最終決戦偏
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「轟くん!」
「!」
『嘘...』
全員が満身創痍。そんな中炎の中で笑って立っている男が一人。
「結果的に先にお前とやれて良かったのかもな」
「ユウ!早くオレの後ろに!」
『熱っ...』
さっきよりも確実に火の威力が増している。
あれだけの深手を追ってどうして動けるの?
でも体は確実にダメージを追ってる。このままでは焦げてなくなってしまう。
「飛んで親父の下に行く気だ!」
空へと飛んだ荼毘の下にワープゲートが現れる。
ここでどうにかしないと手遅れになる。空間操作を使おうと荼毘を見上げるが、荼毘の体が絶えず燃えているせいで姿が捉えられず空間操作が使えない。
『クソッ!』
個性が強化された今なら追いつけるかもしれない。足に力を込めて思いっきり飛び上がり、狐火を踏み台にして荼毘の元へと向かう。
あと一歩!
荼毘を掴もうと伸ばした手がワープゲートに飲み込まれる。
『え』
「ユウ!」
荼毘から引き剥がすようにしてワープゲートに飲み込まれ、視界が真っ暗になる。
視界が開け、外に放り出されると同時に相澤先生と物間くんが吸い込まれていくのが見えた。
「三条!」
『先生!物間くん!』
ワープゲートが消え、状況が分からず困惑していると手を叩く音と笑い声が聞こえた。
「ハハッ!これで役者が揃った!抹消は消えたし、次はその小娘を死体も残さず消し去ってやるよ緑谷出久」
「やめろ!!」
『チッ!』
狐火を大量に生成し、死柄木を睨みつけると死柄木はにいっと笑った。
「そうだ。まずはお前にサプライズプレゼントだ」
そう言って死柄木が指を指した先を見て、ひゅっと喉が鳴る。
『あ...ぁ...』
違う。なにかの間違いだ。だってそんなこと...
『かっちゃん!!!』
駆け寄った先にいるかっちゃんはピクリとも動かない。
『ッ!』
急いで吸収を使おうとするが、吸収が使えない。
『どうして...!』
何度試しても全く発動する気配がない。
『やだっ...かっちゃん!かっちゃんっ!』
「フォックス!今、エッジショットが救命措置にあたってる!だから大丈夫だ!」
「そんなの上手くいくとでも?だってそれはもう壊れてる」
「黙れ!」
遠くで声が聞こえる。
ボタボタ絶え間なく落ちていく涙を邪魔に思いながら、目の前に横たわるかっちゃんを見つめる。全身傷だらけで胸の中心部分と顔の左側に至っては血塗れでどうなってしまってるか分からない。薄らと開いている目にはもう生気が宿っていない。これで生きているか死んでいるかと問われれば答えは明白だ。
「悲しいよなあ?でも安心しろ。すぐに後を追わせてやるよ!」
お前だけは何としても、どんな手を使っても...!
『殺してやる!!』
「ユウちゃん!ダメだ!」
一直線に死柄木へと突っ込み、巨大な狐火を放つ。
もう命なんて要らない。
だからなんだってできる。使えるもの全部使え。こいつを殺すために...!
「そんな攻撃じゃ蚊に刺された程度だぜ?これでお前も終わりだ」
『グッ...』
「ユウちゃん!」
腕と脇腹から流れる血を見てちょっとやりすぎたなと反省する。でも倒すまでなんとか耐えられればそれでいい。
『陣地作成』
これだけ私の血が付着してればポイントの数は十分。直接死柄木に陣地作成ができる。血液だから威力は倍増するし、前回も大怪我した状態で止められたのだからいけるはずだ。
何としてもお前だけは殺す!
「ユウちゃん!早く止血しないと!」
焦った様子で私を抱き上げ、死柄木の攻撃を躱すいずっくんにハッとする。
ダメだ...ここは空の上で逃げ場がない。狐化すればここにいる人達全員を巻き込むことになる。いずっくんもかっちゃんと一緒に戦ってくれた人達もこの場所を裏で支えてくれている人達も全員...
「ユウちゃん!動いちゃダメだ!」
『うああア゛ーー!』
いずっくんの腕から抜け出し、死柄木の腹に尻尾を思い切り叩きつける。
「クッ!」
『ハッ!蚊にしては随分ダメージ食らってんなァ!』
ちゃんとダメージは入る。でも出血が多すぎて倒せるまで体が持たない。視界が揺れる。動いているはずなのに体が冷たくなっていく。
『う゛っ!』
地面に叩きつけられ、内蔵がやられたのか口から大量に血が出る。体が動かない。やっぱり狐にならずに勝つなんて私にはできない。
「ハハッ!結局お前も小僧と同じように、なにもできず死ぬ」
『だ...ま...れ』
腕は折られ、足と腹を刺された。でもこのまま死ぬわけにはいかない。お前を殺すまで死んでなるものか。お前だけは絶対殺す。殺してやる...!
“その願い妾が叶えてやろう”
知らない誰かの声が頭に響く。
...知らない......?あ...れ...どこかで......
それ以上考えることは叶わず、私の意識は闇へと消えた。