかすり傷が付いた。
「く...!」
これで視線は完全に私に向くだろう。
苛立った様子で私に向かって攻撃をしようとするダークマイトに笑ってみせる。
さあ、真打の登場だ
「ただ勝てばいいってもんじゃねえ!てめーの強さにゃ憧れねえ!!」
かっちゃんの大爆破が後ろから直撃し、ダークマイトが炎の中で絶叫する。
「ぐがああ!か、顔があああ俺の顔があああ!」
「そいつがてめーの正体か」
「オールマイトには似ても似つかない」
「そうだろデク!」「そうだろ緑谷!」
二人が振り向く先には黒鞭を左右の壁に伸ばし、発勁の力を溜めるいずっくんの姿がある。
『いっけえ!いずっくん!』
いずっくんがダークマイトに凄まじいスピードで迫り、ダークマイトはバリアを張ったが全て壊されていく。
ダークマイトに立て続けに攻撃を浴びせ、渾身の蹴りがダークマイトに当たる。
一瞬で吹き飛び、めり込んだ岩からダークマイトが落下する。
『終わった...うわ!』
グラグラと地面が揺れる。
ダークマイトがやられたからなのか、この要塞が壊れ始めているようだ。
「ぼさっとしてっと怪我するぞ」
コケそうになったところをかっちゃんに抱き寄せられ、助けられる。
『あ、ありがとう...』
「あああああ!」
絶叫が響き渡り、薔薇の花が吹き荒れる。
何が起こって...
『い...』
突然体に強烈な痛みが走り、地面に膝をつくと、アンナさんに棘の付いた大きなツルが絡まり、伸びていくのが見えた。
そしてそれが影響しているのかダークマイトが光にのみこまれ、巨大な怪物へと姿を変えた。
「象徴だ...俺が...俺が世界の全てだ...」
「もっともっとだ...もっと力をお...」
更にダークマイトの形が化け物じみたものに変貌する。
「ウオオオ!」
衝撃波が走り、体が吹き飛ばされる。
「くっ!しっかり掴まれチビ!」
かっちゃんに引き寄せられ、岩に掴まる。
「このままじゃキリがねえ」
「くそっ...起きろやデク!デク!」
『いずっくん!いずっくん!』
気絶したまま動かない、いずっくんに不安になっていると、ふわっと薔薇の香りがする風が吹いてきた。
風が吹いてきた方を向くとアンナさんを抱きしめているジュリオさんが見えた。
アンナさんの髪色が戻り、アンナさんを取り巻いていたツルが消えていく。
それに伴ってずっと体を襲っていた痛みが消えた。
デクくんも目覚め、反撃だと再びダークマイトに立ち向かう。
三人で援護攻撃をし、いずっくんをサポートする。いずっくんの強烈な蹴りが連続できまり、ダークマイトが巨大なダークマイト像に直撃し、像にヒビが入る。衝撃は像にとどまらず、要塞も像とともに崩れ落ちていく。
『いずっくんの蹴りの威力エグすぎ』
「オレらもろともかよクソが!」
かっちゃんの背に乗せてもらい、A組のみんながいるところまで運んでもらう。
要塞の瓦礫の上で目覚めたアンナさんとジュリオさんをA組全員で見守る。
「...つまり契約は終了したってことだ。あんたはもう狙われねーし、俺が傍にいる必要もねえ。好きなものに触れ、どこにでも好きなところに行ける。自由だよ」
上着を脱ぎ捨て、背を向けて一人で歩き出すジュリオさんの背中にアンナさんが駆け寄る。
「...俺の話聞いてなかったのか?」
「聞いてたわ」
「雇用契約は終わったんだよ」
「よかった、これで対等になれるね」
「お嬢様...」
「アンナよ」
そう言って微笑んだアンナさんがジュリオさんに抱きつく。
「アンナ...」
狼狽えていたジュリオさんの腕がそっとアンナさんを抱きしめる。
優しく微笑えんでいたジュリオさんが振り向き、ニッと無邪気な少年のように笑う。
そうか、この人はこういう笑い方をするんだ。
「なにぼーっと見とんだ」
足を軽く蹴られ、ムッとしながら横を向くとかっちゃんは不機嫌そうに眉間に皺を寄せていた。もしかしてと思わず口角が上がりそうになるのを我慢し、お返しに軽くかっちゃんの靴を踏む。
『私の大好きな笑顔に似てたの』
「はァ?」
どうやら本人は自覚がないらしい。どこのどいつのだとイライラ、メラメラ自分に対して敵対心剥き出しである。
『今日、夢の中で救けてくれた男の子の笑顔、私大好きだったの。大会で優勝した時とか、オールマイトのレアカードあげた時とか』
「チッ」
ぷいっとそっぽを向いたかっちゃんに小さく笑い、手を繋いで歩いていくジュリオさんとアンナさんを見送る。
私もあの2人みたいに、かっちゃんと手を取り合って笑って生きていくことができるだろうか。
私にはアンナさんみたいな素直さも可愛らしさもないし無理かと心の中で苦笑していると、手を握られた。突然のことに驚いてかっちゃんを見るが、かっちゃんは真っ直ぐ前を向いていた。けれど心配するなとでも言うように握る手にギュッと力が込められる。
その手を握り返し、私も真っ直ぐ前を向いた。
きっとそうなる日は遠くない
MOVIE END