天使との邂逅
(……。そんな筈ない)
そんな大袈裟なことじゃない。
いや、彼女の身代わりをやるという事は、自分のちっぽけな夢を叶えるより、よっぽど凄いことだ。
だけどそれは恐れるようなものじゃない。
自分は彼女の代行して、その役目が終われば、いつもの生活に戻る━━それで終わりだ。
そして、その時の経験を生かして歌手としてデビューする。
━━それに…
(もしかしたら、ラクス・クラインに会えちゃうかもしれないし…)
そうだっ!
会えたら何を聞いみよう。
好きな物に嫌いな物。
趣味とか、使ってる化粧品のメーカーも聞きたぁい!
それに…運が良ければアスランにも会えちゃうかもぉ~vV
アスラン・ザラ━━ブラウン管や雑誌で何度か見たことのあるラクス様の婚約者。
藍色の髪にエメラルドグリーンの瞳。
整った容貌に均衡のとれた肢体。
二人で歩く姿は絵本に出て来る王子様とお姫様のようで━━憧れだった。
あたしも……なれるのかな…?
ラクス様と一緒にお茶を飲んだり話をしたり、アスランの横に並んで歩くことも……
ちょっとだけでも…、ううん!一瞬だっていい!
ラクス様と同じステージに立てるのなら、あたし。
あたしもなりたい!
ピッ
「……すみません、昨日の昼に訪ねてもらったミーア・キャンベルですが……。ラクス・クラインの代役の件
━━お引き受けします」
.