最終決戦偏
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私達は無事進級し、2年生になった。青山くんと交代する形で心操くんがクラスの一員となり、それ以外は前と変わりない日常が帰ってきた。と思われたのだが...
「ユウ、オレのハンカチ知らねえか?」
『ハンカチ?どんな柄?』
「お前にクリスマスに貰ったひよこのやつだ。どっかに落としちまったみてえで見当たらねえんだ」
『ちゃんと使ってくれてたんだ...!私は見てないなあ。探すの大変だろうし別に気使って探してくれなくていいよ』
「オレ、友達にプレゼントとか全然貰ったことなくてすげえ嬉しかったんだ。ユウに貰ったハンカチだし、なくしたままなんてぜってえ嫌だ」
『そ、そっか』
プレゼントしたっていうかたまたまプレゼント交換でしょーとくんのとこにいっただけなんだけど、そんな良い物でもないし申し訳なさすぎる...
『授業も終わったし、一緒に探そうか?』
「ほんとか...!助か」
《ショート先輩〜!》
ドタドタとすごい人数の女子が教室に詰め寄ってきて、思わずひっと声が出てしまう。
視線エグい!ここでしょーとくんと仲良く話してるとこなんて見られたら間違いなく殺される!
「オレになにか用か?」
みんな一気に喋りすぎて何言ってるか分からん...とにかくここから離れよう。
座席から立ち上がり、誰の所に避難しようか辺りを見渡していると廊下からまた別の叫び声が聞こえてきた。
《ダイナマイト先輩!》
まさかかっちゃんまで!?
かっちゃんがモテるのは前からだが、これは今までと規模が違いすぎる。告白で呼び出しされたり、バレンタインチョコを渡されたりはあったが今までこんな公の場で名前を叫ばれるようなことは流石になかった。
言葉遣いを直さなくてもここまでモテるとは...
「おいユウ!いんなら出てこい!」
続けて聞こえたかっちゃんの大声にサッと背筋が冷たくなる。廊下はショートファン達でぎゅうぎゅうで外に出られそうもない。近付いてくるダイナマイトファンとかっちゃんの声に慌てて教卓の下に隠れる。
「どけやモブ!おい!ユウ!クソッ!おい半分ヤローユウどこ行きやがった」
「ユウならさっきまで...あれ?もうオレのハンカチ探しに行ってくれたのか?」
「はァ?ハンカチィ?」
「クリスマスにユウに貰ったハンカチ落としちまって、一緒に探してくれるってさっきまで話してたんだ」
「何しれっとマウント取りきてんだ死ね!放課後あいつはオレと過ごすんだ邪魔すんな!」
「お前ら喧嘩はそれくらいにして一旦落ち着こう!な?(ユウちゃん死ぬぞ!何考えてんだコイツら!?)」
「そうそう!三条ならさっき腹痛えって言ってたからもう寮帰ってるかも(多分なんも考えてねえよ!とにかくここから2人と2人のファン引き剥がすぞ)」
「チッ!」
「そうなのか?じゃあ気使わせねえようにハンカチ早く見つけねえと」
「私も探します!」「私も!」「私も!」
「わりいな。助かる」
上鳴くんと瀬呂くんのおかげで2人とファン達は移動したらしくドタドタと足元が聞こえ、教室が静かになった。
「ユウちゃん、もう出てきて大丈夫だよ」
『助かった...みんなばらさないでくれてありがとう』
「そりゃあ、あの状況でばらしたら人殺しだぜ。爆豪は三条と付き合ってるって公言して追っ払うつもりだったんだろうが」
「修羅場になるの目に見えてるもんな」
『だよねえ...頑張って見つからないように寮まで戻るよ』
「三条、ダークシャドウで寮まで送り届けようか?流石に空から行けば見つからないだろう」
『ほんと!?ありがとう常闇くん!ダークシャドウ!』
2人に送り届けてもらい、ベッドへと倒れ込む。とりあえず今日のとこはいいとしてもこの現象は明日以降も続くだろう。しょーとくんとはただの友達だから変な誤解をされないようにすればやり過ごせる。でもかっちゃんとは付き合ってるから逃れようがない。
どうしてこんな奴とって思われるんだろうなあ...
憂鬱すぎて頭が痛い。
スマホから音楽が流れ始め、画面を見るとかっちゃんと表示されていた。
『もしも』
〈お前今どこにいる!また貧血になってどっかで動けなくなってんのか!?〉
腹痛と聞いて生理に結びついてしまったらしく、前回と同じようになっているのではと心配して探してくれていたらしい。息を切らし、ものすごく焦った声で話すかっちゃんに申し訳ない気持ちになる。
『今寮の部屋にいるよ。もう治まったし生理じゃないから大丈夫』
〈そうか。それならいい。寮戻ったらお前の部屋行く。お前の大丈夫は様子見るまで安心できねえ〉
『信用ないなあ〜うん。待ってるね』
電話を切り、優しいなと自然と頬が緩む。いつの間にか寝てしまったらしく、ノックの音で目が覚め、扉を開ける。
「とりあえず顔色は悪くねえな。腹痛えのもう大丈夫なのか?」
『うん。心配してくれてありがとう。部屋寄ってく?ジュースくらいしか出せるような物今ないけど』
「...お前がいればなんも要らねえよ」
『〜〜っ!』
そんなこと言われたら恥ずかしすぎて困ってしまう。ベッドに腰掛けた私のすぐ隣に座り、私の手に自分の手を重ねるかっちゃんにドキドキしすぎて何も言葉が出なくなってしまう。
「なに緊張してんだよ。手握るくらい普通にやってただろ」
『ご、ごめん』
顔が熱い。何か喋らなきゃと思うのに頭が回らない。
「ハッ、顔真っ赤だぞ。自分からキスもしたのに変なやつ」
『あの時はっ!えっと...その』
スッと離される手に罪悪感を覚える。彼女なんだから応えなきゃなのに何もできない。それどころかこんな拒むようなこと...
「ちょっと急すぎたな。照れられたことなかったから、お前の恥ずかしがり屋舐めとったわ。時間はあんだからゆっくり慣れてきゃいい」
『ごめんなさい私...』
「意識されてるってのは普通に嬉しいし、お前がオレのこと好きってのはちゃんと分かってるから気にすんな。つーか謝られたり暗い顔される方がよっぽど傷付くっつーの」
『そ、そうだよね』
ごめんと続けそうになり慌てて口を噤む。
「まだオレもお前も怪我治りきってねえし、すぐには無理だけどよ。デート行かねえか...?」
『へ!?』
突然のお誘いにびっくりしてかっちゃんを見るとほんのり頬が赤くなっており、気恥ずかしそうに目を逸らされた。
「い、嫌なら別に」
『私とでいいの?』
「なんでお前以外のヤツ誘わなきゃいけねーんだよ」
『ふふっ、初デートだね!楽しみ!』
恋はドキドキのち晴れ?