真実の愛




「母さん…?どうかされたのですか?」

いつも柔らかな笑顔で自分を迎えてくれる母が、今は目に見えて落ち込んでいるのが分かる。


母━━ロミナは
「何でもありませんよ」と言ってはいるが、その目にはうっすらと涙がにじんでいた。


「…ニコル」

自分の方へ視線を向けさせたこの人こそがニコルの父であり、当代アマルフィ家当主━━ユーリ・アマルフィ。

実直、鷹揚な人柄で民に慕われている父ユーリは、ニコルの誇りであり目標でもあった。

だが、その父も今は強張った顔で卓上にある紙を無言で息子の前に差し出すだけだった。

「これが元老院からお前宛てに来た書状だ」

静かに差し出されたそれは中身だけ…

やはり父母は手紙の内容を知っているのだ。

それを見て母は涙し、父はどうしたら良いのか分からず、困惑していたのか。

「………」

受け取る手が震える。

いつもと違う二人の原因がこの中に書かれている。


「ふぅ……」

ニコルは手紙を受け取り、一つ息を吐いてからゆっくり開いた。


「……ッ!!?」

しかしそこには、ニコルが想像していた以上の事が書かれていた。


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