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イベント



ある蒸し暑い日。吸血鬼一族・拠点にて

「ねぇディーバ?」
「なんだ?」
そんなやり取りをするのは白髪の少年と黒髪の少女。ディーバと紅永だ。
「今夏だよね」
「そうだな。」
「夏といえば。海じゃん?」
「そうだな」
紅永の問いにディーパは淡々と返す。
「てことでさ。ちょっと別荘に行こうと思うんだ」
「…別荘…そうか…べっ…別荘!?!?」
「そう別荘。…ボクの血筋って昔から結構権力的なものがあったらしくて、ボク別荘何個か貰ってるんだよね。ほら。ここも(拠点)ボクの家の1つだし」
突然爆弾発言をした紅永はケロッとした顔をしている。
「!!????!?」
しかしディーパはかなり困惑顔である。確かにこの屋敷、というか城の入手経路は気になっていたがまさか紅永のものなんて思わなかった。紅永は伝えてなかったっけ?なんて言っている。そんなこと聞いたこともないぞ。
「あっ。それよりさ。みんなで別荘行きたいんだよね。海も近くにあるしさ。良くない?楽しいと思うんだよね。ディーパも行きたいでしょ?」
「……あ…あぁ。そ…うだな…」
紅永にそう聞かれてディーバはぎこちなく頷く。
「だよね〜!じゃあボクみんなに伝えてくる〜!」
そう言って紅永は部屋を飛び出してしまった。
ディーバはそれをポカンと見つめることしか出来なかった。


同日。竜胆アジトにて

今日は珍しく白華が来ていた。
何故かと言うと白華から連絡が来て、突然「竜胆幹部と緒環幹部で少し話をしたい」ということであった。
「白華さんが連絡するなんて珍しいですね。」
そう正が言うと白華は苦笑いで答える。
「あー……いや…私用でもないし連絡無しで行くのはと思ったんだ。」
正は白華と机を挟んで向かい合わせになるように座り、2人とも両脇に副ボス。
竜胆の方は、右にアリクレッド。左に縁。
緒環は右にピース。左に鉄紺。
という並びである。
「そうなんですね。それで?話というのは?」
そう正がこてんとにこやかな笑みを浮かべながら、首を傾げて言う。
「…正…分かってやってるだろ…」
「そんなことないですよ。」
ジト目で言う白華をさらりと流す正。
「…まぁいいか。話っつーのはうちの団員からの提案なんだが…」
「…?」
「合同訓練をしようって話だ。」
「合同訓練ですか?……」
「そう。今夏だろ?」
「そうですね。」
「夏だし、ちょうど学生達も休日が重なってる。だから林海学校的なノリで行けるんじゃないか…って…セレイアと碧がな…いや、言い出したのはピースなんだが…」
そう苦虫を噛み潰したような顔で言う白華。
「…ピースさんが?…一体どう言う…」
「…簡単に言うとピースが「now SUMMER!!!!!訓練ビヨリ、トイウヤツネ!!!ワタシ訓練シタイ!」
白華が説明しようとするとピースが大きな声で割って入る。
「……というわけだ。そしたらセレイアがいいですね。折角ならどこか海とか行きましょう…とか言い出してよ……でも緒環だけで行くならいつもの訓練場でいいだろとか言ったら…鉄紺が竜胆と合同合宿なんてどうだとか言い出しちまって…」
そう言いながら白華は頭を抱える。
「…つまり…僕達は巻き込まれたということで?」
いい笑顔で正が言うと白華はそうだと言わんばかりに苦笑いをした。

ボス2人がそんな話をしている時に、アリクレッドは鉄紺を口説いていた。
「ねぇねぇかわい子ちゃん。俺とメアド交換しない?」
にこにこ笑みでアリクレッドが言うと鉄紺はそこまで変わらない表情だが僅かに困ったような口調で答えていた。
「生憎とめあど…とやらは持っていないんだ」
「そっか〜残念…じゃあこれからお茶はどう?」
「お茶?…いや、この後仕事が……」
そんなやり取りをしている。

ボスの方に戻るが正が合同訓練を了承しようか少し悩んでいると隣から縁が口を出してくる。
「合同訓練、いいじゃないか。団員達の刺激にもなるだろうし…どちらにせよ……緒環の力を把握しておくにはもってこいなんじゃない?ねぇ正くん。」
正の近くに寄って小声でそう縁は言う。
「……まぁそうですね…」
少し前に共同戦線を張ろうなんて考えていた相手の力を見るには十分すぎるチャンスだなと考える。
そう思って少し考えてから正はやっと口を開いた。
「白華さん。合同訓練やりましょう。こちらとしてもいいタイミングですし。ちょうど良かったです。」
にこりと笑って了承すると、白華は少しほっとした顔で笑う。
「悪ぃな。助かったわ。」
何が助かった、なのかはさっぱり分からないが「いいえ、楽しみにしていますよ」とだけ言って、アリクレッドと縁を連れて正は部屋を後にした。
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