映画 ワールドヒーローズミッション
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『すっごい賑わってるね!』
「昨日着いた時には暗くてよく分からなかったけど、こんな街並みだったんだ!」
「いっぱい人がいるな」
「ケッ 待機だかなんだかしらねーが、なんでオレが買い出ししなきゃなんねーンだァ!?」
「チームで一番下っぱなのはオレらだ。世界選抜チームに加われたのも、エンデヴァー事務所にインターン中だったから...いわばオマケみたいなもんだ」
「でも、チームに加わったからには、全力でテロからみんなを守らないと...」
『いいじゃん!みんなでおつかい楽しそうだし!いっぱい色んなお店あってワクワクする!』
「観光に来たんじゃねーんだよバカ!」
「まあまあ...ずっと緊張状態っていうのも疲れちゃうし、買い出しくらい気楽にやってもいいんじゃないかな」
「買う物結構あるし、二手に分かれるか」
「オレがこのバカと組む。ちょっとでも目離すとまたホイホイ声掛けられたり、どっか連れ去られそうだからな」
『そ、そんな治安悪いのココ...』
「じゃあかっちゃんの方はこれとかこの辺でどうかな」
「重いもんはオレらの方がいいだろうし、これでいいんじゃねえか」
「じゃあこのメモに書いてあるものをよろしくね」
『はーい!』
二手に分かれ、ワクワクした様子でメモの内容を確認しているユウはまるで初めてのおつかいをする子どものようだ。
見ていてとても微笑ましいが、そんなユウを狙っている奴らの視線で、オレの気分は最悪だ。片っ端からガンを飛ばし、近付くなオーラ全開で歩く。
『まずはパン屋さんかな』
「ん」
パン屋を見つけ中に入るととても良い匂いがした。
『良い匂い!これ自分の分もついでに買ってもいいかなあ!?』
「自分で金出せば買っても問題ねえだろ」
『やったー!っとその前におつかいの日持ちするパン買わないと。かっちゃん、日持ちするパンって何?』
「フランスパンとかシンプルなやつなんじゃねーの」
『なるほど!私の好きなパンね了解』
楽しそうにパンを選び始めたユウの後ろをついて行き、会計を済ませる。
続けてユウが自分の分を買おうとすると、何故か奥から、パンの詰め合わせが出てきた。
『かっちゃん、これも買えってこと?』
「いや。お前にくれるってよ」
『え!?大した量買ってないのにこんなにくれちゃっていいの!?』
「いいつってんだから貰っとけ」
『ほ、ほんとに!?えっと...サンキュー!』
呑気に手を振り返しているユウを引っ張り外に出る。
『なんか分かんないけど得したね!』
「そうだな」
また明日来いとか色々言ってたがそんなものは無視だ。
こんな軽く挨拶するみたいなノリでアタックできたら楽だよなとたくさんのパンを持ってご機嫌なユウを見てため息をつく。
『次は野菜と果物類かな?』
自分が隣で睨みを利かせているため、近付いてくる男はいないが、ものすごく視線を感じる。
視線を向けられている本人は全く気付いていないが、1人にさせたら間違いなく朝以上に大変なことになるだろう。
『かっちゃん!八百屋っぽいとこあったよ!』
「ええ!?そ、そんなに買う物頼んだっけ!?」
『なんかセールとかだったのかなあ?いっぱいくれたよ!』
「オレも貰ったりしたが、この量はねえな」
「かっちゃんこれどういう...ってなんかめっちゃ疲れてない?大丈夫...?」
「この国の奴らはほんとどういう神経してんだ!」
『まあまあかっちゃん。よく分かんないけど、休憩して落ち着きなよ。そうだ!いっぱい貰ったし、みんなでパン食べようよ!』
「すごい量だね...」
「じゃあこれ貰っていいか?」
『どうぞどうぞ』
「クソが!」
『なにが?』
あの店員を思い出し、イライラしながらクロワッサンに齧り付く。
普通に美味えなクソ
『この街の中にもヒューマライズの団員がいたりするのかな?』
「もしかしたらいるかもしれないね」
「クソ妄想に取り憑かれたクソ団体...なにが個性終末論だ。なんの根拠もねえ眉唾もんの御託を真に受けやがって...」
『な、なんか爆発した!?』
「オレを見んな!あっちから音しただろーが!」
大きな音のした方角に目を向けると煙が出ている店舗から人がでてきた。
「宝石強盗だ!捕まえてくれ!!」
「てめーらは右行けッ!」
「わかった!」『了解』
路地裏に逃げたヴィランを追いかけ、攻撃を避けた後爆破をお見舞いする。
気絶したヴィランは洗濯ロープに絡まって宙釣りになった。
あとはあっちだな
あーー道に迷った!みんな見失っちゃったし、道が狭くて、人も多いから普通に走るしかない。
『みんなどこー!うわっ!』
道端に転がっていたゴミに足を取られ、思いっ切り前にコケる。
『いた...』
「おい大丈夫か?」
ヘアバンドにグラサン、コートにツギハギの服を着た同い年くらいの男の子に手を差し伸べられる。
『え?あ、ごめんじゃなくてソーリー』
手を取るとぐいっと力強く体を引かれた。
細いのに力あるなこの人。身長は轟くんよりちょっと大きいかな?
そんなことを考えていると突然手を引かれ驚いて彼を見る。
「ないよりマシだろ?じゃ、オレ急いでるから!お大事に!」
あっという間に姿を消してしまった彼を呆然と見送り、ハッとして引かれた方の手を見ると、腕にハンカチが巻かれていた。
『さっきの人が巻いてくれたんだ。お礼言いそびれちゃったな』
一番ズキズキ痛む場所だし、そんな見るに耐えない状態だったのかな...うわあ...見たくない...
「ユウ!ヴィランは!?」
『かっちゃん!それがみんなとはぐれちゃって...』
「何やってんだバカ!早くつかまれ」
『ごめんなさい!でもかっちゃん1人の方が』
「いいからつかまれ!」
ぎゅっとかっちゃんにしがみつくと地面がどんどん遠くなっていく。
うう...高いとこ怖い...
「急がなくても、あいつらならもうヴィラン捕まえてんだろ」
『そうだね...!』
かっちゃんの二人への信頼が垣間見えて、とても嬉しい気持ちになる。
この体勢で良かった。顔見られたら、何ニヤけてんだって怒られちゃう。
「つーかお前このハンカチどうした?...もしかして怪我してんのかお前!」
『だ、大丈夫!ちょっとコケただけ!ハンカチは多分助けてくれた男の子が巻いてくれたんだと思うんだ。早すぎていつ巻かれたか、よく分かんなかったけど...』
「コケた?助けてくれた男だァ?」
『う、うん』
「何やってんだテメーは!敵にやられたんじゃねえのかよ!しかも誰だその男!落書き渡されたり、変なことされてねえだろーな!?」
『されてないされてない!助けてくれただけだって!誰かは知らないよ。多分同い年くらいで茶髪で、かっちゃんより背高い子』
「ああ゛!?オレはまだこれから伸びんだよ!」
『なんでキレてんの...』
この時、件の少年といずっくんが追いかっけっこをしていたなんて私達は知る由もなかった。
良い人だったなあ