天使との邂逅



あの後、オーディションには無事に間に合い終わることが出来た。

あとは結果を待つのみ……だったのだが。



「……やっぱり、駄目…か」


ベッドに寝転んで手に持つ一枚の紙切れ。

昨日受けたオーディションの通知書だ。

でも結果は、やはり…。


「何がいけないのよ…。もぉお~~~!!」

腕で隠した目許から涙が一筋流れる。

分かっていた…。

分かっていたことだった。
だけどやっぱり心の何処かで期待する自分もいた。

だって昨日はいつも異常に練習の成果が出たから。

踊りのキレだって良かったと思う。

たとえ審査員席から小さな溜め息が聞こえたとしても…


だから、もしかしてと思って待っていた。

けど…やっぱり駄目だった。



~♪

「っ!」

唐突に聞き覚えのあり過ぎるメロディーが、つけっぱなしのテレビから流れてきた。


~♪

暗い海と空の向こうに

争いのない

場所があるのと

教えてくれたのは誰?


━━優しい、心に染みる旋律。


苦しい時、悲しかった時。

どれほどこの優しい声があたしを励まし、勇気をくれたか解らない。


…でも、今の自分にとっては傷口をじわりじわりと広げるだけのものでしかない。


ラクス様…彼女の所為じゃないって解ってるけど…。

でも!


「タイミング 最悪よっ!」


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