全面戦争 編
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
早く、街の方へ急がなきゃ!
バーニンさんに早く状況を伝えるべく、枝が掠るのも気にせず森を駆け抜ける。
!!何...この感じ...全身の毛が逆立つような悪寒にも似た感覚...
『ああっ!』
病院が崩れ、それに伝播するように土地や木が崩れ去っていく。
これに触れちゃダメだ!
咄嗟に飛び上がり狐火を踏み台に走り出す。
ダメだ間に合わな...!
「病院が」
「全員走らせろ!!」
「みんな逃げて!!」
「止まらない!衝撃とかの類じゃない!」
「全部塵になっていくわ...」
「死柄木...!」
「みんな退けえ!!病院何してんだ、誰か!応答しろ!エンデヴァー!!リューキュウ!!誰か!!状況を伝えろ!」
「あ!?ワン・フォー何!?とりあえずアシスト向かう!」
「バーニン待って!!」
「君たちは残るヒーローと避難を!!」
静止の声も聞かず、話も途中に飛び出して行ったデクの後を追いかける。
「ここで言ったらてめェ守ろうとこの人員割いちまうもんなァ。ヒーローっつーのは皆守ろうとするから」
「かっちゃん!」
「ハナから一択即決だろ」
「街の人たちの安全を最優先...!」
「<ワンフォーオール>の直後に<こっちに向かってくる>だけじゃ正味根拠は薄いけどな...!とにかくてめェは動くしかねぇ」
エンデヴァーと通信を始めたデクの会話を聞こうと耳を傾ける。
「デクです!!個別通信失礼します!死柄木は僕を狙ってる可能性があります!人のいない方へ誘導できるかも!!少し交信お願いします!!」
<何を言ってる!>
「訳は後で!!進行方向を変えるような素振りがあれば教えてください!!」
<それどころでは 変えた!!南西に進路を変えた!!>
「やっぱり...!!ありがとうございます!!避難の時間を稼げる!!このまま引きつけます!!来るってかっちゃん!!」
「聞いたわ!!てめェこそ聞いたんか!?化物になっちまってるってよあのカス。尚更ギリギリまで引き寄せンぞ!」
「かっちゃん何でついてきてくれたの!?」
「ブッ飛ばすぞ。あん状況でノータイムで事情納得して行ける奴なんざオレだけだ!」
「あっありがとう...!!!」
「自惚れんな。きてくれただァ?てめェ主役にでもなったつもりかよ。オレァあのカスに用があんだよ。オールマイトを終わらせちまった男としてオールフォーワンは餌だ。あの日の雪辱を果たすンだよオレがぁ!!完全勝利する!!絶好の機会なんだよ!!分かったらてめェも気ィ抜いて足引っ張んなよ!!」
「うん!」
「負けねんだよオレぁ...負けたままじゃいられねんだよ!!」
!?死柄木...!
「グラントリノ!!」
間一髪のところをジイさんに救われ、離れた場所に移動する。
「ワンフォーオールと聞いて嫌な予感がしたよ。おまえら戦うつもりだったのかアレと!?死柄木の崩壊は触れ合うもの全てを消す!降りそそぐ瓦礫に触れただけで...死ぬ!今のお前でどうにかなる相手じゃねえ!」
「っでも!!」
「ヒーローはまだ死んじゃいねェ!!アレは残った全員で討つ!!ここらでいいか」
「今下に相澤先生が!!」
「ああ死柄木の個性を封じとる」
「ジイさんもっと離れた方がいいだろ!!」
「ここが限度じゃ爆豪。オレはイレイザーの足になりに戻る」
「隠れてろってことですか!?」
「奴はオールフォーワンの個性を移植されたらしい。万が一ワンフォーオールが奪われでもしたら...最悪を考えろ。なに敵は一人!これを討てねば何の為のヒーロー飽和時代か!」
たくさんの脳無がどこからともなく現れる。
死柄木で手一杯だってのに...!クソこの数をどうする!?
「いかん二体イレイザーに向かいよる!!おまえらは隠れてろ!」
『先生は殺させない...!』
なんとか間に合った...
先生が消え、そこに突然現れた私に驚いた顔をしている死柄木に不敵に笑ってみせるが、迫り来る脳無に狐火を作る時間も避ける時間もない。死にたくない。みんなとまだ一緒にいたい。でもこれで終わりかな...
今度は
「こっちの番だ!!!」
「最悪は先生を失うこと!ずっと!守ってきてくれた先生を失うことです!!」
『かっちゃん...いずっくん...』
「ユウ!?なんでここに!その怪我...!」
『ちょっと瓦礫を防ぐ時にヘマしただけ...少し血出てるけど、どれも傷は浅いから平気。まだ戦える』
咄嗟に崩壊に触れないよう全身を温度を下げた狐火で覆い、周りを高温の狐火で固めたが、あの量全ての崩落物を壊せるほど私の火は強くなく全身傷だらけになってしまった。
でも深い傷はないしまだ戦える。ここで先生や大切な幼なじみを失うわけにはいかない。
今の私はちゃんと戦える術を持ってる。
何もせず見ているだけなんて嫌だ!
「今お前何した?まあ殺せば関係ないよね」
『!』「ユウ!」「ユウちゃん!」
「ぬ゛ん゛!!」
近付いて来た死柄木はエンデヴァーさんの攻撃を避ける為に後退した。
「エンデヴァー!」
「ショートは!?」
「3人だけです!!」
「デク、バクゴー、フォックス。来てしまったものはしょうがない...何故かは今問わぬ!!イレイザーをサポートしろ!バクゴー!!デクを守れ!!フォックスはそれを援護しろ!!」
『はい!』「ユウ!どんどん火寄越せ!!」
『了解!』
死柄木は他には目もくれずひたすらいずっくんに攻撃する。
いずっくん以外には興味なしね...腹立つけどこれならデカいの準備できる余裕があるかも。
かっちゃんも同じ事を考えてるらしく、篭手を使う気だ。死柄木の死角に狐火を貯めつつ、タイミングを見計らう。
かっちゃんと目が合ったのを合図に、攻撃の軌道に狐火を集結させる。
目を見張る程大爆発が起こり、畳み掛けるようにエンデヴァーさんが攻撃を仕掛ける。
よし、効いてる!!
「おまえたちは社会を守るフリをしてきた。これまで目にした全て。おまえたちの築いてきた全てに否定されてきた。だからこちらも否定する。だから壊す。だから力を手に入れる。シンプルだろ?理解できなくていい。できないからヒーローとヴィランだ」
「わざわざインターバルをどうも!!貴様ももう虫の息だろう!!観念」
!!まだ動けるの!?
エンデヴァーを助けようとグラントリノが死柄木を抑えるが、片足を潰され地面に叩きつけられてしまう。
「グラントリノォ!!うわああああ!!」
「出るなデク!!!」『いずっくん!!』
不味い先生の方に!!
「死柄木ィ!!おまえだけは許さない。締めろ黒鞭!!」
「そのまま頑張れデク!!」
『エンデヴァーさん!補助します!』
まだ動けるの...?エンデヴァーさんの攻撃でも足りないの...リューキュウさんもいずっくんももう限界なのに!
「消失弾を」
『消失弾...!』
ここで先生の個性を消されたら...先生だけじゃない。誰の個性が消えてもこの先が絶望的だ。
弾が先生の方へとー飛んでいく。
っ!!!
先生は消失弾が当たった足を自ら切り落とした。
『先生!!!』
砂煙で視界が...!走れ走れ走れ!自分の足を切り落としてまで私達を守ってくれてる先生に少しでも恩を返して見せろ!!
死柄木の手はもう先生の目前だ。
先生とはもう入れ替えできないし、横の2人のどちらかに!
『替われ!』
「ようやくクソゲーも終わりだ」
先生を押し退け、死柄木を視る。
「イレイザーが2人?どうせ終わるんだし邪魔すんのやめてくんない?」
『っあ...!』
思いっきり蹴りをくらい吹き飛ばされ瓦礫にぶつかる。不味い...頭を強く打った...意識が...ダメ...ここで閉じたら終わってしまう...先生が託してくれた一回が...
「ユウ!!」
気を失い、力なく倒れるユウの元へ必死に向かう。
「また狐の小娘か。こいつの個性どうなってんだよ。ああ、奪ってみりゃわかるか」
「やめろ!ユウに触んな!」
クソッ...間に合わな
「ユウ!!!先生ぇ!!!!」
轟の氷が死柄木とユウの間を隔てる。
「守った先に何がある?必死に先送りしても待ってるのは破滅だけ」
どんどん味方がやられていく。なのにオレは何も出来ない、ただその様を眺めているだけ。
自分は無事で、守ると誓った少女はまた血を流し倒れている。
また繰り返しかよ...オレは弱い...誰も救えない...
「っっ...っつっっっっっっそがぁ...!!」
突然死柄木の体から血が出た。
そうか。デクと同じ...力に体が間に合ってねえんだ。
「触れりゃ終わりだ」
周囲の人間をデクが黒鞭で持ち上げる。
「グラントリノたちを頼みます!!」
あいつもしかして1人で...!
「待てデク!!おまえが一番そいつに近付いちゃいけねェんだぞ!!抹消はもう...消えてんだぞ!!」
「じゃあ他に誰が死柄木を空に留めておける!?みんなを救うために命を懸けてくれって頼むのか!?」
...っっ!!
デクがなんの事を言っているかオレにはすぐに分かった。
腕の中でぐったりしているユウは頭を強く打ったらしく、額からは血が流れ呼びかけても反応はなく意識は戻らないままだ。
この場で、やられっぱなしの現状をひっくり返すことが出来るとすればユウの大狐になる力だけだ。
でも今までの2回とも無意識に変身してしまっただけでユウ自身少しも力をコントロールできていない。もし変身できたとしても味方であるオレらにも攻撃する可能性だってある。第一使ったあとの反動でユウは死ぬかもしれない。死ななくても、もう目覚めないかもしれない。狐に身体を奪われて、ユウが消えてしまうかもしれない。
きっとそうなる可能性は極めて高い。もしそうならなかったとしても、2回の結末を見るにユウが受ける代償は相当大きなものになる。
そうだとしても世間は100を救うために1を捨てろと言うのだろう。既に傷だらけで意識もないこの少女を無理やりにでも起こして、躊躇も容赦もなく命を捨てろと言うのだろう。
それが間違いとは言えない。でもそんなの絶対に嫌だ。もう傷付いてほしくない。何処にも行かずずっと傍にいてほしい。
デクだって同じだ。大切な幼馴染で友達でクラスメイトで好きな奴だから一人で無茶でも無理でも戦っている。
そっとユウを地面に寝かせ頬に触れた後、気持ちを切り替え立ち上がる。
「エンデヴァー!!ラス一絶対当てろよ...!」
あと数分でデクの体は粉々になるだろう。悔しくて情けなくて仕方ないがオレの力では倒す事もデクに代わる事も出来ない。早く戦いを終わらせねえと!
「エンデヴァー!!上昇する熱はオレが肩代わりする!轟はギリギリまでエンデヴァーを冷やし続けろ!」
「俺の最高火力を以て...一撃で仕留めろということか...任せろ」
「緑谷...頑張れ...!」
「今だ!!」
凄まじい勢いで炎が燃え上がる。
いける!あと少しで!!
「エンデヴァー!!!」
死柄木の攻撃がエンデヴァーを襲う。
あんな状態でどうして!!
「な...ぜ...死なん...!!」
誰だか分からないほど、焼け焦げて真っ黒になっているにも関わらず、奴は死んでいない。攻撃がデクへと向かっていく。
その時 オレの頭には 何もなくて
ただ 身体が勝手に動いてた