天使との邂逅
「ここ……よね」
ミーアは目の前にそびえ立つ大きなビルを見上げてポツリと呟いた。
そこはアプリリウスにあるプラントでも有名な病院。
アプリリウス総合病院だった。
(でも、何で病院?)
最初はラクス様になるための適性検査や健康診断をするのかと思っていたが……。
(声だけならそんな検査、必要ないわよね?)
疑問に思いつつも院内に入り、受付で事前に言われた通りに相手の名前と約束があることを告げると、直ぐに連絡を取り次いでくれた。
こちらでお待ち下さいと通された部屋は病院らしく清潔感漂う白で統一された部屋。
ミーアは近くのソファーに軽く座ってから取り敢えず周りの景色を見て心を落ち着かせようとした。
今日の天気は一日中快晴と言っていた空を見上げてボーッとしていると不意に名を呼ばれた。
「キャンベルさま」
「ひゃっ!……ぁ//// 」
思わず驚いてソファーから立ち上がると同時に悲鳴を上げてしまった。
俯いて小さく「すみません…」と返すが、受付嬢は眉一つ動かさず「いいえ」と機械的に言葉を発するだけだった。
「お待たせ致しました」
「あ、いえ!全然…全然お待ちになってません///」
その冷静な対応が逆にミーアの羞恥心を増長させた。
「━━貴女がミーア・キャンベルさんですね」
「え…」
穏やかな口調に反応して俯いて顔を上げる。
(うわぁー……)
優しい声と共に受付嬢の後ろから現れたのは━━…
「初めまして、キャンベルさん」
長い亜麻色の髪が美しい、紫の瞳をした一人の天使だった。
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