執事とお嬢様(仮)



「それで、君のこの後の予定は?」

「……今日の仕事は先ほどのディオキアで終わり…ですわ」


アスランの言いたい事は分かる。
後の予定がなければキラに少しの暇を出して彼らと久しぶりに話をさせて上げよう、というのだろう。

自分だってそこまで我が儘ではないつもりだから、その意見には賛成だ。

けど……何だが悔しいというか、ムッとするというか…。

あんな嬉しそうなキラの顔をミーアは知らない。あんな年相応な顔で笑うキラを。


いつも一緒にいるときのキラは外では感情を出すことなくミーアの後ろに控え、二人きりのときには常に表情や仕草の特訓。
間違えるとにっこり笑って少し低い声で『…違います』って言うの!
最初に会った時の感情むき出しのキラも怖かったけど、静かに怒るキラもかなり怖い。

「キラ…」
「……ぁ、お嬢様…」

(いま『…ぁ』って言った『…ぁ』って。あたしの事、完全に忘れてたな!)

今はラクス=ミーアの執事なのに……。

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