映画 2人の英雄
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『疲れた...轟くん、かっちゃんがごめんね。すぐ勝負したがるんだからあの戦闘狂』
「賑やかで楽しかったしいい」
轟くんはそう言ってくれたが、エクスポ内で片っ端から競う系のゲームを轟くんに挑み、騒ぐかっちゃんを切島くんと止めるのが大変すぎて正直全然楽しめなかったし、かっちゃんには後で制裁を下そうと決意する。
『部屋めっちゃ豪華だしベッドふかふか〜寝る時いびきとか寝言とかうるさかったら叩き起してね!』
「わかった。姉さんに借りてきたドレスこれなんだが着れそうか?」
『多分着れると思う!ありがとう』
あんまり露出ないのでよかった〜
「飯田から連絡きた集合時間も近いし、早速着替えるか。三条は脱衣場で着替えでいいか?」
『OK〜』
「誰がパーティーなんぞに行くか。知らねえやつのスピーチ聞いていちいち拍手なんかしてられっか。バカバカしい。そもそもオレは正装なんて持ってきてねえ」
「だと思っておめえの分も持ってきた!」
「用意周到すぎるだろこのクソ髪!」
「パーティーの料理楽しみって言ってたし、行きゃあユウの正装が見れるんだぜ?」
「!...服寄越せ。仕方ねえから行ってやる」
「そうこなきゃな!いや〜1人部屋だったらお前部屋から出てきてくんなそーだし2人部屋で助かったぜ」
「...半分ヤローの同伴者で来たってもしかして同じ部屋だったりしねえよな?」
「いや流石に.....オレらも一緒だし、ないとも言いきれねえな...2人とも気にしなさそうだし...」
「あのクソ舐めプ!!」
「あ!おい!爆豪!」
『うおっ!』
「大丈夫か三条」
『ヒールの靴とか履いたことなくて。こんなんで普通に歩けるなんて世の女性はすごい』
足折れそうだしコケそう...
「腕、掴まるか?多少歩きやすくなるはずだ」
『ごめん、このペースじゃ集合時間遅れちゃいそうだしお願いできる?』
「ああ。じゃあ掴まれ」
『?』
若干腕を浮かせこちらを見てくる轟くんにハッとする。
掴まるってもしかして腕を組めってこと!?轟くんと!?恥ずかしいというか恐れ多すぎる!
「どうした?」
でもこのままじゃ遅刻しちゃうし...
あーもう!どうにでもなれ!
「歩くぞ。速かったら言ってくれ」
『う、うん!』
恥ずかしいけど、さっきより格段に歩きやすい。でも気を抜いたらコケてしまいそうだ。集中!
『やっとエレベーターだ〜!うわっ!』
「あぶねえ!」
盛大にコケそうになったところを轟くんに抱きとめられる。
『ごめん轟くん...』
「怪我はねえか?」
『うん』
想像以上に近い距離にあった顔にドキッとして後退しようとするとまたバランスを崩しそうになり更に強く抱き締められる。
「大丈夫か?ゆっくり立つぞ」
『もうほんとごめん轟くんにこんなことさせるなんて切腹ものだ』
「随分大袈裟だな。なんか顔赤えけど大丈夫か?体調悪いなら」
『大丈夫!大丈夫!』
轟くんに支えられながらゆっくり立ち上がり再び掴まらせてもらう。
心臓めっちゃドキドキしてるし聞こえちゃったらどうしよう...
なんとか集合時間に間に合ったと安堵しながらエレベーターを出ると叫び声が聞こえ、思わず組んだ手に力が入ってしまう。
「と、とどろとどロッユウちゃん!どういうこと!?」
「ぜってえ付き合ってんだろ!!」
「これ見よがしに熱々カップルアピールしやがって!」
「君たちそういう関係だったのか!」
『そんなわけないじゃん!私がヒールの靴で上手く歩けなくて、遅刻しそうだったから轟くんが助けてくれてたの!』
「集中して歩かねえとまたコケるぞ」
『ご、ごめん...』
「確かに歩くの大変そうだな」
「そういうことかぁ...(よかった...)」
「そうだとしても轟許すまじ!!女子とそんな密着してズリい!」
「オッパ「ごめん!遅刻してもーたってユウちゃんと轟くん!ええ!?」
『ち、違うのこれは!』
「申し訳ありません。耳郎さんが...三条さんに轟さん!?」
「2人ってそういう...」
『違う!違うんだってばー!』
柱に掴まり直した後なんとか誤解が解け、安堵のため息をつく。
「なんだ〜そういうこと」
「びっくりしたあ」
「爆豪さんがいらっしゃらなくてよかったですわ...」
「確かに」
「戦争になっちゃうね」
『戦争!?まあかっちゃんはくだらねーって言ってたし、十中八九来ないと思うよ?』
「え〜せっかくユウちゃんが可愛い格好してるのにもったいない」
「落ち着いた雰囲気の素敵なドレスですわ」
『ね!轟くんのお姉さんに貸してもらったの!靴は昔に履いてたのがサイズ同じだからって貸してもらったんだけどヒールがね...そこまで高くないんだと思うんだけど履いたことないから慣れなくて...みんなの服もとっても可愛いね!』
「ウチこういう格好は...その...なんというか...」
「馬子にも衣装ってやつだな」
「女の殺し屋みてー」
「「うわーー!」」
「黙れ」
「何だよ。オレは褒めたじゃんか」
「褒めてない」
「正装なんて初めてだ。八百万さんに借りたんだけど...」
「に、似合ってるよ。うん、すごく!」
「デクくんたらお世辞なんか言わんでいいって!」
「麗日くん!?」
「「ウオーー!」」
じろーちゃんに成敗され倒れていた2人の歓声に扉の方を見ると正装に着替えたメリッサさんがこちらに走ってきた。
「デクくん達まだここにいたの?パーティー始まってるわよ」
おお!綺麗だー!メガネなしだと雰囲気ガラッと変わるなあ〜
「ダメだ。爆豪くん、切島くんのどちらの携帯にも応答がない」
『もー!絶対かっちゃん切島くんに迷惑かけてるし!かっちゃんはともかく切島くん置いてくのは気が引けるなあ...え!?何シャッターが』
警告とともに周りにシャッターが降り始める。
「携帯が圏外だ。情報関係は既に遮断されちまったらしい」
「マジかよ...」
「エレベーターも反応ないよ」
「マジかよう...」
「爆発物が設置されただけで警備システムが厳戒モードになるなんて...」
「飯田くん、パーティー会場に行こう」
「なぜだい?」
「会場にはオールマイトが来てるんだ」
「オールマイトが?」
「なんだ。それなら心配いらねえな」
「メリッサさん、どうにかパーティー会場まで行けませんか?」
「非常階段を使えば会場の近くに行けると思うけど」
「案内お願いします!」
様子を見に行ったじろーちゃんといずっくんから受けた説明は恐ろしいものだった。
『ヴィランがタワーを占拠、警備システムを掌握!?この島の人全員が人質でヒーローは全員捕まっちゃってるの!?ヤバいじゃん!』
「オールマイトからのメッセージは受け取った。オレは雄英高教師であるオールマイトの言葉に従い、ここから脱出することを提案する」
「飯田さんの意見に賛同しますわ。私たちはまだ学生。ヒーロー免許もないのにヴィランと戦うわけには...」
「あ!なら脱出して外にいるヒーローに」
「脱出は困難だと思う。ここはヴィラン犯罪者を収容するタルタロスと同じレベルの防災設計で建てられているから」
「じゃあ救けが来るまでおとなしく待つしか...」
「上鳴それでいいわけ?」
「どういう意味だよ?」
「救けに行こうとか思わないの?」
「おいおい、オールマイトまでヴィランに捕まってんだぞ!オイラたちだけで救けに行くなんて無理すぎだっての!」
「オレらはヒーローを目指してる」
「ですから私たちはまだヒーロー活動を...」
「だからってなにもしないでいいのか?」
「そ、それは...」
誰の意見も間違えてない。でも脱出できないしヴィランと戦えないしどうすれば...
「救けたい」
「デクくん?」
「救けに行きたい」
「ヴィランと闘う気か?USJで懲りてないのかよ緑谷!」
「違うよ峰田くん。僕は考えてるんだ。ヴィランと闘わずにオールマイトたちを...みんなを救ける方法を」
「気持ちはわかるけどそんな都合のいいこと...」
「それでも探したいんだ。今の僕たちにできる最善の方法を探してみんなを救けに行きたい」
「デクくん...」
『それでこそいずっくんだ!役に立たないだろうけど手伝えることがあるなら私はいずっくんの指示に従うよ!今度は団体行動できないばかっちゃんいないし、いずっくんの指示なら信用できる!』
「ユウちゃん...!ありがとう!」
「しれっと爆豪ディスられてんな」
「まあ試験大変だったみたいだし...」
「I・アイランドの警備システムはこのタワーの最上階にあるわ。ヴィランがシステムを掌握しているなら認証プロテクトやパスワードは解除されているはず。私たちにもシステムの再変更ができる。ヴィランの監視を逃れ最上階まで行くことができればみんなを救けられるかもしれない」
「メリッサさん」
「監視を逃れるってどうやって?」
「現時点で私たちに実害はないわ。ヴィランたちは警備システムの扱いに慣れてないと思う」
「戦いを回避してシステムを元に戻すか...なるほど」
「それならイケんじゃね?」
「だよね」
「しかし最上階にはヴィランが待ち構えてますわ」
「戦う必要はないんだ。システムを元に戻せれば人質やオールマイトたちが解放される。そうなれば状況は一気に逆転するはず」
「デクくん行こう!」
「麗日さん」
「私たちにできることがあるのに何もしないでいるのは嫌だ。そんなのヒーローになるならない以前の問題だと思う」
「うん、困ってる人たちを救けよう。人として当たり前のことをしよう!」
「おう!」
「緑谷、オレも行くぜ」
「ウチも」
「轟くん!」
「響香ちゃん!」
「これ以上無理だと判断したら引き返す。その条件がのめるならオレも行こう」
「飯田くん!」
「そういうことであれば私も」
「よっしゃオレも!」
「八百万さん!」
「上鳴くん!」
「あーもうわかったよ!行けばいいんだろ行けば!」
「ありがとう峰田くん!」
「いっちょやってやろうぜ峰田!」
「頑張ろう峰田くん!」
「メリッサさんはここで待っててください」
「私も行くわ」
「えっでもメリッサさんには個性が...」
!メリッサさん無個性だったんだ...
「この中に警備システムの設定変更できる人いる?私はアカデミーの学生、役に立てると思う」
「でも...」
「最上階に行くまでは足でまといにしかならないけど...私にもみんなを守らせて。お願い」
「...わかりました。行きましょうみんなを救けに!」
「ええ!」
『絶対私の方が足手まといなので全然問題ないです!』
「そこに自信もってどうすんだ」
「ユウちゃん...」
作戦開始!