天使との邂逅
プラントを歩けば、以前は必ず目にしたラクス・クラインのプロモーション映像。
のどかな風景の中を小鳥と戯れる“プラントの歌姫”。
その少女は“妖精”と讃えられるに相応しい、綺麗な歌声と見目の麗しさを兼ね備えていた。
皆の憧れ。
その憧れの歌姫と同じ声の自分。
だから、彼女が褒められると自分が褒められてるような気がして凄く嬉しかったのを覚えている。
…でも、同時にコンプレックスの一つでもあった。
オーディションでは“この声”を理由に何度も落とされてきた。
本当は、声だけでないのは解ってる。
もう一つのコンプレックス━━あたしの顔が原因なのだと。
コーディネイターに有るまじき“この顔”とラクス・クラインに似ている澄んだ“この声”
そのミスマッチさに審査員たちは最初は驚き、そして落胆する。
そして言うのだ。
歌姫の声に“この容姿”は滑稽だと━━
彼女の声を汚すなと…
今日も、もしかしたらそんな事を言われるかも知れない。
でも、だからと言ってそんな事で自分の夢を諦めたくはなかった。
夢のままで終わらせたくなんてなかった。
だから…
「キャンベルさん?」
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