映画 ワールドヒーローズミッション
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『かっちゃん、目が!』
「片方見えてりゃ問題ねえ。それよりお前の肩大丈夫かよ」
『動くから大丈夫』
私のせいで気を取られて...
「ユウ、オレがあいつらの気引いてるうちに陣地作成しろ。火力底上げで一気に仕留める」
『分かった!』
かっちゃんが戦っている間にポイントを撃ち込み陣地作成をする。範囲を視せようと、かっちゃんの方を向くと、ヴィランの刃がかっちゃんを貫いていた。
『かっちゃん!』
「ぐうっ!早く火寄越せユウ!チッ!ちょこまかウゼーんだよ!」
攻撃を避けながら狐火を放つが、敵の刃に切り裂かれてしまう。
間合いが広すぎる!それに早すぎて私じゃ捌ききれない...!
「ヒャハハハハ!」
クソ...ムカつく笑い声だ。
徐々に避け切れず受けたダメージが蓄積されていく。でも配置はできた。かっちゃんの方もあとはきっとタイミングだけだ。
「ユウ!いくぞ!」
『了解...!』
空間操作でかっちゃんが戦っている方のヴィランと入れ替わる。
「その笑い声耳障りなんだよ!」
かっちゃんが篭手のピンを抜くと大爆発が起き、更に狐火と手榴弾に爆発が連鎖していく。大量の瓦礫がヴィランに降り注ぎあっという間に瓦礫の山が出来上がった。
「ハッ ザコには分かんねえよなァ...戦いながら手榴弾仕込んでたなんてよォ」
『かっちゃん!早く止血しないと!酷い怪我だよ』
「お前も怪我してんだろーが。吸収ぜってえ使うんじゃねーぞ。使ったら塩かけるからな」
『めっちゃしみて痛いやつじゃん...』
「『!』」
突然瓦礫の一部から土煙が上がった。そこから刃が飛び出し、瓦礫を跳ね除けヴィランが姿を現した。二人の体が不自然に脈打ったあと、体から6本の剣が生えだし、声も体も不気味に変化した。
「ホンモノのイカレになりやがったか」
向かってきた敵に狐火を連続で放つ。
『第二形態ってやつ?しつけーなぁ!!』
スピードも火力も上がってる...!
狐火が当たらないとなると直接叩くしかない。けど間合いが広すぎて近付けない!
『くっ...』
防御に徹しても防ぎきれない。時間経過で向こうが弱るということもないだろう。
それなら...
敵の背後にある瓦礫と入れ替わり、背後から尻尾を叩きつけようと振りかぶる。
『っあ...』
「カカカカカ!」
「ユウ!!」
脇腹と足を切り裂かれ、地面に倒れ込む。敵の耳障りな笑い声が頭に響く。痛みで足に力が入らない。
一体でもキツイのに二体同時に相手をするなんて無茶だ。攻撃する隙がなく、どんどんかっちゃんの傷が増えていく。
かっちゃんがやられるとこを見てるしかないなんて...
自分の不甲斐なさに腹が立つ。
私がもっとちゃんと動けていればかっちゃんが怪我することもなかったのに...
戦い始めて時間も結構経ってる。かっちゃんの爆破の威力は始めよりかなり上がっているはずだ。それにまだハウザーを使ってない。
僅かでも隙を作れればまだ勝算はあるはずなのに!
悔しくて唇を噛みしめる。
!...そうだ。まだ一つ1回だけできることがある。
チャンスは1回。タイミングを見誤っちゃいけない。敵が油断する瞬間を作る。
今だ!
目の前には二人のヴィランと迫り来る刃。
グサリと太ももや肩に刃が突き刺さる。
「キキキキキ!」
『...そんなに嬉しいか?イカレ野郎』
片目でぼやける視界によくこれであそこまで立ち回れたなと、かっちゃんの身体能力の高さに改めて感服する。
まずい、頭がぼーっとしてきた...
少しでも気を抜くと変身が解けてしまいそうだ。まだ時間を稼がなきゃ...
敵の後方にちらりと見えたクリーム色の髪にこれでなんとかなると安心する。
『奇遇だなオレもだ』
中指を立てて不敵に笑って見せる。
敵の背後で大爆発が起き、爆煙からかっちゃんが現れた。
「無茶しやがって馬鹿!」
『ごめん...後でいくらでも怒られるから、後は頼んだよ...』
「分かってる。下で大人しく待っとっけ」
『うん』
下に見える瓦礫と空間操作で入れ替わる。
これでもう大丈夫...
眠気に誘われるまま私は目を閉じた。
結構な威力の爆破を当てたが、まだイカレ野郎は倒せていない。
ユウの怪我は大丈夫なのか?早く止血しねえと!
すぐにでもユウの所に行きたいが、せっかく作ってくれた チャンスを無駄にするわけにはいかない。
とっとと終わらせてやる...!
「グゥオオオオ!」
手に刃が刺さるのも気にせず、ヴィランの刃を掴み思いっ切りぶん投げ柱に巻き付ける。
「やっと大人しくなりやがった」
篭手を発射しそれを刃に変えた舌で斬り裂いたヴィランに着火して爆破が起こる。敵がのたうち回る中、爆破を出しながら回転し上昇する。
「今度こそブチ込んだらァ!!」
目の前に出来上がった巨大な竜巻に回転しながら突っ込む。
「ハウザーインパクト!!!」
最大火力の大爆発が起き、周囲の柱事一気に崩れ落ち瓦礫の山とかす。
「この...タコども」
瓦礫に潰されたヴィランに向けて親指を下に向ける。
意識が飛びそうになるのをなんとか堪えながらユウの元へ向かう。
しかしあと1歩という所で、体が限界を迎え倒れ込んでしまった。
目の前には頬から血を流し、白いコスチュームを赤く染めたユウがいる。赤い袴はドス黒い赤に変色し、地面も所々赤くなっている。
「...ごめん...ユウ...」
力なく放り出された小さな手を握り締め、オレはそのまま意識を飛ばしてしまった。