全面戦争 編
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『どんな時でも救けてくれる本当にすごいヒーローなんだよかっちゃんは!』
全部見透かされてるような気がした。
ユウを救けられる自信がなくなっている事も今もユウのヒーローになれているのかという不安もどんどん大きくなっていく幼馴染に対する劣等感も...
笑ってといきなり写真を撮ってきたこいつは相変わらず抜けていて撮った理由が噛み合っていない。
ったく。自分も写らなきゃ意味ねえだろ
ユウのスマホを奪い、2人写るように写真を撮る。
自分も同じ事をした癖にバカみたいに驚いた顔をしているユウを見て思わず笑ってしまう。
やっぱりオレはこいつがいないとダメらしい。
気分が一気に軽くなり、まだ追いつけると心の炎が再び燃え上がる。
写真の出来栄えに文句を言いつつ、かっちゃんが写ってるしいいかと呟くユウに意味が分からず聞き返すとオレが1番大切で忘れちゃいけない人だから1番最初に撮ろうと思ってたなんてとんでもない答えが返ってきた。
好きなやつからの告白ともとれる言葉にブワッと体温が上がる。横目でチラッとユウを見ると頬を赤く染めて俯いている。きっとユウにそんな気持ちはない。でも嬉しくて愛おしくて堪らない。
頭を撫でて礼を言うと目を見開いてユウはオレを見た。頬を赤く染めたユウの瞳が潤み、ぽたぽたと涙が零れ落ちていく。
「ど、どうした突然!?」
突然の涙に驚いて声を上げるも、ユウは涙を拭い、なんでもないとごめんなさいを繰り返すばかりだ。
基本ユウはあまり泣くやつじゃない。それに表情を見ればなんでもないことじゃないのは明白だ。
「なんでもなくねえだろ。なんで泣いてんだ?」
『...私もうかっちゃんと一緒にいられない...』
紡がれた小さな言葉に背筋がヒヤッとする。
「体もしかしてどっか変なのか!?呪いがもう」
『違う...これ以上かっちゃんといるときっと私耐えられなくなっちゃう...私じゃダメなのに...
いつまでも気付かないままいられたら良かった...でももうダメなの...気付いちゃった...
私、かっちゃんには誰よりも幸せになって欲しいの。だからもう優しくしないで...私のこと救けないで...』
なんとなくユウの気持ちは分かった。本当に不器用でバカで素直じゃなくて可愛いヤツだ。
そんな言い方オレじゃなきゃ分かんねーっつーの
「オレの幸せを勝手にお前が決めんな。オレはお前のヒーロー辞めるつもりは毛頭ねえし、離れるつもりもねえ」
『もう優しくしないでって言ってるじゃん!もういいよ...これ以上私に縛られなくていい。今までごめんね。お茶子ちゃんのことが好きなんだから、私のことはもうほっといて...』
「はァ?んだよそれ。オレが好きなのはユウ。お前だ」
『嘘つかないで!そんなはずない!...だって私なんか...』
ギュッとユウを抱きしめると煩かった心臓の音が更に煩くなった。
「聞こえんだろ?これでも嘘だって言うのかよ」
『なんで...分かんないよ...どうして私なんか』
「好きだって自覚したのはお前にやけど負わせちまって見舞いに行った時だ。でもいつなんで好きになったかは分かんねえ。気付いたらお前のこと好きになってた。きっかけなんてそんなもんだ。でもずっと好きだった。離れてた間もお前以外を好きになった事は一度もねえ」
体を離すとユウの顔は真っ赤になっていた。
視線を逸らさず真っ直ぐユウを見つめる。
「ユウ、お前が好きだ。オレと付き合え」
『......私バカだし不器用だよ?』
「知ってる」
『素直じゃないし食い意地はってるし...』
「知ってる」
『女の子らしくないし料理とかも全然出来ない』
「知ってる」
『可愛いくないし美人じゃないよ?』
「オレは可愛いって思ってる」
『っ!す、スタイルもよくないし、体、傷だらけだし...』
「オレを体目当ての奴とでも思ってんのか?」
『お、思ってないよ!でもっ!...私なんかと付き合わない方がいい...きっと今よりも迷惑掛けることになるし、私かっちゃんに何もしてあげられない...』
「そんなことねえ。オレはお前の行動に言葉に何度も救われてきた。お前が傍にいてくれればオレはオレでいられる。なんもいらねえし、しなくていい。お前が傍にいてくれればそれでいい」
『っ!...ダメなの...私といても辛い思いをするだけだもん...またかっちゃんのこと忘れちゃうかもしれない...またいっぱいかっちゃんのこと傷付けちゃうかもしれないっ』
「お前が忘れてもオレが覚えてる。お前が望むなら何回でも思い出させてやる。傷付けられようがなんだろうがお前の傍を離れるつもりはねえ」
『......夢に見たの...私、きっと長く生きられない...最期は殺すことしか考えられないような化け物に成り果ててヴィランとして終わるかもしれない...だから...』
「あーーもううるせエ!!」
驚いた顔をしたユウとやっと視線が交わる。
「お前はオレが嫌いなのか?」
『そ、そんなわけ!』
「ならつべこべ言わず、黙ってオレの女になっときゃいーんだよ!先のことなんて分かんねえ。オレがお前を忘れちまうこともあるかもしんねえ。オレがお前を傷付けるかもしんねえ。
でもオレはお前を呪いなんかで死なせるつもりはねえし、例えお前が化け物になってもオレの気持ちは変わんねえよ。お前を救ける。傍にいて泣きたきゃ抱きしめてやる。お前が悪いことをしたら叱ってやる。一緒に謝ってやる。お前が自分のこと信じられねえならオレが信じる。自分のことが嫌いだっていうならオレがその分お前を愛してやる。
オレがお前を幸せにする。お前に幸せってもんを教えてやる。だからユウ、オレと付き合え」
『うんっ...』
笑ったユウの頬を涙が伝っていく。ユウの涙を拭い、頬を包む。ゆっくり顔を近づけるとユウは顔を真っ赤にしてギュッと目を閉じた。心臓が破れるんじゃないかというくらい激しく脈打っているのが聞こえてくる。
可愛いやつ
額にキスをするとパッと目を開けたユウと視線がかち合った。
「お前の心臓が破れねえか心配だから期待してた方はまた今度な」
『き、期待なんてしてないもん!』
かくいうオレも額にするのが精一杯だ。
真っ赤な顔を更に赤く染め、反論するユウが可愛いくて頭を撫でると頬を膨らませ、不服な顔をしながらも大人しく撫でられている。
「ははッ、ほんと可愛いなお前」
『かっ、からかわないで!』
顔を赤くし、コロコロ表情を変えるユウが可愛いすぎてヤバい。
つーかマジ可愛いすぎんだろ!
意識されるだけでこうも反応が変わるのかと驚きつつ、嬉しくなる。
「ユウ、好きだ」
『わ、私もかっちゃんのことが好き...大好きっ』
ユウの熱がうつったんじゃないかと思うくらい、顔が熱くなる。
やはり面と向かって言われるのはとても嬉しい反面照れる。
赤い顔を見られまいとユウを抱きしめるが、この煩く鳴り響く鼓動はきっとユウにも聞こえてしまっているだろう。
余裕ねえのバレバレじゃねーか...
抱きしめたユウの体は熱があるんじゃないかというくらい温かくて本当に熱があるんじゃないかと心配になり体を離す。
「お前、熱あったりしねえよな?」
『かっちゃんのせいで熱いしドキドキしすぎて死んじゃいそう...』
真っ赤になりながら潤んだ目で見つめてくるユウに理性の軋む音が聞こえた気がした。
好きな女が赤面して涙目で見上げてくる様子がどうしてもエロく見えてしまうのは男子高校生だし仕方ないと思う。というかほんとにヤバい。ユウがずっとこの調子だと正直耐えられる自信が無い。
「お前、そんな顔ばっかしてっと食われるぞ」
『食われる?...!ダメ!シフォンケーキは私のだもん!』
「あっははは!もう全部お前が食っちまったじゃねーか」
『むう...かっちゃんの意地悪!怒りん坊!』
「また作ってやるから機嫌直せ」
これは食べるのにはかなり苦労しそうだ。でもこれでこそユウだし、ユウには変に色気ずかずこのままでいて欲しい。
「ユウ、これからもよろしくな」
『うん!』
大好きだユウ