ゆーあーmyヒーロー
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傷口を洗い流しているとかっちゃんが戻って来た。
「やっぱり痛いよなそれ...」
私が痛いから泣いてると思ったのか心配そうに、眉を下げるかっちゃんを見てまた悲しくなってしまう。初めて彼のこんな顔を見た。そして、こんな顔をさせてしまっているのは紛れもなく私だ。
『っ...かっちゃんごめっ』
「謝んな!」
突然の大声に驚き、固まっていると真っ直ぐ、力強い眼差しを向けられる。
「お前もオレも何も間違ったことはしてねえ!悪いのはお前じゃない。だから謝んな」
『うん...』
魔法のようだと思った。太陽みたいだった。彼の言葉1つで私の中に渦巻いていた暗い感情が消えていく。
どんなに暗い場所にいても、私を見つけて照らしてくれる。私の強くて頼もしい最高のヒーロー。
『ありがとうヒーロー』
「おう!オレはナンバーワンヒーローになる男だからな!お前を救けるくらい余裕だぜ!」
彼はリビングのソファに私を移動させると、テキパキと馴れた手付きで手当てを始めた。
「しみるぞ」
『痛っ』
「これ多分病院行った方がいいな。明日お母さんに連れてってもらえ。...よし、あと怪我してるとこあるか?」
『多分大丈夫。ありがとうかっちゃん』
「ん。お前の母ちゃん帰るの6時だったよな?」
『そうだよ』
「オレの親は帰るのもうちょい遅いし、迎え来てもらうように後で連絡だな。それまでおやつ食って、ゲームでもしてようぜ」
『あれ?宿題は?いつも1番最初に宿題やるじゃん』
「お前、宿題置いてきただろ。ランドセル空っぽだったぞ」
『ああ!どうしようかっちゃん、先生に怒られる』
「その怪我だしどうせお前明日病院行って休みだろ。連絡帳とかプリント届けるついでに、宿題持ってって教えてやるよ。今日の授業頭に入ってないだろお前」
『かっちゃん神様だ〜!』
翌日私は病院に行き、約束通りかっちゃんに勉強を教えてもらった。
その翌日からはお休みで学校のある月曜日には、少し痛むが歩けるくらいには回復した。
大丈夫だと言ったがお母さんが心配して朝は学校まで車で行くことになった。学校に行くのは怖かったが、ついでにかっちゃんも一緒に乗っていくことになったので、少し気が軽くなった。
「勝己君いつもユウと一緒に登下校してくれてありがとね。怪我した時はおんぶして運んでくれて手当てまでしてくれたって言うし、本当にありがとう」
「別に...」
「いつも勉強も教えてもらってるみたいだし、勝己君に感謝しなさいよユウ!あんたは危なっかしいし、勉強も運動も苦手だし、勝己君いなかったら死んでるわよきっと」
『そうだね...ありがとうかっちゃん』
「ぶはっなんも言い返せねえでやんの」
「お母さんユウの将来が心配だわ...勝己君がお婿さんになってくれれば安心なんだけど...」
「!」
『だ、ダメだよお母さん!かっちゃんがかわいそう』
「それもそうねえ。ちゃんと独り立ちできるよう頑張りなさいよユウ。ほら着いたわよ。2人ともいってらっしゃい」
『行ってきます』
「行ってきます...」
その後、お母さんがかっちゃんに何か言っていたが、先に降りた私は何を言ったか聞こえなかった。足が重く、なかなか1歩を踏み出せなかったが、かっちゃんに行くぞと言われて歩き始める。
ちらちらと視線を感じながら、教室の前まで何とか来たが足がすくんで動けなくなってしまった。
「大丈夫だ。お前は何も悪くない。また言いがかりつけて来るやつがいたらオレがぶっ飛ばしてやる」
『うん、ありがとうかっちゃん』
かっちゃんの言葉に勇気をもらい、震える足で私は教室へと踏み出した。