天使との邂逅
「…それで、あたしに何の用ですか?」
ミーアが移動した場所は建物の直ぐ横にある小さな公園。
叫べば人も来てくれるし、今日はこのビルでオーディションをやっている。
だから、そのためのガードマンだって何人か建物に入る前に見ていた。
…でも、ミーアには解らなかった。
この男達の目的が…━
自分の家は一般家庭だし、親戚に名の知れた有名な人もお金持ちもいない。
だから自分を攫って身代金を要求した所で大した額が手に入る訳ではない。
得をすること等、何もないというのに…
だから解らなかった。
どんな理由で自分に声をかけたのかが━━。
「申し訳ありませんが、時間がないので率直に述べさせて頂きます」
「そうして下さい。
あたしも、もうすぐ出番なんで…」
今日、このビルに来たのはオーディションを受けるため
彼等と話をする為なんかじゃない。
そう思っていたあたしに、彼等の次の台詞は、全てを忘れさせるものだった。
「ミーア・キャンベルさん。貴方にラクス・クライン様の代行をして頂きたいのです」
「っ!!??」
まさに青天の霹靂。
あたしの運命の輪は、ここから廻り始め出したのかもしれない…。
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