キオクのカタスミ
はらはら、はらはら
「……ゆ…き?」
白い、白い、雪。
そして、それとは対照的に、どこまでも深くて暗い空の色。
…それが僕の覚えている最初の記憶。
不思議と寒いとは感じなかった。
雪まで降っているのに…。
いま思えば、寒い場所に長く居すぎた所為で感覚が麻痺していたのかもしれない。
━━でも、
「おい!あんた大丈夫か!?生きてるか!」
路地裏に倒れている僕に気づいて駆け寄って来てくれた君。
皆が見て見ぬふりをする中で君だけは直ぐに来てくれた。
「しっかりしろッ!!」
全ての感覚が麻痺していた中でも、僕の頬に優しく触れる君の手だけは、とても暖かかったよ…。
━━━シン…。
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