真実の愛




「はい、旦那様は書斎で奥様とご一緒にニコル様のお帰りをお待ちしておりますよ」

「えっ、母さんも…?」

父だけでなく母まで自分を待っているなんて、本当にどんな内容の手紙だったのだろう。

息子宛ての物とはいえ、差出人は国の最高機関『元老院』。

父も当主として中身を知らない訳にはいかない。

恐らくは父も母も、既に中を読んでいるのだろう。


(僕…何かしましたっけ…?)

ディアッカやイザークじゃあるまいし…と、昔からよく問題を起こす幼馴染み二人を思い浮かべて苦笑を漏らす。

速やかに自室に戻り、衣服を改めている間、自身の最近の行動を振り返りつつ父母の待つ部屋へと向かって行く。


トントン

「父さん、ニコルです」

控えめにノックして自身が帰ったことを告げれば、直ぐに中から返答があった。

「ニコル帰ったか、…入りなさい」

「はい、失礼します」

扉を開けると書斎には、もちろん父とそして何処か表情に元気のない母の姿があった。


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