マボロシの君へ




━━君を見つけたのは、月明かりが眩しい夜の公園。

キィ、…キィ


静まり返った公園で、ブランコを漕ぐ音は大きく聞こえて。


キィ…


そのとき俺は、急にジュースが飲みたくなって一人で買いに出たんだ。

帰りは近道をしようと公園の中を通って━━

キィ…

最初は風の所為だと思っていたブランコの音。

キィ…コォ…

嫌な予想が頭をよぎりながらも、俺は恐る恐るブランコの方を向く。

「……Σッ?!!」


…………いた。


でも、ちゃんと足があったからユーレイじゃないと思う。

街灯の明かりに照らされて光る白い肌。

肩まである亜麻色の髪はまちまちの長さ。

服は……なんだか病院の入院時みたいな格好だった。


(ひょっとして病院から抜け出して来たとか?)

そんな訳ないよな、と思っても無視は出来なくて。

「な、なぁ…」


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