映画 ユアネクスト
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『すごい!もういずっくん最強じゃん!すごい!すごい!』
「三条の語彙力」
「そんなっ褒めすぎだってユウちゃん...!」
『だって一瞬で3人確保だよ!すごくない!?』
A組内で3班に分かれてヴィラン逮捕をすることとなり、私は3班でいずっくん、お茶子ちゃん、瀬呂くん、ジロちゃん、尾白くん、葉隠ちゃんと一緒に行動している。
パワーアップしたいずっくんが戦っているところをまともに見たことがなかった私は驚きすぎて1人はしゃいでいたが、それを邪魔するかの如く通信が入ってきた。
〈たったの3人か。こっちは4人狩ってンだよ〉
『1人しか違わないじゃん』
〈ンだとクソチビ!〉
〈A組2班、脱獄6名を確保した〉
『さっすがしょーとくん!』
〈ああ゙?自慢かコラ!〉
〈数を競ってるわけじゃないぞ、大・爆・殺・神・ダイナマイトくん!〉
「ヒーロー名長すぎ小二すぎ、もうふつーに爆豪でよくね?」
『いいと思う』
「よくねンだよ!」
ほんとネーミングセンスよ...
かっちゃんに呆れていると緊急通信が入った。
どうやらギンジという脱獄犯が逃走しているらしい。再び車に乗りこみ、目撃情報のあった場所へと向かう。
「脱獄の進路が変わったよ」
「マズイ、この先には避難所が!」
「僕が行く」
『いずっくん、無茶はしないでね』
「うん」
浮遊し、飛んで行ったいずっくんを見送る。
いずっくんはとても強くなった。でも、そのせいでなんでも1人で突っ走ってしまうようになった気がする。元々いずっくんは救けるためなら自分がどうなろうと動いてしてしまう人だから、どうしても頼もしいという気持ちよりも不安の方が大きくなってしまう。
『早くいずっくんを追いかけよう!』
いずっくんに追いつき、車から出るが、状況を整理する前に巨大な空飛ぶ船が現れた。
『何あれ!?』
「船が空飛んどる...」
そこから降りてきた白いタキシード姿の男がマスクを外し「俺が来た!」と叫ぶ。
その姿はオールマイトにそっくりで思わず凝視してしまうが、立ち振る舞いやオーラは全く別物だ。この男、信用できない。なんだかとても嫌な感じがする。
ここは避難所のすぐ近く。もしなにか攻撃をされたら、間違いなく被害が出る。念の為に狐火を生成し、何ヶ所かに潜伏させる。
「何がどうなってんの?」
「わかんねーけど、とりあえずギンジってヴィランを...」
「って、逃げとる!」
ヴィランが逃げていく最中に建物が破壊され、瓦礫が避難民へと落ちていく。
『危ない!』
潜伏させていた狐火で瓦礫を破壊する。
みんなで協力して瓦礫を処理し、救助活動を始めるが最中にゾワッと尻尾の毛が逆立ち、振り向くと勢いよく吹き飛ばされ、瓦礫が頭にぶつかった。
『痛...』
当たり所が悪かったらしく視界がぼやけ、音も歪んだように聞こえる。
怒っているいずっくんの声とオールマイトに似た男の声を聞きながら私は意識を手放した。
「ユウちゃん!ユウちゃん!」
「三条!」「ユウちゃん!」
『う...』
目を開けると心配そうに覗き込むみんなの顔が見えた。
「ユウちゃん!目覚めてよかった!」
「気分はどう?大丈夫?」
『まだちょっと良くはないけど大丈夫。ここは?』
「多分あのオールマイトに似た男の個性だと思うんだけど、みんな光に飲み込まれて起きたらここにいたって感じ」
「分かってることはこのジャングルは作り物で電波が遮断されてるってことくらいかな...」
「これから呑み込まれた人達の安否確認と脱出方法を探すために移動しようと思うんだけど、ユウちゃん走れる?」
『多分大丈夫』
「辛かったら言ってね」
走り出して少しするとゴンッ!と音が鳴り、驚いて立ち止まると不自然にいずっくんが滑り落ちていった。
「壁だ...」
『ゴンッ!って音鳴ってたけど、いずっくん大丈夫?』
「はは...痛かったけど大丈夫」
「騙し絵かよ」
「ここが行き止まりみたいだね」
「見て見て!ほらここ、フタがある」
葉隠ちゃんが指さした先にはジャングルにあるはずもないマンホールがあった。
『違和感すご』
いずっくんがフタを開けると奥が深いらしく、暗くてなにも見えない。
浮くことができるお茶子ちゃんといずっくんが中を調べることになったが、2人が穴に入ってほどなくして、いずっくんの叫び声が聞こえてきた。
『いずっくん!』
「おい三条!」
穴に飛び込むと予想外に直線ではなく、スライダーのようにぐるぐるしながら滑り落ちていく。
『ひいいぃ!死んじゃう死んじゃう死んじゃう!』
尻尾が痛すぎて個性を解除したが、速度がどんどん早くなり、生きた心地がしない。
なんかデジャブ!
恐怖におののいているとお茶子ちゃんが見えた。
「ユウちゃん!?」
『危ない!!』
即座に空間操作で位置を入れ替えたため衝突事故は免れたが、相も変わらずすごい速度で落下していく。
これもう死んだかも...
命を諦めかけた頃、穴を抜けて雪に埋もれ気付いたら水に落ちていた。
助かったと安堵の息を吐きながら、陸に上がると銃声が聞こえ、慌てて岩の後ろに隠れる。
「うわああ〜!」
『いずっくん!?』
声の方を見るといずっくんと赤毛の燕尾服を着た男の人が見えた。銃声が聞こえなくなり、警戒しながらいずっくんの元へと走る。
『いずっく〜ん!無事!?』
「ユウちゃん!みんなもう降りてこられたの?」
『えっと...いずっくんの叫び声が聞こえて穴に飛び込んで死にそうになりながら私だけ転がり落ちてきた感じですハイ...』
「無茶しすぎだよユウちゃん...無事で本当によかった...途中で個性が使えなくなったと思うんだけど、ユウちゃんもまだ個性使えないよね?」
『え?あ、うん?』
明確には個性じゃないからか使えそうな感覚はあるが、ここは使えないことにしておいた方がいいだろう。
「ガキ様とお知り合いということは貴方もヒーローですか」
『い、一応は』
ガキ様?っていずっくんのことだよな多分
「でも同じく個性は使えないと」
『ハイ...』
使えねえといった目で見た後、ため息をつく執事さんに心が抉られる。
「超ガキ様は弾除けには使えない。でも流石にここに置いていくのは大人として」
「『超ガキ様!?』」
超ガキ様って何!?っていうか弾除けとか言わなかった!?この人怖!!
「.....私のバイクなら3人乗れないこともないでしょう」
『乗せてってくれるんですか...!』
なんだ!結構良い人じゃん!助かった〜
「安全そうなところに行ったら置いていきます」
『ハイ...』
やっぱりこの人怖い...